40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

和泉杏咲

文字の大きさ
上 下
17 / 84
1.人生最後のデートだと思っていたのに

必要とされたかった 12/重くなりすぎた腰

しおりを挟む
この時期になると、高校時代に仲が良かったけど、卒業以降全く連絡を取っていなかった友人からも結婚式の招待状が届き始める。
二次会だけの招待状ばかりではあったが。
とはいえ、そういうのが積み重なると、つい思ってしまうのだ。

私も結婚できる。
友人達と同じように、時期が来たら……。

派遣とはいえ、職場で男性との出会いが全くないわけではない。
行こうと思えば、飲み会にだって行ける。
外を歩いて声をかけられる、という可能性も万が一でもあるかもしれない。
ただ、今ではないだけ。
そう。服がLLサイズからMサイズまで落とせば、世界が変わるはず。
今は本気を出さなくてもいい時期だ。
痩せたら、頑張れば、いい。

そんな風に思いながら、私は仕事帰りのコンビニで、新作のパンを探すという楽しみをやめられずにいたし、仕事帰りにカフェに寄りケーキを頬張る習慣は止められずにいた。

仕事が終われば、スキルを磨くために自己研鑽。
今は派遣更新はされているが、正社員登用されるまでは安心はできないし、この時期のニュースでは派遣切りのニュースも流れていた。
その度に、新卒直後の苦い記憶が蘇る。

だから、そうなること前提で「スキル」で必要とされる人間になろう、と思った。
社員様が望む仕事を、誰より正確に、速く、そして美しくこなそう。
その為には、脳の栄養をしっかり入れて、夜遅くまで頑張る必要がある。

そう。
今痩せないのは、私にとっては今その時期じゃないだけ。
今そうすれば、私はいつだってそれなりに好きなケーキを食べられる。
最近始めたソーシャルゲームに課金だってできる。

あの時代、諦めていたことは、こうしてスキルを身につけることで諦めずに済むのだから。

そうして私は20代を、甘いものとソーシャルゲーム、時々の女子会、そして自己研鑽だけで費やした。

体重は80キロ台。
服は黒か灰色を選ぶようになり、結婚式の招待状には、用事があっていけない謝罪と、代わりの結婚祝いを贈るだけで済ませるようになっていた。

20代から30代に変わる頃に、派遣先は2回変わった。更新されず。
でも派遣先が変わるごとに、どんどんやりがいある仕事にステップアップはできるようになっていた。

この時期には、大学時代の仲間の中で結婚していないのが私だけになった。

(そろそろ私も頑張らないといけないかな)

ようやく重くなりすぎた腰を、私は上げることになる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない

もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。 ……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」 後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。 「急に、どうされたのですか?」 「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」 「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」 そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。 どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。 けれど、もう安心してほしい。 私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。 だから… 「陛下…!大変です、内乱が…」 え…? ーーーーーーーーーーーーー ここは、どこ? さっきまで内乱が… 「エレーナ?」 陛下…? でも若いわ。 バッと自分の顔を触る。 するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。 懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

処理中です...