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1.人生最後のデートだと思っていたのに
必要とされたかった 12/重くなりすぎた腰
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この時期になると、高校時代に仲が良かったけど、卒業以降全く連絡を取っていなかった友人からも結婚式の招待状が届き始める。
二次会だけの招待状ばかりではあったが。
とはいえ、そういうのが積み重なると、つい思ってしまうのだ。
私も結婚できる。
友人達と同じように、時期が来たら……。
派遣とはいえ、職場で男性との出会いが全くないわけではない。
行こうと思えば、飲み会にだって行ける。
外を歩いて声をかけられる、という可能性も万が一でもあるかもしれない。
ただ、今ではないだけ。
そう。服がLLサイズからMサイズまで落とせば、世界が変わるはず。
今は本気を出さなくてもいい時期だ。
痩せたら、頑張れば、いい。
そんな風に思いながら、私は仕事帰りのコンビニで、新作のパンを探すという楽しみをやめられずにいたし、仕事帰りにカフェに寄りケーキを頬張る習慣は止められずにいた。
仕事が終われば、スキルを磨くために自己研鑽。
今は派遣更新はされているが、正社員登用されるまでは安心はできないし、この時期のニュースでは派遣切りのニュースも流れていた。
その度に、新卒直後の苦い記憶が蘇る。
だから、そうなること前提で「スキル」で必要とされる人間になろう、と思った。
社員様が望む仕事を、誰より正確に、速く、そして美しくこなそう。
その為には、脳の栄養をしっかり入れて、夜遅くまで頑張る必要がある。
そう。
今痩せないのは、私にとっては今その時期じゃないだけ。
今そうすれば、私はいつだってそれなりに好きなケーキを食べられる。
最近始めたソーシャルゲームに課金だってできる。
あの時代、諦めていたことは、こうしてスキルを身につけることで諦めずに済むのだから。
そうして私は20代を、甘いものとソーシャルゲーム、時々の女子会、そして自己研鑽だけで費やした。
体重は80キロ台。
服は黒か灰色を選ぶようになり、結婚式の招待状には、用事があっていけない謝罪と、代わりの結婚祝いを贈るだけで済ませるようになっていた。
20代から30代に変わる頃に、派遣先は2回変わった。更新されず。
でも派遣先が変わるごとに、どんどんやりがいある仕事にステップアップはできるようになっていた。
この時期には、大学時代の仲間の中で結婚していないのが私だけになった。
(そろそろ私も頑張らないといけないかな)
ようやく重くなりすぎた腰を、私は上げることになる。
二次会だけの招待状ばかりではあったが。
とはいえ、そういうのが積み重なると、つい思ってしまうのだ。
私も結婚できる。
友人達と同じように、時期が来たら……。
派遣とはいえ、職場で男性との出会いが全くないわけではない。
行こうと思えば、飲み会にだって行ける。
外を歩いて声をかけられる、という可能性も万が一でもあるかもしれない。
ただ、今ではないだけ。
そう。服がLLサイズからMサイズまで落とせば、世界が変わるはず。
今は本気を出さなくてもいい時期だ。
痩せたら、頑張れば、いい。
そんな風に思いながら、私は仕事帰りのコンビニで、新作のパンを探すという楽しみをやめられずにいたし、仕事帰りにカフェに寄りケーキを頬張る習慣は止められずにいた。
仕事が終われば、スキルを磨くために自己研鑽。
今は派遣更新はされているが、正社員登用されるまでは安心はできないし、この時期のニュースでは派遣切りのニュースも流れていた。
その度に、新卒直後の苦い記憶が蘇る。
だから、そうなること前提で「スキル」で必要とされる人間になろう、と思った。
社員様が望む仕事を、誰より正確に、速く、そして美しくこなそう。
その為には、脳の栄養をしっかり入れて、夜遅くまで頑張る必要がある。
そう。
今痩せないのは、私にとっては今その時期じゃないだけ。
今そうすれば、私はいつだってそれなりに好きなケーキを食べられる。
最近始めたソーシャルゲームに課金だってできる。
あの時代、諦めていたことは、こうしてスキルを身につけることで諦めずに済むのだから。
そうして私は20代を、甘いものとソーシャルゲーム、時々の女子会、そして自己研鑽だけで費やした。
体重は80キロ台。
服は黒か灰色を選ぶようになり、結婚式の招待状には、用事があっていけない謝罪と、代わりの結婚祝いを贈るだけで済ませるようになっていた。
20代から30代に変わる頃に、派遣先は2回変わった。更新されず。
でも派遣先が変わるごとに、どんどんやりがいある仕事にステップアップはできるようになっていた。
この時期には、大学時代の仲間の中で結婚していないのが私だけになった。
(そろそろ私も頑張らないといけないかな)
ようやく重くなりすぎた腰を、私は上げることになる。
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