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第2話
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「本当ですか!
それはありがたいです。
では、こちらにサインを」
私は差し出された同意書をじっくりと読む。命の保証はされ、絶対に1時間のみの使用ということが書かれていた。
「因みに、貴方が向こうの世界へ行った後、貴方のことはモニターから常に誰かが異常がないか見ています。
もし貴方の体に異常が来されたら強制終了される仕組みになっています。」
そして私の手首に何やら白いリストバンドの様な物がつけられた。
「こちらで貴方の心拍数や脈拍などを見させて頂きます
では、これから向こうの世界へ行かれますが、心の準備はよろしいですか?」
「……ええ、大丈夫です」
私はそう言って頭に機械を被り、ベッドに横になった。
「それでは、お気をつけて」
ーー
「!?
ここは?」
私が目覚めると、何やら何処かの草むらに居た。
私、確かさっきまで病院にいて……
ということは、ここが医師の言っていた貴志の意識の世界なの?
「人間だ!」
「人間!」
「え!?」
何やら、いきなりポヨポヨしている水色の物体が三体ほど現れた。
「何これ……」
「危ない!」
すると、後ろから若い男性の声がした。
そして、男性は私の前に立ち、持っていた剣でたちまちその水色の物体を切り倒した。
そして、何故かあの水色の物体達がいた所にお金の様な物が落ちている。
「危なかったですね、大丈夫ですか?」
そう私は若い少年に手を差し伸べられた。
その少年は金色の髪に青い瞳をしており、かなり美形だった。
一瞬ドキッとしてしまう。
(……っは!駄目よ美智子、私には貴利という旦那がいるでしょう!?)
危うく10代の頃を思い出してときめきかけるところだったわ。
この歳にあんなイケメンを間近で見るのは危険ね。
「あの、とても可愛らしいですね」
そうイケメンに言われ、またもやドキッとしてしまいそうになる。
外国人?だから女性へのお世辞が上手いのだろうか?
「いや、私なんておばさんですよ?
からかわないで下さい」
「え?でも同い年位に見えますよ?
おばさんだなんてそんな」
そう少年は驚いた様に私を見る。
そういえば、外国人から見たらアジア人って幼く見られると聞いた事がある。
ということは、私もこの世界では20代で通じちゃったりして!?
(……なーんて、まさかね)
「あ、ところで、此処に田中貴志って名前の日本人の少年見ませんでしたか?
黒髪に黒目のごく普通の少年なんですけど」
私は早速息子を探すべく少年に質問した。
「タナカタカシ?
すみません、聞いたことない名前ですね」
「そうでしたか、ありがとうございます」
私としては貴志の意識の中なんだから、入ったら直ぐに見つかると思っていたけれど、何だか想像していた世界と全然違う。
「人探しでしたら、村へ行った方が人も多いし、情報も見つかるかもしれません」
「村もあるんですか、この世界」
私はてっきりこんな草原がずっと続いていると思っていた。
「はい、少し下がれば、マフィーがあります」
「マフィー?」
どうやら、この少年といい、ここは海外の様だ。
しかし、それなら尚更普通の日本人の貴志は見つけやすいはず。
「分かりました、ではそこのマフィーまで行ってきます」
そう私が言うと、少年が付いてきた。
「待ってください。この辺のモンスターはまだ弱いですが、さっきみたいにスライムが群れて襲ってくる事もあります。
俺もその町に用があるので、一緒に行きましょう」
「え?いいの?ありがとう」
本当は一人で行くのが少し心細かったので、その申し出はありがたかった。
「ところで、お嬢さんのお名前は?」
「やーね、お嬢さんなんて。
私は田中美智子よ」
「タナカミチコさんですね、俺の名前はアウルと言います」
「アウルさんね、よろしくね」
こうして、私とアウルはマフィーへと向かっていった。
それはありがたいです。
では、こちらにサインを」
私は差し出された同意書をじっくりと読む。命の保証はされ、絶対に1時間のみの使用ということが書かれていた。
「因みに、貴方が向こうの世界へ行った後、貴方のことはモニターから常に誰かが異常がないか見ています。
もし貴方の体に異常が来されたら強制終了される仕組みになっています。」
そして私の手首に何やら白いリストバンドの様な物がつけられた。
「こちらで貴方の心拍数や脈拍などを見させて頂きます
では、これから向こうの世界へ行かれますが、心の準備はよろしいですか?」
「……ええ、大丈夫です」
私はそう言って頭に機械を被り、ベッドに横になった。
「それでは、お気をつけて」
ーー
「!?
ここは?」
私が目覚めると、何やら何処かの草むらに居た。
私、確かさっきまで病院にいて……
ということは、ここが医師の言っていた貴志の意識の世界なの?
「人間だ!」
「人間!」
「え!?」
何やら、いきなりポヨポヨしている水色の物体が三体ほど現れた。
「何これ……」
「危ない!」
すると、後ろから若い男性の声がした。
そして、男性は私の前に立ち、持っていた剣でたちまちその水色の物体を切り倒した。
そして、何故かあの水色の物体達がいた所にお金の様な物が落ちている。
「危なかったですね、大丈夫ですか?」
そう私は若い少年に手を差し伸べられた。
その少年は金色の髪に青い瞳をしており、かなり美形だった。
一瞬ドキッとしてしまう。
(……っは!駄目よ美智子、私には貴利という旦那がいるでしょう!?)
危うく10代の頃を思い出してときめきかけるところだったわ。
この歳にあんなイケメンを間近で見るのは危険ね。
「あの、とても可愛らしいですね」
そうイケメンに言われ、またもやドキッとしてしまいそうになる。
外国人?だから女性へのお世辞が上手いのだろうか?
「いや、私なんておばさんですよ?
からかわないで下さい」
「え?でも同い年位に見えますよ?
おばさんだなんてそんな」
そう少年は驚いた様に私を見る。
そういえば、外国人から見たらアジア人って幼く見られると聞いた事がある。
ということは、私もこの世界では20代で通じちゃったりして!?
(……なーんて、まさかね)
「あ、ところで、此処に田中貴志って名前の日本人の少年見ませんでしたか?
黒髪に黒目のごく普通の少年なんですけど」
私は早速息子を探すべく少年に質問した。
「タナカタカシ?
すみません、聞いたことない名前ですね」
「そうでしたか、ありがとうございます」
私としては貴志の意識の中なんだから、入ったら直ぐに見つかると思っていたけれど、何だか想像していた世界と全然違う。
「人探しでしたら、村へ行った方が人も多いし、情報も見つかるかもしれません」
「村もあるんですか、この世界」
私はてっきりこんな草原がずっと続いていると思っていた。
「はい、少し下がれば、マフィーがあります」
「マフィー?」
どうやら、この少年といい、ここは海外の様だ。
しかし、それなら尚更普通の日本人の貴志は見つけやすいはず。
「分かりました、ではそこのマフィーまで行ってきます」
そう私が言うと、少年が付いてきた。
「待ってください。この辺のモンスターはまだ弱いですが、さっきみたいにスライムが群れて襲ってくる事もあります。
俺もその町に用があるので、一緒に行きましょう」
「え?いいの?ありがとう」
本当は一人で行くのが少し心細かったので、その申し出はありがたかった。
「ところで、お嬢さんのお名前は?」
「やーね、お嬢さんなんて。
私は田中美智子よ」
「タナカミチコさんですね、俺の名前はアウルと言います」
「アウルさんね、よろしくね」
こうして、私とアウルはマフィーへと向かっていった。
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