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新しい家族
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「オリヴィアちゃん! ノア!
おかえりー!!」
私がノアと一緒にハワード家に入ると、私の方目掛けてエマが勢いよく抱きついてきた。
「はいはい。あいも変わらず元気そうで何よりね」
私はそんなエマを何とか引き剥がそうとするが、やはり力が強すぎて敵わない。
むしろ、前よりも力が強くなっている気がする……。
「もう! 2人とも下町に住み出してから全然帰ってきてくれないんだもん!」
エマは私に抱きつきながらぷんぷんと怒りだす。
「こらエマ、2人とも朝早くに帰ってきて疲れてるだろうから困らせるんじゃないぞ」
「……はーい」
そして後から駆け寄って来たルーカスに注意され、エマは渋々私を離してくれた。
「ノア、オリヴィア様、おかえり」
それからルーカスはにこにこと笑顔で私達に挨拶してきたので、私達も2人に挨拶した。
「エマにルーカス、ただいま」
「エマ姉さん、ルーカス兄さん、ただいまです♪」
すると、ルーカスの足元からひょっこりと小さな女の子が顔を出した。
その女の子は目元や眉など顔のパーツはルーカスに似ていたが、全体的な見た目は長い黒髪に黒目と幼い頃の私にそっくりだった。
「あ、マヤちゃん。ただいま」
「何だかますますリヴィに似てきたね」
そんなノアの言葉にルーカスが反応し笑顔で話し出す。
「俺とオリヴィア様に似てるから側からみたら俺とオリヴィア様の子に間違えられちゃったりしてな!」
勿論冗談のつもりで言ったのだろうけど、それを聞いたノアが物凄い形相でルーカスを睨んでいた。
「ルーカス兄さん、例え冗談でも言っていい事と悪い事がありますよね?」
「ご、ごめん! ノア!」
そのあまりのノアの形相にルーカスは慌てて謝りだす。
そんなノアとルーカスを見て私はやれやれと呆れていた。
「何もそこまで怒んなくても……ハワード子爵と母さんの子なんだから多少似ててもおかしくないでしょ?」
そう。何を隠そうこのマヤちゃんという女の子は私とノアが付き合いだした後に母さんが産んだ私達の妹なのである。
ハワード子爵は元々ルーカスに似ているし、母さんも私と似ているので、その両方に似るのは当然と言えば当然だった。
「……のあにーちゃ、おりびゃねーちゃ、おかえいー」
それからマヤちゃんは照れながらもにっこりと笑顔で私とノアにそう挨拶した。
「ねえノア! マヤちゃんすっごい可愛いでしょ!?
ノアとオリヴィアちゃんが出て行った後から喋る様になったのよー♪」
「本当に可愛らしいよな!」
まるで我が子を自慢する様に話すエマとルーカスの言葉に、しかしノアは反応せずに真顔でマヤちゃんを見ていた。
「あ、でもノアは毎日オリヴィアちゃんと一緒にいるんだし、全然マヤちゃんの可愛さなんて効かないわよね」
と思ったら、ノアは声もなくその場に崩れ落ちた。
「ってノア!?」
「ち、小さいリヴィが、笑顔でおかえりって……」
それからノアは感動のあまり声もなく涙を流し出した。
「い、1番重症だったわ……!」
一方そんなマヤちゃんを見て私は思わず両手で顔を覆う。
「何だか昔の自分を見ている様で恥ずかしすぎて辛い……」
「オリヴィア様まで別の意味でダメージを受けている……!」
「大丈夫なのかしらこの2人」
ルーカスとエマはそんな私とノアを見て呆れていた。
その後私達はみんなで広間へ行くと、今度は母さんとハワード子爵が出迎えてくれた。
「オリヴィアにノア君!
おかえりー♪
元気にしてた??」
「オリヴィアちゃん、ノア、おかえり。
下町での暮らしは大丈夫だったかい?」
2人にそう問い掛けられ、私とノアはそれぞれ返事をする。
「母さん、お義父様、ただいま。
私もノアも元気よ」
「お父様、お義母様、ただいまです。
下町でも今のところ楽しくやれてますよ」
私達の返事を聞いて安心したかの様にハワード子爵は微笑んだ。
「そうか。それは良かった」
「ノア様、オリヴィアお嬢様、おかえりなさい。
2人ともお元気そうで何よりです」
「おかえりなさいませ、ノア様、オリヴィアお嬢様」
母さんとハワード子爵に挨拶を済ませた後、メアリーとソフィアからも挨拶された。
「メアリー、ソフィア、ただいまです」
「ソフィア、メアリーただいま
あ、後メアリー、ちょっとこっち来てくれないかしら?」
「オリヴィアお嬢様、何でしょうか?」
私はメアリーに手招きして少し屈んでもらった後に、メアリーだけに聞こえるように小声で耳打ちした。
「メアリー、あの時相談にのってくれてありがとう」
今更ではあるが、そういえばノアを好きだと気付いた後メアリーにきちんとお礼を言えていなかったと思い私が改めて礼を言うと、メアリーはくすりと優しく微笑んだ。
「いえいえ、私は特に何もしていませんよ?
それに、私は最初てっきりオリヴィアお嬢様はアデック王子と付き合うのかなと思っていましたが」
メアリーにそう言われて私は目を丸くする。
「いやいや、そんな訳ないでしょう?」
私がそう笑って否定すると、メアリーはそうでしたか、と微笑んだ。
「まあオリヴィアお嬢様が1番好きな人と結ばれたのなら私もとても嬉しい限りです」
「メアリー、ありがとう」
それから私とノアは他の使用人達にも軽く挨拶を済ませた後、待ってましたとばかりにエマが話しかけてきた。
「ねえノアにオリヴィアちゃん!
下町での生活の話是非聞きたいわ!」
「まあ、結婚式は昼からだからまだ時間もあるし、別にいいけど……」
それから私とノアの2人で少しずつ下町での生活の事を話し出した。
私とノアが下町に住む事になったのは、今年の4月の事だ。
「ノアもオリヴィアちゃんも出て行くとなると寂しくなるわ……」
「ノア! オリヴィア様! 元気でな!
何かあったらすぐに帰ってくるんだぞ!」
「分かったわ。それじゃあね」
「皆さん、今までお世話になりました。
それじゃあまた」
みんなに見送られた私とノアはブルーラインの一角にある借家へと訪れていた。
「最初から家具付きで日当たり良好の家を借りれて良かったわ。
それに結構綺麗だし」
「まあその辺はお父様が手配してくれた感じだろうけどね」
「本当ハワード子爵には頭が上がらないわ」
その家は手前が小さめのお店の様な作りになっていた。
「でもまさかリヴィがお店を開きたいと言うとは思わなかったな」
お店の方を見ながらノアは感慨深くそう言った。
「まあね。でも外に働きに出るより家で働けたら良いなと思ったのよ」
本当はアクセサリーを売っているお店に働きに行こうかとも考えたのだが、どうせなら自分の作った物を売りたいと思いお店を出したいと提案したのだ。
それと、多分子供の頃本当は母さんに家に居て欲しいと思っていた事も家で店を開きたいと考えた理由の一つになっているのだと思う。
「そっか」
「そういうノアこそ、安定求めて講師なり牧師なり目指すって言ってた割に、結局絵の道に進むんでしょ?」
私がそう尋ねると、ノアはまあねと返事をした。
「リヴィとしては安定してた方が良かった?」
「まあ安定してた方がいいのかもしれないけど、夢を追うのも悪くないんじゃない?
でも、どうして本気で画家を目指そうと思ったの?」
私の問いに、ノアは照れ臭そうに答える。
「リヴィが俺の絵を好きだって言ってくれたから。
単純に嬉しかったんだよね。
俺の描いた絵でも好きだとか欲しいって言ってくれる人がいるんだと思ったら、もう少しちゃんと頑張ろうかなって思って」
「そうだったんだ」
それから私は手作りのアクセサリーや手芸用品を主に売ってる雑貨屋さんとして店を開いて、ノアはノアで絵を習う為先生の元でアシスタントとして働きだしたのだった。
「オリヴィアちゃんのお店のアクセサリー可愛いのよね! 私また行きたいわ!」
「ノアも絵が大分上達したよな!
それで、2人とも売れ行きの調子はどうだい?」
ルーカスに問われて私達はそれぞれ答える。
「まあぼちぼち売れてるわね。
観光客も割と通る場所にあるから観光シーズンは割と儲かってるわ」
「僕も少しずつだけど絵が売れ始めました」
「そうか。2人とも上手くいってる様で良かった」
そう笑顔で喜んでくれているルーカスに私とノアはお礼を言った。
「ルーカスこそ、お店の出店の仕方とか資金繰りとか、色々とお世話になったわ」
「本当にその事に関してはありがとうございます」
「いやいや、2人から頼られて俺も嬉しかったぞ!」
そしてぺこりと頭を下げる私達にルーカスは謙遜しながらも嬉しそうに答えた。
実はお店を出すにしろ、ノアも絵を売るにしろ、何も知識がなく困っていたところをルーカスに軽く相談したらルーカスが事細かにサポートしてくれたのだ。
「お店を開きたいけど、どうしたらいいのかしら?」
「僕もどうやって絵を売り出そうか悩んでるんですよね」
「ん? そうなのか?
自営業をやるならこういう保険があって、いざという時にはこうで、税金なんかはこうして……」
という感じで、ルーカスの知識がいかんなく発揮された瞬間だった。
「ルーカス兄様もそういう所は頼りになるものね!」
「まあ、いずれ父様の後を継ぐ為に色々と勉強していた知識が役に立って良かったよ」
因みにルーカスは今現在ハワード子爵の後を継ぐ為に仕事を一緒にしており、エマはエマで花嫁修行として母さんから料理を習っているそうだ。
「あ、それよりそろそろ式場に向かわないとね!」
「そうだな。じゃあみんなで向かうか」
こうして私達ハワード家は一家総出で式場まで向かったのだった。
それから式場に着いて間もなく私はエマに手を引かれた。
「それじゃあオリヴィアちゃん、一緒に着替えに行きましょ!
ノアとルーカス兄様、また後でね!」
「分かったわよ。
じゃあノア、ルーカス、また後で」
「ああ、また後でな!」
「リヴィ、楽しみにしてるよ♡
それじゃあまた後で」
こうして私はエマに連れられて着替えに行くのだった。
おかえりー!!」
私がノアと一緒にハワード家に入ると、私の方目掛けてエマが勢いよく抱きついてきた。
「はいはい。あいも変わらず元気そうで何よりね」
私はそんなエマを何とか引き剥がそうとするが、やはり力が強すぎて敵わない。
むしろ、前よりも力が強くなっている気がする……。
「もう! 2人とも下町に住み出してから全然帰ってきてくれないんだもん!」
エマは私に抱きつきながらぷんぷんと怒りだす。
「こらエマ、2人とも朝早くに帰ってきて疲れてるだろうから困らせるんじゃないぞ」
「……はーい」
そして後から駆け寄って来たルーカスに注意され、エマは渋々私を離してくれた。
「ノア、オリヴィア様、おかえり」
それからルーカスはにこにこと笑顔で私達に挨拶してきたので、私達も2人に挨拶した。
「エマにルーカス、ただいま」
「エマ姉さん、ルーカス兄さん、ただいまです♪」
すると、ルーカスの足元からひょっこりと小さな女の子が顔を出した。
その女の子は目元や眉など顔のパーツはルーカスに似ていたが、全体的な見た目は長い黒髪に黒目と幼い頃の私にそっくりだった。
「あ、マヤちゃん。ただいま」
「何だかますますリヴィに似てきたね」
そんなノアの言葉にルーカスが反応し笑顔で話し出す。
「俺とオリヴィア様に似てるから側からみたら俺とオリヴィア様の子に間違えられちゃったりしてな!」
勿論冗談のつもりで言ったのだろうけど、それを聞いたノアが物凄い形相でルーカスを睨んでいた。
「ルーカス兄さん、例え冗談でも言っていい事と悪い事がありますよね?」
「ご、ごめん! ノア!」
そのあまりのノアの形相にルーカスは慌てて謝りだす。
そんなノアとルーカスを見て私はやれやれと呆れていた。
「何もそこまで怒んなくても……ハワード子爵と母さんの子なんだから多少似ててもおかしくないでしょ?」
そう。何を隠そうこのマヤちゃんという女の子は私とノアが付き合いだした後に母さんが産んだ私達の妹なのである。
ハワード子爵は元々ルーカスに似ているし、母さんも私と似ているので、その両方に似るのは当然と言えば当然だった。
「……のあにーちゃ、おりびゃねーちゃ、おかえいー」
それからマヤちゃんは照れながらもにっこりと笑顔で私とノアにそう挨拶した。
「ねえノア! マヤちゃんすっごい可愛いでしょ!?
ノアとオリヴィアちゃんが出て行った後から喋る様になったのよー♪」
「本当に可愛らしいよな!」
まるで我が子を自慢する様に話すエマとルーカスの言葉に、しかしノアは反応せずに真顔でマヤちゃんを見ていた。
「あ、でもノアは毎日オリヴィアちゃんと一緒にいるんだし、全然マヤちゃんの可愛さなんて効かないわよね」
と思ったら、ノアは声もなくその場に崩れ落ちた。
「ってノア!?」
「ち、小さいリヴィが、笑顔でおかえりって……」
それからノアは感動のあまり声もなく涙を流し出した。
「い、1番重症だったわ……!」
一方そんなマヤちゃんを見て私は思わず両手で顔を覆う。
「何だか昔の自分を見ている様で恥ずかしすぎて辛い……」
「オリヴィア様まで別の意味でダメージを受けている……!」
「大丈夫なのかしらこの2人」
ルーカスとエマはそんな私とノアを見て呆れていた。
その後私達はみんなで広間へ行くと、今度は母さんとハワード子爵が出迎えてくれた。
「オリヴィアにノア君!
おかえりー♪
元気にしてた??」
「オリヴィアちゃん、ノア、おかえり。
下町での暮らしは大丈夫だったかい?」
2人にそう問い掛けられ、私とノアはそれぞれ返事をする。
「母さん、お義父様、ただいま。
私もノアも元気よ」
「お父様、お義母様、ただいまです。
下町でも今のところ楽しくやれてますよ」
私達の返事を聞いて安心したかの様にハワード子爵は微笑んだ。
「そうか。それは良かった」
「ノア様、オリヴィアお嬢様、おかえりなさい。
2人ともお元気そうで何よりです」
「おかえりなさいませ、ノア様、オリヴィアお嬢様」
母さんとハワード子爵に挨拶を済ませた後、メアリーとソフィアからも挨拶された。
「メアリー、ソフィア、ただいまです」
「ソフィア、メアリーただいま
あ、後メアリー、ちょっとこっち来てくれないかしら?」
「オリヴィアお嬢様、何でしょうか?」
私はメアリーに手招きして少し屈んでもらった後に、メアリーだけに聞こえるように小声で耳打ちした。
「メアリー、あの時相談にのってくれてありがとう」
今更ではあるが、そういえばノアを好きだと気付いた後メアリーにきちんとお礼を言えていなかったと思い私が改めて礼を言うと、メアリーはくすりと優しく微笑んだ。
「いえいえ、私は特に何もしていませんよ?
それに、私は最初てっきりオリヴィアお嬢様はアデック王子と付き合うのかなと思っていましたが」
メアリーにそう言われて私は目を丸くする。
「いやいや、そんな訳ないでしょう?」
私がそう笑って否定すると、メアリーはそうでしたか、と微笑んだ。
「まあオリヴィアお嬢様が1番好きな人と結ばれたのなら私もとても嬉しい限りです」
「メアリー、ありがとう」
それから私とノアは他の使用人達にも軽く挨拶を済ませた後、待ってましたとばかりにエマが話しかけてきた。
「ねえノアにオリヴィアちゃん!
下町での生活の話是非聞きたいわ!」
「まあ、結婚式は昼からだからまだ時間もあるし、別にいいけど……」
それから私とノアの2人で少しずつ下町での生活の事を話し出した。
私とノアが下町に住む事になったのは、今年の4月の事だ。
「ノアもオリヴィアちゃんも出て行くとなると寂しくなるわ……」
「ノア! オリヴィア様! 元気でな!
何かあったらすぐに帰ってくるんだぞ!」
「分かったわ。それじゃあね」
「皆さん、今までお世話になりました。
それじゃあまた」
みんなに見送られた私とノアはブルーラインの一角にある借家へと訪れていた。
「最初から家具付きで日当たり良好の家を借りれて良かったわ。
それに結構綺麗だし」
「まあその辺はお父様が手配してくれた感じだろうけどね」
「本当ハワード子爵には頭が上がらないわ」
その家は手前が小さめのお店の様な作りになっていた。
「でもまさかリヴィがお店を開きたいと言うとは思わなかったな」
お店の方を見ながらノアは感慨深くそう言った。
「まあね。でも外に働きに出るより家で働けたら良いなと思ったのよ」
本当はアクセサリーを売っているお店に働きに行こうかとも考えたのだが、どうせなら自分の作った物を売りたいと思いお店を出したいと提案したのだ。
それと、多分子供の頃本当は母さんに家に居て欲しいと思っていた事も家で店を開きたいと考えた理由の一つになっているのだと思う。
「そっか」
「そういうノアこそ、安定求めて講師なり牧師なり目指すって言ってた割に、結局絵の道に進むんでしょ?」
私がそう尋ねると、ノアはまあねと返事をした。
「リヴィとしては安定してた方が良かった?」
「まあ安定してた方がいいのかもしれないけど、夢を追うのも悪くないんじゃない?
でも、どうして本気で画家を目指そうと思ったの?」
私の問いに、ノアは照れ臭そうに答える。
「リヴィが俺の絵を好きだって言ってくれたから。
単純に嬉しかったんだよね。
俺の描いた絵でも好きだとか欲しいって言ってくれる人がいるんだと思ったら、もう少しちゃんと頑張ろうかなって思って」
「そうだったんだ」
それから私は手作りのアクセサリーや手芸用品を主に売ってる雑貨屋さんとして店を開いて、ノアはノアで絵を習う為先生の元でアシスタントとして働きだしたのだった。
「オリヴィアちゃんのお店のアクセサリー可愛いのよね! 私また行きたいわ!」
「ノアも絵が大分上達したよな!
それで、2人とも売れ行きの調子はどうだい?」
ルーカスに問われて私達はそれぞれ答える。
「まあぼちぼち売れてるわね。
観光客も割と通る場所にあるから観光シーズンは割と儲かってるわ」
「僕も少しずつだけど絵が売れ始めました」
「そうか。2人とも上手くいってる様で良かった」
そう笑顔で喜んでくれているルーカスに私とノアはお礼を言った。
「ルーカスこそ、お店の出店の仕方とか資金繰りとか、色々とお世話になったわ」
「本当にその事に関してはありがとうございます」
「いやいや、2人から頼られて俺も嬉しかったぞ!」
そしてぺこりと頭を下げる私達にルーカスは謙遜しながらも嬉しそうに答えた。
実はお店を出すにしろ、ノアも絵を売るにしろ、何も知識がなく困っていたところをルーカスに軽く相談したらルーカスが事細かにサポートしてくれたのだ。
「お店を開きたいけど、どうしたらいいのかしら?」
「僕もどうやって絵を売り出そうか悩んでるんですよね」
「ん? そうなのか?
自営業をやるならこういう保険があって、いざという時にはこうで、税金なんかはこうして……」
という感じで、ルーカスの知識がいかんなく発揮された瞬間だった。
「ルーカス兄様もそういう所は頼りになるものね!」
「まあ、いずれ父様の後を継ぐ為に色々と勉強していた知識が役に立って良かったよ」
因みにルーカスは今現在ハワード子爵の後を継ぐ為に仕事を一緒にしており、エマはエマで花嫁修行として母さんから料理を習っているそうだ。
「あ、それよりそろそろ式場に向かわないとね!」
「そうだな。じゃあみんなで向かうか」
こうして私達ハワード家は一家総出で式場まで向かったのだった。
それから式場に着いて間もなく私はエマに手を引かれた。
「それじゃあオリヴィアちゃん、一緒に着替えに行きましょ!
ノアとルーカス兄様、また後でね!」
「分かったわよ。
じゃあノア、ルーカス、また後で」
「ああ、また後でな!」
「リヴィ、楽しみにしてるよ♡
それじゃあまた後で」
こうして私はエマに連れられて着替えに行くのだった。
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