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1.人生最後のデートだと思っていたのに

必要とされたかった 8/私を選ばなかったのはあなた達の癖に

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書類を整えるだけ。
電話を取るだけ。
社員のお茶を時間になったら入れるだけ。

言葉にすると簡単だけど、それら1つ1つが、社員の仕事を効率化させるのに必要だということを、私は知った。
どうすれば喜んでもらえるか、を毎日考えた。
一緒に働く社員は、とてもいい人ばかり。
だからこそ、よりこの人達の役に自分も立ちたいと、強く願った。

最初の契約期間は3ヶ月。
お互いに特に問題がなければ、また更新をする。
働く側が嫌だと思えば、契約が切れたタイミングできっぱり辞めることができる。
この辞め方なら、面接の時にも「契約が切れた」と言えばいいから簡単だ、と教わった。
最初聞いた時、ありがたいと思った。

今働いている会社ではずっと働きたい。
更新されたい。
そして社員の人も優しくしてくれる。

「いつもありがとう」

と言ってくれる。
きっと更新されるだろう……と、自信があった。
だけど、より自信を確信に近づけたかったので、頑張ってスキルを身につけることにした。
この会社の人達に、必要だと、もっともっと、思ってもらいたくて。

仕事も、残業の依頼は断らなかった。
それからの時間は、すべて仕事に必要な勉強をした。
エクセルは、一通りの関数は使えるように毎日練習した。
頑張ろうとすればするほど、夜起きている時間が長く、糖分を欲した。

気がつけば、体重は65キロを超えていた。
服は新しいものを自分で買うことができたので、働いていて良かった、と思えた。

だけど。
私は3ヶ月後、更新されなかった。
梅雨に入る前のこと。
その日のことは、忘れられない。
あっさりと電話で

「更新されませんでした」

の一言だけ。
本当に、簡単に切られるんだ、という現実を突きつけられた。
その後、最終日までは、何事もなかったかのように振る舞うことで精一杯。
ミスもいっぱいした。
そのミスですら、社員の人達は
「気にしないで」
と優しく接してくれた。

私の最終日には
「森山さんともっと一緒に働きたかった」
と言われた。

私はもう、苦笑いをするしかできなかった。
心の中に隠れた

「私を選ばなかったのはあなた達の癖に」

という言葉を言わないようにするので、精一杯だった。
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