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彼は、きっと何処か病んでしまったのだろう。
彼はきっと、自殺未遂をしないと、生きていけなくなってしまったのだろう。
それがどうしてなのか、私にはまだ分からない。
踏切で自殺しようとして、1週間ほどたった。
彼はこの1週間、一度も自殺未遂をしなかった。
そのかわり、私にも話しかけにきてくれなかった。
私は机に突っ伏して項垂れる。
「なんでだろう、私は普通に話しかけてきて欲しいだけなのに」
話しかけるのはいつも私から。
それが毎回だったので、今回は彼から話しかけてくるまで待ち続けることにした。
はあ、と私は1人ため息を吐く。
彼が自殺未遂をしなくなったのは喜ばしいことだが、話しかけてきてくれないのは喜ばしくない。
「~~~!!
もう!なんでいっつも私ばっかり声かけてさ!馬鹿みたいにじゃない!」
誰もいない教室に私の叫びが吸い込まれ、またシーンと静まり返る。
「…帰ろう」
私は教室を出て、スタスタと下駄箱の方へ歩いて行く。
「…はぁ、私だけ好きみたいで、本当馬鹿みたい」
私は、一真のことが好きだ。
それは最近になって気付いたこと。
本当はもっと前から好きだったのかもしれないが、この1週間、話さない分彼のことを目で追ってしまう。
…単純に、彼が自殺をしようとしないか見張ってるという部分もあるだろうが。
しかし、最初は男友達の1人が死なれるのは嫌だという思いだったが、段々と彼が死んだら私の生きる意味がないとすら思えて来る様になってきている。
「私も、いよいよヤバいかもね…」
彼の自殺未遂を助けすぎたせいで、私も感覚が狂ってきているのだろう。
しかし、狂っていようが、まともであろうが、彼の事を好きな気持ちは本物だと思う。
「また、昔の様に笑って遊べたらな…」
なんて、感傷に浸かっているのも束の間。
靴を履き替えて外に出ると、何故かライターの火を点けている彼に出逢う。
「ちょっと何やってるのよ」
久しぶりに私は冷静に突っ込む。
こっちはセンチになっている最中だったのに。
「いや、俺1週間我慢したのは、凄いと思うんだ、もう充分頑張ったし、ご褒美として?」
「いや、自殺未遂がご褒美って何処の世界線の話よ!」
私はここで、ハッと気づく。
また、私から話しかけてしまった。
私は火遊びしてる彼を無視してスタスタと歩いていく。
「え、ちょっと待ってよ、まだ完全に止め切れてないよ?」
火をほれほれと見せつけながら彼は私を追いかける。
「いや、危ないから火は消して!」
私の怒りの剣幕に彼ははい、と火を消した。
「これで完全に止め切れた、いいよね?」
私はまた歩き出そうとしたその時。
「良くない!」
彼が私の腕を掴んだ。
びっくりした。
だって彼から私の腕を掴んでくるなんて、今までなかったから。
彼は恐る恐る話しかける。
「怒ってるよね?また自殺未遂しやがってって」
「じゃあ、何で同じことするのよ」
私が本気で自殺未遂を嫌がってるのを知ってて、彼はどうしてやめてくれないのだろう。
また悲しくなってくる。
「こうでもしないと、話しかけられなくて」
弱々しく彼が呟く。
「何で?何で普通に話しかけてくれないの?同じクラスにいるのに」
「だって、俺と玲香じゃ、生きてる世界が違うから」
彼は友達が少なくて、私は割とクラスの中心的存在だった。
私はスクールカーストとかそんなもの気にしていなかったけど、一真はずっと気にしていたのだろう。
「そんなの、関係ないじゃん!
そんな生きてる世界が違うって言うなら、私も一真と同じとこに行く!」
彼は一瞬驚いた顔をした後、すぐに俯いた。
「無理だよ」
「無理じゃない!だって私は、一真のことが好きだから!」
彼は今度こそ驚いた顔を崩さなかった。
「え?」
言っちゃった。
勢いで言ってしまった。
「あ、あ、
~~~!!!!!!!???????」
私は声にならない声をあげて、彼をおいて1人逃げ帰ってしまった。
だから、取り残された彼が、凄く嬉しそうな顔をしていたことなど、私は知らない。
彼はきっと、自殺未遂をしないと、生きていけなくなってしまったのだろう。
それがどうしてなのか、私にはまだ分からない。
踏切で自殺しようとして、1週間ほどたった。
彼はこの1週間、一度も自殺未遂をしなかった。
そのかわり、私にも話しかけにきてくれなかった。
私は机に突っ伏して項垂れる。
「なんでだろう、私は普通に話しかけてきて欲しいだけなのに」
話しかけるのはいつも私から。
それが毎回だったので、今回は彼から話しかけてくるまで待ち続けることにした。
はあ、と私は1人ため息を吐く。
彼が自殺未遂をしなくなったのは喜ばしいことだが、話しかけてきてくれないのは喜ばしくない。
「~~~!!
もう!なんでいっつも私ばっかり声かけてさ!馬鹿みたいにじゃない!」
誰もいない教室に私の叫びが吸い込まれ、またシーンと静まり返る。
「…帰ろう」
私は教室を出て、スタスタと下駄箱の方へ歩いて行く。
「…はぁ、私だけ好きみたいで、本当馬鹿みたい」
私は、一真のことが好きだ。
それは最近になって気付いたこと。
本当はもっと前から好きだったのかもしれないが、この1週間、話さない分彼のことを目で追ってしまう。
…単純に、彼が自殺をしようとしないか見張ってるという部分もあるだろうが。
しかし、最初は男友達の1人が死なれるのは嫌だという思いだったが、段々と彼が死んだら私の生きる意味がないとすら思えて来る様になってきている。
「私も、いよいよヤバいかもね…」
彼の自殺未遂を助けすぎたせいで、私も感覚が狂ってきているのだろう。
しかし、狂っていようが、まともであろうが、彼の事を好きな気持ちは本物だと思う。
「また、昔の様に笑って遊べたらな…」
なんて、感傷に浸かっているのも束の間。
靴を履き替えて外に出ると、何故かライターの火を点けている彼に出逢う。
「ちょっと何やってるのよ」
久しぶりに私は冷静に突っ込む。
こっちはセンチになっている最中だったのに。
「いや、俺1週間我慢したのは、凄いと思うんだ、もう充分頑張ったし、ご褒美として?」
「いや、自殺未遂がご褒美って何処の世界線の話よ!」
私はここで、ハッと気づく。
また、私から話しかけてしまった。
私は火遊びしてる彼を無視してスタスタと歩いていく。
「え、ちょっと待ってよ、まだ完全に止め切れてないよ?」
火をほれほれと見せつけながら彼は私を追いかける。
「いや、危ないから火は消して!」
私の怒りの剣幕に彼ははい、と火を消した。
「これで完全に止め切れた、いいよね?」
私はまた歩き出そうとしたその時。
「良くない!」
彼が私の腕を掴んだ。
びっくりした。
だって彼から私の腕を掴んでくるなんて、今までなかったから。
彼は恐る恐る話しかける。
「怒ってるよね?また自殺未遂しやがってって」
「じゃあ、何で同じことするのよ」
私が本気で自殺未遂を嫌がってるのを知ってて、彼はどうしてやめてくれないのだろう。
また悲しくなってくる。
「こうでもしないと、話しかけられなくて」
弱々しく彼が呟く。
「何で?何で普通に話しかけてくれないの?同じクラスにいるのに」
「だって、俺と玲香じゃ、生きてる世界が違うから」
彼は友達が少なくて、私は割とクラスの中心的存在だった。
私はスクールカーストとかそんなもの気にしていなかったけど、一真はずっと気にしていたのだろう。
「そんなの、関係ないじゃん!
そんな生きてる世界が違うって言うなら、私も一真と同じとこに行く!」
彼は一瞬驚いた顔をした後、すぐに俯いた。
「無理だよ」
「無理じゃない!だって私は、一真のことが好きだから!」
彼は今度こそ驚いた顔を崩さなかった。
「え?」
言っちゃった。
勢いで言ってしまった。
「あ、あ、
~~~!!!!!!!???????」
私は声にならない声をあげて、彼をおいて1人逃げ帰ってしまった。
だから、取り残された彼が、凄く嬉しそうな顔をしていたことなど、私は知らない。
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