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第3話
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それからアウルは道中のモンスターとやらを倒しつつ、私をマフィーまで連れて行ってくれた。
「本当にありがとうございました。
一人ではきっとここまで来れなかったわ」
「お役に立てて何よりです」
こうして私は村へと入ったのだが、とあるお店のショーウィンドウを見て私は愕然とする。
「え、ええ!?」
私は思わずショーウィンドウにバンと手をつけてまじまじと見やる。
「こ、これって……」
ショーウィンドウに映っていた私の姿は、私が知っている姿では無かったのだ。
見た目は恐らく10代後半くらいだろうか?
髪や目の色は明るい茶色、というかオレンジに近い。
髪の長さはセミロングぐらいで、ハーフサイドポニーになっている。
そして今まで特に気にしていなかったが、格好も黒いワイシャツの様な服に赤いミニスカート、しかも、マントも羽織っている。
腰に斜めがけのベルトをしており、黒のニーハイソックスに茶色のブーツという、中々現実世界ではした事のないファッションをしている。
これが、私?
いや、最早別人過ぎて言葉が出ない。
私が若かった時にも似ていないし……
「どうされました?
あ、この服可愛いですね、それに魔力もあがるそうですよ」
私はふとショーウィンドウの中にある服を見やる。
確かに可愛らしいワンピースや装飾品が並んでいる。
……ん?魔力?
「あ、もしかしてタナカミチコさんは魔法使いの方ですか?」
「え、違います、しがない一般人です……」
一体何を言っているのだろう?
私には何が何だか訳が分からなかった。
(早く貴志を連れて現実に戻ろう……)
「えっと、それじゃあ私は人を探して来ますので、これで」
「そうですか、また何かありましたら声かけて下さいね」
こうして私はアウルと別れ、貴志を探す事にした。
「……うーん、てっきりすぐに見つかると思っていたのだけれど」
やはりここは海外の世界なのか、みんな色とりどりの髪や目の色をしており、黒髪黒目は逆に目立つと思ったのだが。
「もしかして、貴志も私の様に見た目が違う……?」
そうかもしれない。だとしたら見ただけでは貴志がどれなのか見当がつかない。
仕方なく私は道ゆく人に話しかけて見る事にした。
先ずは話しかけやすそうな女性に声をかける。
「あ、すみません」
「旅の方ですね、是非こちらを持っていって下さい」
私はそう急に何かの葉っぱを貰った。
「え?これは?」
「薬草です。体力が減った時に使って下さいね」
「え?あの……」
そう言ってお姉さんは去っていった。
「薬草……?
ヨモギとか大麦若葉かしら?」
私は訳が分からず取り敢えず背負っていたバッグにしまう。
「このバッグ、小柄に見えて中は大分広いのね」
そう私はバッグの収納性に驚く。
しかも、何やら硬貨の様な物まで出てきた。
「この国の通貨かしら?
こんなのまできちんとあるのね」
知れば知るほど、ここが一体何なのかが分からなくなってくる。
「と、とにかくもっと情報を集めなきゃ!」
そして私は村の子供に話をかけた。
「坊や、ちょっと聞きたい事があるの」
「何?魔王はね、この街からずーっと遠いところにいるんだよ!」
「ま、魔王?」
「この街にはまだ魔王が来てないけど、モンスターが現れるから街から出るなって言われてるんだー
お姉ちゃん、魔王を倒してきてよ!」
「え?倒す?」
すると、目の前にピコンと何やら掲示板みたいな物が現れた。
そこには、『はい』『いいえ』と書いてある。
「え?どういうこと?」
そう私が子供に声をかけても、返事をしてくれない。さっきまであんなに喋っていたのに。
しかし、これ何かで見た事ある様な……?
はっと、美智子は思い出した。
息子が家でやっていたゲームも、確かこんな感じだった。
これは、つまり選択肢というやつなのだろうか?
私は取り敢えず『いいえ』を指で押した。
「えー、お姉ちゃんのケチ!」
突然そう子供に言われる。
ケチと言われても、いきなり魔王?なんて倒せる訳が無い。
(そもそも魔王って何?昔嫌われていた職場の上司が魔王って裏で呼ばれてたけど、そんな感じの性格悪い人を倒しに行けってこと?)
だとしたら、それは関わりたく無い。
「あの、私貴志っていう人を探してるんだけどね」
私はそう子供に問いかける。
「タカシ?知らなーい」
そうあっさりと否定された。
仕方ない、他の人にも聞いていこう。
私は続いてお店に入る。
すると、そこの店主らしき男性に話しかけられた。
「やあお客さん、この村では初心者向けの武器を置いてるぜ」
「武、武器!?」
私は驚いた。しかし、並んでいるものは剣や斧や弓など、普通の主婦では到底目にする事の無い物がズラリと並んでいた。
「あ、いいえ、ごめんなさい。
買い物にきた訳じゃ無いの。
貴志って言う人こちらに来なかったかしら?」
「タカシ?うーん、うちは別にお客さんの名前なんていちいち聞かないからね」
言われてみれば確かにそうだ。
「あ、でも小一時間前くらいに少年が武器を買って隣町に行くって言っていたなあ」
「隣町へ……?」
そういえば、さっきの子供も魔王は遠くにいると言っていたけれど、ここの世界は一体どれくらい大きいのだろうか?
「すみません、この国の地図ってないのかしら」
「いやーうちは武器屋なんで、地図は持ってないなあ」
まあ、それもそうか。
「分かりました、ありがとうございます……
えーと、折角だから、この一番安い杖を買ってきます」
本当はそのまま行こうとしたが、どうにも話を聞いただけで買い物せずには悪い気がした。
かと言って、物騒な物は持ちたくないし、一番持ってても邪魔にならなさそうな杖を買う事にした。
「はい、150Gだ。
毎度あり!」
私は鞄からお金を差し出して杖を手に取る。
「はあ、要らないものを買ってしまったわね」
それから美智子はまた村を探索し始めた。
「本当にありがとうございました。
一人ではきっとここまで来れなかったわ」
「お役に立てて何よりです」
こうして私は村へと入ったのだが、とあるお店のショーウィンドウを見て私は愕然とする。
「え、ええ!?」
私は思わずショーウィンドウにバンと手をつけてまじまじと見やる。
「こ、これって……」
ショーウィンドウに映っていた私の姿は、私が知っている姿では無かったのだ。
見た目は恐らく10代後半くらいだろうか?
髪や目の色は明るい茶色、というかオレンジに近い。
髪の長さはセミロングぐらいで、ハーフサイドポニーになっている。
そして今まで特に気にしていなかったが、格好も黒いワイシャツの様な服に赤いミニスカート、しかも、マントも羽織っている。
腰に斜めがけのベルトをしており、黒のニーハイソックスに茶色のブーツという、中々現実世界ではした事のないファッションをしている。
これが、私?
いや、最早別人過ぎて言葉が出ない。
私が若かった時にも似ていないし……
「どうされました?
あ、この服可愛いですね、それに魔力もあがるそうですよ」
私はふとショーウィンドウの中にある服を見やる。
確かに可愛らしいワンピースや装飾品が並んでいる。
……ん?魔力?
「あ、もしかしてタナカミチコさんは魔法使いの方ですか?」
「え、違います、しがない一般人です……」
一体何を言っているのだろう?
私には何が何だか訳が分からなかった。
(早く貴志を連れて現実に戻ろう……)
「えっと、それじゃあ私は人を探して来ますので、これで」
「そうですか、また何かありましたら声かけて下さいね」
こうして私はアウルと別れ、貴志を探す事にした。
「……うーん、てっきりすぐに見つかると思っていたのだけれど」
やはりここは海外の世界なのか、みんな色とりどりの髪や目の色をしており、黒髪黒目は逆に目立つと思ったのだが。
「もしかして、貴志も私の様に見た目が違う……?」
そうかもしれない。だとしたら見ただけでは貴志がどれなのか見当がつかない。
仕方なく私は道ゆく人に話しかけて見る事にした。
先ずは話しかけやすそうな女性に声をかける。
「あ、すみません」
「旅の方ですね、是非こちらを持っていって下さい」
私はそう急に何かの葉っぱを貰った。
「え?これは?」
「薬草です。体力が減った時に使って下さいね」
「え?あの……」
そう言ってお姉さんは去っていった。
「薬草……?
ヨモギとか大麦若葉かしら?」
私は訳が分からず取り敢えず背負っていたバッグにしまう。
「このバッグ、小柄に見えて中は大分広いのね」
そう私はバッグの収納性に驚く。
しかも、何やら硬貨の様な物まで出てきた。
「この国の通貨かしら?
こんなのまできちんとあるのね」
知れば知るほど、ここが一体何なのかが分からなくなってくる。
「と、とにかくもっと情報を集めなきゃ!」
そして私は村の子供に話をかけた。
「坊や、ちょっと聞きたい事があるの」
「何?魔王はね、この街からずーっと遠いところにいるんだよ!」
「ま、魔王?」
「この街にはまだ魔王が来てないけど、モンスターが現れるから街から出るなって言われてるんだー
お姉ちゃん、魔王を倒してきてよ!」
「え?倒す?」
すると、目の前にピコンと何やら掲示板みたいな物が現れた。
そこには、『はい』『いいえ』と書いてある。
「え?どういうこと?」
そう私が子供に声をかけても、返事をしてくれない。さっきまであんなに喋っていたのに。
しかし、これ何かで見た事ある様な……?
はっと、美智子は思い出した。
息子が家でやっていたゲームも、確かこんな感じだった。
これは、つまり選択肢というやつなのだろうか?
私は取り敢えず『いいえ』を指で押した。
「えー、お姉ちゃんのケチ!」
突然そう子供に言われる。
ケチと言われても、いきなり魔王?なんて倒せる訳が無い。
(そもそも魔王って何?昔嫌われていた職場の上司が魔王って裏で呼ばれてたけど、そんな感じの性格悪い人を倒しに行けってこと?)
だとしたら、それは関わりたく無い。
「あの、私貴志っていう人を探してるんだけどね」
私はそう子供に問いかける。
「タカシ?知らなーい」
そうあっさりと否定された。
仕方ない、他の人にも聞いていこう。
私は続いてお店に入る。
すると、そこの店主らしき男性に話しかけられた。
「やあお客さん、この村では初心者向けの武器を置いてるぜ」
「武、武器!?」
私は驚いた。しかし、並んでいるものは剣や斧や弓など、普通の主婦では到底目にする事の無い物がズラリと並んでいた。
「あ、いいえ、ごめんなさい。
買い物にきた訳じゃ無いの。
貴志って言う人こちらに来なかったかしら?」
「タカシ?うーん、うちは別にお客さんの名前なんていちいち聞かないからね」
言われてみれば確かにそうだ。
「あ、でも小一時間前くらいに少年が武器を買って隣町に行くって言っていたなあ」
「隣町へ……?」
そういえば、さっきの子供も魔王は遠くにいると言っていたけれど、ここの世界は一体どれくらい大きいのだろうか?
「すみません、この国の地図ってないのかしら」
「いやーうちは武器屋なんで、地図は持ってないなあ」
まあ、それもそうか。
「分かりました、ありがとうございます……
えーと、折角だから、この一番安い杖を買ってきます」
本当はそのまま行こうとしたが、どうにも話を聞いただけで買い物せずには悪い気がした。
かと言って、物騒な物は持ちたくないし、一番持ってても邪魔にならなさそうな杖を買う事にした。
「はい、150Gだ。
毎度あり!」
私は鞄からお金を差し出して杖を手に取る。
「はあ、要らないものを買ってしまったわね」
それから美智子はまた村を探索し始めた。
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