40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

和泉杏咲

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1.人生最後のデートだと思っていたのに

これが運命の出会い? 2/婚活パーティー

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どういう風の吹き回しだろう。
これまで佐野さんが、私に対して「助けて」などと言ってきたことは一度もない。

(もしかすると、今回は私が必要なのかもしれない……)

私は少し悩み、そのお願いを受け入れることにした。

広報用のSNS用写真の撮影要員としてかもしれない。
それだったらむしろ、私の方が良いかもしれない。
佐野さんがこれまで一緒に行った人達は、きっとパーティーを自分も思いっきり楽しみたい人達。
実際私のところに加工依頼があったSNS用の写真素材も1~2枚程度。
それも佐野さんが半目になっているなど、佐野さんの容姿をきちんと写そうという気概は見受けられないものばかり。
佐野さんから

「この写真、どうにかまともにして」

と投げられることも多かった。

きっと今回のお誘いはそれが理由だろう。
だから、私ではなくてはならないのだろう。
華やかな楽しみたいという気持ちは、私にはないのだから。

私は

「承知しました」

という言葉と共に、念のために

「休日出勤ということでしょうか」

と聞いてみた。

それに対する返答はなく

「日曜日よろしくね」

とだけ。
それから当日まで、休日出勤に対する回答は得られなかった。
本当なら、派遣会社に確認を取らないといけない事案かもしれない。
だけど私は、佐野さんから必要とされた、という事実がほんの少し嬉しかった。
なので、最後の最後まで行くかどうかは悩んだけれど、最終的には「休日出勤扱いされなくてもいいや」と、行くことを決めた。私の意思で。

今は7月。
ちょっと歩くと汗が噴き出る私にとって、1回の外出が億劫になる時期。

今回は佐野さんの機嫌を損ねないようにするのが最大のミッション。
佐野さんが普段行くようなパーティーにいそうな……でも佐野さんよりずっと地味でいられる服装を考えた。
選んだのは、かつてオフィス出社をしていた時代に着ていた、灰色のワンピースと黒いカーディガンを羽織ることで、脇汗対策もしやすい。

メイクは汗でぐちゃぐちゃになるのだから、リップと眉毛だけしっかり。あとは日焼け止め代わりの B.Bクリーム。
髪型はポニーテールを作ってからの、簡単なシニョンにした。
こうすれば、汗対策が簡単だから。

仕事であれば、それで十分だと思っていた。
相手を不快にさせなければ良いのだから。

そのパーティーは私が想像していたようなものではなく、「婚活パーティー」だと知ったのは、指定されたタワーマンションのエントランスに着いてから。
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