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もうおしまいだ

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「メイが俺のことを好き…?」
イクリスは今アイザックから聞かされた言葉をまるで初めて習った言語かの様に反芻していた。

「ああ、そうだよ。俺は時々メイ姉さんから恋愛相談を受けてたんだよ。」

「恋愛…相談?」
イクリスはもう何が何なのか訳が分からないと言った顔をしている。

この表情メイ姉さんが見たら何て言うかなと頭の片隅でアイザックは考えた。

「まあ、そんな訳だから、絶対メイ姉さんに彼氏とかないから。
しっかり告白して来い。」

まあここまでお膳立てしてやったのだから、今度こそうまくいくだろう。

すると、イクリスが口を開いた。

「メイの好きな相手は本当に俺なのか?」

「は?」
何故また聞き返してくるんだこいつは。

「そうに決まってるでしょ。」

「いや、もしかしたらイクリスという名の全くの別人という説もあり」
「ありえるか!」
何故この人は頑なに自分が好かれていることを信じられないのだろうか?

「だっておかしいだろ!俺はメイの前で何一つ愛情表現を出来てない!」
「そこは自覚大アリなんだな。」

「なのに俺を好きになる!?
いやいや、俺がもし女なら俺みたいな奴絶対嫌だ!」

何だかイクリスの思考がどんどん面倒臭い方向へいっている。

「あのさ、まあ兄貴自身は自分の事を好きじゃないかもだけど、メイ姉さんは好きなんだって。」

「嘘だ!俺はそんな罠信じないぞ!
お前アレだろ、俺が中々メイに告白出来ないからそんな適当な嘘をついているのだろう!?」

だめだ、これ以上何言っても多分信じて貰えそうにない。

というか何でそこまで頑なに否定するんだか。

「あー、もう、嘘か本当かは告白すれば分かるだろ?」

「告白してもし振られたら、もう二度と一緒に話せないかもしれない!
もう二度と俺に笑いかけてすらくれないかもしれない!」

「でもこのままだと他の第三者にメイ姉さんを取られるかもしれない。」

「うわあぁぁ!もうおしまいだぁぁぁ!」

アイザックは何やらのたうち回っているイクリスを尻目に、これはどうしようかと再び作戦を考えることにした。
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