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1.人生最後のデートだと思っていたのに

必要とされたかった 11/それでも私は、嬉しかった

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未経験歓迎のWEBデザイナーの仕事に就く。
まずはそれを目標に定めることにした。
もちろん、電話はなかなか来ることはなかったけれど、その間私は教えてもらったいくつかのスキルの習得に励んだ。

イラストソフトの使い方。
そしてコーディングの方法。

イラストソフトと教本は、なけなしの貯金で買った。
親には、もう少しだけ甘えさせて欲しいと、真剣にお願いした。
親は「好きにしなさい」とだけ言った。

それから私は、電話をただ待つだけではなくなった。
コツコツとソフトの使い方を覚え、自分でサイトのコーディングも始めた。
そうしていつしか、自分の成果です、と言えるような作品が1つ、2つと増えていった。
ただ待っている時とは違う、形が見える充実感が、私の心を慰めてくれた。

一通りソフトの使い方として、色加工、画像の切り取りなど、基本的な業務を難なくこなせるようになった頃、ようやく1社から話がきた。
未経験でも大丈夫。
ソフトが使えれば。
そんな条件。
私は、自分のスキルを証明するために作った、数多くの作品を提出した。
その結果、私はこの会社の派遣として採用され、すぐに業務が決まった。
自分の努力の成果が認められたことは、素直に嬉しかった。

例え、その会社での業務が作業しかなくて、裁量権が一切与えられないものだとしても。
周囲がどんなにその会社での待遇に不満を持ったとしても。
それでも私は、嬉しかった。
平穏な毎日を手に入れるためのコツを、ほんの少し掴んだ気がして。

20代半ば。
大学を卒業してからはだいぶ経った。
ようやく、友人達の結婚式に呼ばれたときに、ご祝儀を払うことに躊躇わなくなった。
唯一躊躇うとしたら、結婚式に参加する時の服装。
この時の私は、日々のストレスと夜更かしによってコンディションは最悪。
体重も、70キロ直前に迫っていたから。
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