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最終話
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それから2年の時が流れた。
私は公爵(仮)から、別の男性へ公爵の座を無事受け渡すことが出来た。
公爵という立場から解放された私はもう政治界は懲り懲りだと思ったのも束の間。
レオルド公爵と結婚し、今度は隣国での公爵夫人となった。
世間的に人気者のレオルドとの結婚なので、大分バッシングされるのでは?とも思ったが、流石に2年前テレビで堂々と婚約宣言されているのだから、流石にそんなことはなかった。
逆に私が隣国へ嫁ぐのを、国民に惜しまれてしまった程だ。
そしてレオルドと私の結婚式は、両国のお偉いさん方が揃い盛大に開かれた。
つい2年前までは、悪夢の様な人生だったのに、何だか信じられない光景だ。
「私、こんなに幸せでいいのかしら?」
そう呟くと、隣にいたレオルドがポンポンと私の頭を撫でてくれる。
「今まで辛い思いをした分、俺が今後ずっと幸せにするよ。」
「まあ、心強いこと。頼りにしてるわ。」
私は心から、あの日勇気を出して脱走して良かったと思う。
「あ、お嬢様ー!」
そう感慨耽っていると、前に私を味方してくれたメイド達がやってきた。
「ご招待頂き本当にありがとうございます!」
「こちらこそ、わざわざ遠方からありがとう。」
実はあれから、アルデーレとレオルドにお願いして、辞めさせられたメイド達全員へ結婚式への招待状を出していたのだ。
「お嬢様、無事に下水抜けられて良かったです!」
そう言ってきたのは、例の配管工の方だ。
「とんでもない、そちらこそ色々細工してくれたようで、本当にありがとう。」
「お嬢様!オオカミは無事奥の方で仕留められてましたぜ!」
続いては元猟師の方。
「本当にありがとう!食い殺されるなんてたまったものじゃないもの。」
「お嬢様!お屋敷でずっとお守り出来ずに申し訳ありません!」
「お嬢様がご無事で何よりです!」
「お嬢様!本当に幸せそうで何よりです!」
私はあっという間にメイド達に囲まれた。
そんな私は、メイド達に真剣な顔つきで、とあるお願いをする。
「実はね、新しいメイドを複数人雇いたいのだけれど、また一緒に働いてくれないかしら?勿論住み込みで衣食住は揃ってるし、ご家族も揃っての移住も引き受けるのだけれど。」
私は深く頭を下げる。
メイド達は私が産まれた頃から世話をしてくれていたお陰で、今はもう40~50程になっている。
しかも一度は解雇している側の人間だ。
受け入れてくれないだろうな、と思っていたが。
「お嬢様!顔をお上げ下さい!」
「私たちの様な歳でも働けるなら、喜んで!」
「いつだって私たちはお嬢様のお役に立ちたいですから!」
メイド達はすぐ様承諾してくれた。
「そんな、いいの?」
「勿論ですよ!だってお嬢様は私たちにとって、可愛い娘同然なのですから!」
そう口を揃えてメイド達は言う。
ありがたい話だ。
「ところで、何故また複数人も雇われるのです?働いている他のメイドが辞めたられたのですか?」
ああ、それはと私は口を開く。
「まだ世間に公表してはいないけど、実は懐妊したの。」
「ええ!」
メイド達は、一気にざわつく。
「おめでとうございます!」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「お嬢様の赤ちゃん、さぞお可愛らしいでしょうに!」
まあまあと私はメイド達を一旦落ち着かせる。
「だから、私の赤ちゃんの世話を一緒にして欲しいと思って。」
「勿論喜んで!」
メイド達はとても盛り上がっていた。
「よお、お嬢様。」
そして後ろから、アルデーレおじさんに声をかけられた。
「あ、アルデーレおじさん!
…ではなく、お義父様。」
「呼び方なんてなんでもいいさ。
しかしまさか、義理の娘に加えてもうじき孫まで見れるなんてな。」
アルデーレおじさんは愉快そうに笑っていた。
「アルデーレおじさんも、今までたくさん助けて頂きありがとうございました!」
「いいよ、礼なんて。
俺は当然のことをしたまでだからな。」
「そういえば、まだあそこで新聞屋をされているのですか?
もしよろしければ、こちらでまた一緒に住みませんか?」
私はそう尋ねてみたが、レオルドおじさんはいいや、と首を横に振る。
「もう何十年もあそこで新聞屋やってるのが慣れちまってね。
それにお嬢様の法律のお陰でもうデタラメな記事を持って来るやつもいなくなったし、それなりに楽しくやってるんだ。」
そうおじさんは優しく微笑む。
「それなら良かったですわ。」
すると少し遠くから私を呼ぶ声がした。
レオルドだ。
「ほら、呼ばれてるぞ。行ってきな。」
「はい!ではまた後ほど!」
それから私はレオルドに呼ばれてブーケプルズへ向かう。
本当に、人生とは何が起こるか分からない。
しかし、きっとこれからは、もっと明るく楽しい未来が待ってるはず。
私はこれから来るであろう騒がしくも明るい未来を想像して、ふふふと笑った。
「どうやらメイド達への話は上手くいったんだね。」
そうレオルドに問われ、私は答える。
「ええ!レオルド、私すっごく幸せになってみせるわ!」
そう言って私はブーケを投げた。
みんなの幸せを願って。
私は公爵(仮)から、別の男性へ公爵の座を無事受け渡すことが出来た。
公爵という立場から解放された私はもう政治界は懲り懲りだと思ったのも束の間。
レオルド公爵と結婚し、今度は隣国での公爵夫人となった。
世間的に人気者のレオルドとの結婚なので、大分バッシングされるのでは?とも思ったが、流石に2年前テレビで堂々と婚約宣言されているのだから、流石にそんなことはなかった。
逆に私が隣国へ嫁ぐのを、国民に惜しまれてしまった程だ。
そしてレオルドと私の結婚式は、両国のお偉いさん方が揃い盛大に開かれた。
つい2年前までは、悪夢の様な人生だったのに、何だか信じられない光景だ。
「私、こんなに幸せでいいのかしら?」
そう呟くと、隣にいたレオルドがポンポンと私の頭を撫でてくれる。
「今まで辛い思いをした分、俺が今後ずっと幸せにするよ。」
「まあ、心強いこと。頼りにしてるわ。」
私は心から、あの日勇気を出して脱走して良かったと思う。
「あ、お嬢様ー!」
そう感慨耽っていると、前に私を味方してくれたメイド達がやってきた。
「ご招待頂き本当にありがとうございます!」
「こちらこそ、わざわざ遠方からありがとう。」
実はあれから、アルデーレとレオルドにお願いして、辞めさせられたメイド達全員へ結婚式への招待状を出していたのだ。
「お嬢様、無事に下水抜けられて良かったです!」
そう言ってきたのは、例の配管工の方だ。
「とんでもない、そちらこそ色々細工してくれたようで、本当にありがとう。」
「お嬢様!オオカミは無事奥の方で仕留められてましたぜ!」
続いては元猟師の方。
「本当にありがとう!食い殺されるなんてたまったものじゃないもの。」
「お嬢様!お屋敷でずっとお守り出来ずに申し訳ありません!」
「お嬢様がご無事で何よりです!」
「お嬢様!本当に幸せそうで何よりです!」
私はあっという間にメイド達に囲まれた。
そんな私は、メイド達に真剣な顔つきで、とあるお願いをする。
「実はね、新しいメイドを複数人雇いたいのだけれど、また一緒に働いてくれないかしら?勿論住み込みで衣食住は揃ってるし、ご家族も揃っての移住も引き受けるのだけれど。」
私は深く頭を下げる。
メイド達は私が産まれた頃から世話をしてくれていたお陰で、今はもう40~50程になっている。
しかも一度は解雇している側の人間だ。
受け入れてくれないだろうな、と思っていたが。
「お嬢様!顔をお上げ下さい!」
「私たちの様な歳でも働けるなら、喜んで!」
「いつだって私たちはお嬢様のお役に立ちたいですから!」
メイド達はすぐ様承諾してくれた。
「そんな、いいの?」
「勿論ですよ!だってお嬢様は私たちにとって、可愛い娘同然なのですから!」
そう口を揃えてメイド達は言う。
ありがたい話だ。
「ところで、何故また複数人も雇われるのです?働いている他のメイドが辞めたられたのですか?」
ああ、それはと私は口を開く。
「まだ世間に公表してはいないけど、実は懐妊したの。」
「ええ!」
メイド達は、一気にざわつく。
「おめでとうございます!」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「お嬢様の赤ちゃん、さぞお可愛らしいでしょうに!」
まあまあと私はメイド達を一旦落ち着かせる。
「だから、私の赤ちゃんの世話を一緒にして欲しいと思って。」
「勿論喜んで!」
メイド達はとても盛り上がっていた。
「よお、お嬢様。」
そして後ろから、アルデーレおじさんに声をかけられた。
「あ、アルデーレおじさん!
…ではなく、お義父様。」
「呼び方なんてなんでもいいさ。
しかしまさか、義理の娘に加えてもうじき孫まで見れるなんてな。」
アルデーレおじさんは愉快そうに笑っていた。
「アルデーレおじさんも、今までたくさん助けて頂きありがとうございました!」
「いいよ、礼なんて。
俺は当然のことをしたまでだからな。」
「そういえば、まだあそこで新聞屋をされているのですか?
もしよろしければ、こちらでまた一緒に住みませんか?」
私はそう尋ねてみたが、レオルドおじさんはいいや、と首を横に振る。
「もう何十年もあそこで新聞屋やってるのが慣れちまってね。
それにお嬢様の法律のお陰でもうデタラメな記事を持って来るやつもいなくなったし、それなりに楽しくやってるんだ。」
そうおじさんは優しく微笑む。
「それなら良かったですわ。」
すると少し遠くから私を呼ぶ声がした。
レオルドだ。
「ほら、呼ばれてるぞ。行ってきな。」
「はい!ではまた後ほど!」
それから私はレオルドに呼ばれてブーケプルズへ向かう。
本当に、人生とは何が起こるか分からない。
しかし、きっとこれからは、もっと明るく楽しい未来が待ってるはず。
私はこれから来るであろう騒がしくも明るい未来を想像して、ふふふと笑った。
「どうやらメイド達への話は上手くいったんだね。」
そうレオルドに問われ、私は答える。
「ええ!レオルド、私すっごく幸せになってみせるわ!」
そう言って私はブーケを投げた。
みんなの幸せを願って。
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