10 / 24
第十話
しおりを挟む
「ここに書いてある記事は、本物か?」
お爺さんは新聞から顔をあげ真っ直ぐ私の目を見つけてきた。
私はギュッと両の手に力を入れて宣言する。
「それは、100%間違いです。
それをしたのは、継母と妹たちです。」
お爺さんはほう、と呟いた後、更に質問を続けた。
「それなら、証拠は?」
私は鞄から破かれた落書きだらけの本を出してお爺さんに見せつけた。
「これは、妹たちがやったものです。
落書きの内容を見れば一目瞭然かと。」
「見せてみろ。」
お爺さんは私から本を半ば奪い取る様に取り上げた。
1ページずつゆっくりと落書きの方を読んでいく。
そこには私への暴言や悪口がたっぷりと書かれている。
「お嬢さん、あんたでかしたな!」
お爺さんが目を見開いて私の肩をグッと握った。
とてもご老人とは思えないほどの力で思わずたじろいでしまう。
「俺はな、証拠がないネタが大っ嫌いなんだ。お嬢様のネタは破れたドレスとか汚れたハイヒールとか持ってこられたけど、どれも何だか自作自演くさくてな。
しかも情報を持ってくる奴ら、金をやるからネタにしろって言うんだ!怪しいよな?
ネタを売りにではなくネタを作りにきてるんだからよ!」
お爺さんは意気揚々と喋りだす。
まさか、私は世間でそんな風にネタにされていたなんて。
恐らく継母の仕業であろう。
私がいつかお屋敷から逃げ出しても、世間で爪弾きに合う様にしていたのか。
あるいは腹いせなのか。
何であれ、これは逆にチャンスだ。
今までの私の印象が最悪な状態から、実は真相は真逆だと民衆が知ったら?
今まで私を悪者扱いしていたのも相まってアルミール家はそうとう責められることは間違いないだろう。
「いやー、しかしまさかご本人様が自ら情報を提供するなんてな!」
お爺さんは何かに取り憑かれた様に筆を紙に走らせている。
「え?ご本人?」
私はまだすっとぼけようとしたが無駄だった。
「今までもステラお嬢様を擁護すると、元メイドたちが何人か来ていたけれど、誰も証拠なんてなかった。
みんな口を揃えて言ってたんだ。お嬢様ご本人なら証拠があるのにってさ!」
私はびっくりした。
恐らく情報を売りに来ていたのは、辞めさせられたメイドたちだ。
彼女たちはクビになっても、なお私の味方でいてくれたのだ。
私は涙が出てきそうになる。
「お嬢さん、あんた他にも証拠品あるんだろ?全部見せろ!
おじさんが面白おかしくネタにしてやるぜ!」
お爺さんの眼はまるで宝物を見つけた子供の様にキラキラと輝いていた。
きっと、本当に嘘が嫌いな方なのだろう。
私はお爺さんを信じて、鞄の中の証拠品を全部渡した。
お爺さんは新聞から顔をあげ真っ直ぐ私の目を見つけてきた。
私はギュッと両の手に力を入れて宣言する。
「それは、100%間違いです。
それをしたのは、継母と妹たちです。」
お爺さんはほう、と呟いた後、更に質問を続けた。
「それなら、証拠は?」
私は鞄から破かれた落書きだらけの本を出してお爺さんに見せつけた。
「これは、妹たちがやったものです。
落書きの内容を見れば一目瞭然かと。」
「見せてみろ。」
お爺さんは私から本を半ば奪い取る様に取り上げた。
1ページずつゆっくりと落書きの方を読んでいく。
そこには私への暴言や悪口がたっぷりと書かれている。
「お嬢さん、あんたでかしたな!」
お爺さんが目を見開いて私の肩をグッと握った。
とてもご老人とは思えないほどの力で思わずたじろいでしまう。
「俺はな、証拠がないネタが大っ嫌いなんだ。お嬢様のネタは破れたドレスとか汚れたハイヒールとか持ってこられたけど、どれも何だか自作自演くさくてな。
しかも情報を持ってくる奴ら、金をやるからネタにしろって言うんだ!怪しいよな?
ネタを売りにではなくネタを作りにきてるんだからよ!」
お爺さんは意気揚々と喋りだす。
まさか、私は世間でそんな風にネタにされていたなんて。
恐らく継母の仕業であろう。
私がいつかお屋敷から逃げ出しても、世間で爪弾きに合う様にしていたのか。
あるいは腹いせなのか。
何であれ、これは逆にチャンスだ。
今までの私の印象が最悪な状態から、実は真相は真逆だと民衆が知ったら?
今まで私を悪者扱いしていたのも相まってアルミール家はそうとう責められることは間違いないだろう。
「いやー、しかしまさかご本人様が自ら情報を提供するなんてな!」
お爺さんは何かに取り憑かれた様に筆を紙に走らせている。
「え?ご本人?」
私はまだすっとぼけようとしたが無駄だった。
「今までもステラお嬢様を擁護すると、元メイドたちが何人か来ていたけれど、誰も証拠なんてなかった。
みんな口を揃えて言ってたんだ。お嬢様ご本人なら証拠があるのにってさ!」
私はびっくりした。
恐らく情報を売りに来ていたのは、辞めさせられたメイドたちだ。
彼女たちはクビになっても、なお私の味方でいてくれたのだ。
私は涙が出てきそうになる。
「お嬢さん、あんた他にも証拠品あるんだろ?全部見せろ!
おじさんが面白おかしくネタにしてやるぜ!」
お爺さんの眼はまるで宝物を見つけた子供の様にキラキラと輝いていた。
きっと、本当に嘘が嫌いな方なのだろう。
私はお爺さんを信じて、鞄の中の証拠品を全部渡した。
89
お気に入りに追加
866
あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

一家処刑?!まっぴら御免ですわ! ~悪役令嬢(予定)の娘と意地悪(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。
この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。
最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!!
悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。

(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです
泉花ゆき
恋愛
ある日のこと。
マリアンヌは婚約者であるビートから「派手に着飾ってばかりで財をひけらかす女はまっぴらだ」と婚約破棄をされた。
ビートは、マリアンヌに、ロコという娘を紹介する。
シンプルなワンピースをさらりと着ただけの豪商の娘だ。
ビートはロコへと結婚を申し込むのだそうだ。
しかし伯爵令嬢でありながら商品の目利きにも精通しているマリアンヌは首を傾げる。
ロコの着ているワンピース、それは仕立てこそシンプルなものの、生地と縫製は間違いなく極上で……つまりは、恐ろしく値の張っている服装だったからだ。
そうとも知らないビートは……
※ゆるゆる設定です

愛は全てを解決しない
火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。
それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。
しかしデセルバート家は既に没落していた。
※なろう様にも投稿中。


結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる