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「ん……夢、か」
土曜日の早朝4時半。
ソフィアは目を擦りながらゆっくりとベッドから起き上がった。
「はぁ~朝から嫌な夢見てついてないな」
そう呟いたソフィアは寝巻きを脱いでメイド服に着替えながらやれやれと溜め息を吐いていた。
そして、時は過ぎて土曜日のお昼12時。
「おー、オリヴィアよく来たな……って、今回ソフィアも居るのかよ」
「何よ? 私が居るのが何か問題?」
私とソフィアはアレシアの屋敷へとやって来ていた。
そんな私達を出迎えたのが案の定先生であり、先生はソフィアを見て嫌そうな顔を浮かべる。
「問題でもねーけどよ。
まあいいや、どーぞお入り下せえ」
それから先生は相変わらずやる気なさそうに私達を案内しだした。
しかし、途中で思い出したかの様に先生はソフィアの方を振り向いて声をかける。
「あ、ソフィア。お前は客間で待ってろ。
何かアレシアの奴がオリヴィアだけ連れてこいって行ってたからさ」
「……そーですか。
分かりました」
先生にそう言われてソフィアは1人客間へと戻っていった。
「おい、連れてきたぞー」
その後先生は私1人を連れてノックもせずに広間のドアをガチャンと開ける。
するとそこには余裕そうに微笑んでいるアレシアと、私の姿を見てびっくりして目を見開いているノアの姿があった。
「オリヴィア姉様!?」
「久しぶりね、ノア」
私は久しぶりに会うノアを変に意識しない様なるべく冷静に答える。
「どう? ノア君びっくりした?」
そんなノアの横で、くすくすと面白そうにアレシアが笑っていた。
「一体これは?」
「前にも話したじゃない?
また3人で遊びたいって。
だから今回ノア君にサプライズでオリヴィア様を呼んだのよ。
オリヴィア様も来てくれてありがとう」
「いいえ。こちらこそお招き下さりありがとうございます」
驚いているノアを他所に私はアレシアに対してペコリと頭を下げながら取り敢えずお礼を言った。
「さて、それじゃあ今回は何をして遊びましょうか?
どうせならノルトギアの遊びとかあったら聞きたいものだわ」
私に本性がバレていないと思っているアレシアは依然何事もないかの様に振る舞ってくる。
私はそんなアレシアを見て、一息ゆっくり深呼吸してから話し出した。
「すみませんアレシア姫、お願いがあるのですけれど」
「あら、何かしら?」
私はにこにこと笑顔で問い返してくるアレシアをスッと見据えて口を開いた。
「ノアを返して頂けませんか?」
「えっ!?」
「……あら」
私の言葉にノアは驚き、アレシアは余裕そうに笑みを浮かべている。
そのどこまでも黒く何の光も通さない瞳は、まるで悪意そのものの様に翳っていた。
「私、やっぱりノアがアレシア姫を好きだという事が納得いかないんです。
アレシア姫、本当は貴女がノアを脅したんじゃないんですか?」
「オ、オリヴィア姉様!?
何を言ってるんですか!?」
私のあまりにストレート過ぎる質問にノアは慌てているが、アレシアはまだ余裕そうに微笑んでいる。
「私、前にオリヴィア様に訊いたわよね?
ノア君の事もらってもいいかって。
オリヴィア様はそれに対してどうとも言えないと言ってたわよね?」
「え?」
アレシアの私に対しての質問にノアはびっくりしたのか目を見開いていた。
まあ確かにノアが居ない時に私はそう答えはしたけれど。
「そりゃあ、私が人の気持ちにとやかく言う権限ありませんからね。
それに、私が駄目と言ったところで貴女はどうせ奪うつもりだったんじゃないんですか?
今までの様に」
私はわざと挑発的にそう尋ねると、アレシアの瞳が更に翳りだした。
「……それはどういう意味かしら?」
「そのままの意味ですよアレシア姫。
自身の心に訊いてみたら如何ですか?
思い当たる節があると思いますが」
まるで知ってるかの様にそう言ってはみるが、実際私はアレシアの過去の悪事なんて詳しくは知らないのでこれははったりである。
しかし、恐らく何かしらの悪事には働いているのか、アレシアは否定するでもなくにやにやとした口調で問い掛けてくる。
「……へえ、貴女私の事どこまで知ってるのかしら?」
「正直そこまで詳しくは知りません。
でも、貴女のその瞳はよく知っていますよ。
そういう悪意に満ちた瞳をしてる人でろくな人は居ませんでしたから」
「オリヴィア姉様、それ以上は!」
「ノア君はちょっと黙ってて」
ノアが私の挑発を止めようとしたが、しかしそんなノアをアレシアが更に止める。
「そもそもオリヴィア様はノア君の事好きかどうか分からないんじゃなかったの?
今更返してだなんて、どういう事?」
アレシアの問いに私はゆっくりと口を開く。
「……約束、したから」
「約束?」
「ええ。もし私もノアも下町で暮らす事になったら近場に暮らすって約束したんです」
「近場で? 一緒にじゃなくて?」
問い返されてまあ確かに言ってて締まらないよなぁと思いつつ私は言い返す。
「そこはまあそうだけど。
でも私の方が先に約束してたんだから、ノアの事返してよね」
はっきり言ってノアを返して欲しい理由にしては大分弱い気がするが私はアレシアを睨みつけながらそう豪語した。
「ふーん、そこまで言うだなんて、オリヴィア様もしかしてノア君の事が好きなのかしら?」
アレシアの問いに、私は深呼吸した後に答えた。
「ええそうよ」
私はドキドキいってる心臓を押さえつけてそう答えながら、アデックとの作戦を思い出していた。
数日前、アデックと部屋で話していた時の事。
「アレシア姫の事をとことん煽って欲しい」
「……煽って?」
アデックの言葉の真意が分からず私はアデックにそう訊き返していた。
「ああ。そんで、アレシア姫の本性を炙り出して録音する」
「録音って、どうやってですか?」
アデックから返ってきた返事を聞いて、私は更に訳が分からなくなる。
機械には疎いのでその辺はよく分からないが、確か録音する機械ってそんな小型な物でもないだろうし、アレシア姫の目を盗んで録音だなんて難しい気がするのだが。
私がそう考えていると、アデックはニヤリと悪戯っ子の様な笑みを浮かべて話を続ける。
「録音機器はホワイトブラン先生に頼むから任せとけ。
簡単に作戦を説明するなら、まず俺とお前でトランシーバーを持つ。
それからお前がアレシア姫を煽って本性が出てきたところでお前が持っているトランシーバーを付けっ放しにする。
そしたら俺のトランシーバーにその会話が流れてくるから、俺は録音機器を使ってその会話を録音するって感じだな」
「トランシーバーって、前にオルトレアで使った奴ですか?」
私はオルトレアでの時の事をチラリと思い出しながらアデックに質問すると、アデックは頷きながら答えた。
「ああそうだ。
要するに前回オルトレアでノア君がトランシーバーを付けっ放しにした時と同じ様にすればいいってだけの話だ。
因みに途中アレシア姫がキレて危なくなったら俺も加勢出来るよう近くで身を隠しておくから、お前は安心して煽っていいぞ」
アデックの作戦を聞いて私は納得する。
確かに、この方法ならアレシアの弱みを握る事が出来るかもしれない。
「でも煽るって、どうすれば……」
私がアレシアをどう煽ろうか悩んでいると、アデックがさも当たり前の様に口を開いた。
「まあ1番はお前がノアの事好きだから返せとでも言えばアレシアも本性をみせるんじゃねーか?」
アデックからのその言葉を聞いた瞬間、私は自分でも分かるくらい一気に顔が赤くなる。
「え!? い、いや、何も私がノアを好きだと言わなくても良くないですか!?」
私が動揺しながらそう反論すると、アデックはしれっと言葉を続けた。
「何焦ってんだ?
お前前にもノアと付き合ってるフリとかしてたんだし、今更嘘の告白くらいどうって事ないだろ?」
「いや、まあそんな事もありましたけど!
今は事情が違うと言いますか……」
確かにあの時はノアと付き合うフリをしていても何とも思わなかったが、今はなるべくノアを意識したくない。
そんな私の心情を察したのか、アデックはニヤリと意地悪そうに笑いながら問い掛けてきた。
「オリヴィア、お前さては本当にノアの事好きなんだな?」
「へ!? い、いや、そんな事ないです!」
アデックに図星を突かれて慌てて否定するが、アデックはニヤニヤした顔でまあまあと私を宥めながら更に話を続ける。
「やっとお前も自分の気持ちに気付けたんだし、良かったじゃないか」
「いや、だから違……!
……ん? やっと気付けたって?」
アデックの言い回しにかすかな疑問を抱くと、アデックはああ、と笑顔で答えた。
「お前がノアの事好きだって、割と前から知っていたぞ?」
「……えぇ!? いや、何で!?
何で知ってるんですか!?」
驚いて問い掛ける私にアデックはやれやれと呆れながら答える。
「そりゃあお前の言動見てれば察しはつくって。
まあ気付いてたのは俺くらいだろうけどな」
アデックの回答を聞いて改めてアデックにだけは嘘はつけないなと私は思った。
「というか、それなら逆にそのまま本当に告白しちまえば良いじゃないか。
アレシア姫も煽れるし、ノアにも気持ちを伝えられるし一石二鳥だろ?」
「いや、でも今はノアの事を意識したくないというか……」
私がしどろもどろにそう言っていると、アデックははぁ、と溜め息を吐く。
「お前はノアを助けたいんじゃないのか?」
「そりゃあ助けたいですけど……」
「なら恥ずかしがってる場合じゃないだろ?」
アデックにそう言い切られて私はうっ、と顔をしかめるも、確かにアレシアを煽る1番良い方法であるには違いない。
「……上手くいくか分かりませんが、まあ、一応頑張ってみます」
これもノアを助ける為と、私は腹を括ってノアに告白する事にしたのだ。
土曜日の早朝4時半。
ソフィアは目を擦りながらゆっくりとベッドから起き上がった。
「はぁ~朝から嫌な夢見てついてないな」
そう呟いたソフィアは寝巻きを脱いでメイド服に着替えながらやれやれと溜め息を吐いていた。
そして、時は過ぎて土曜日のお昼12時。
「おー、オリヴィアよく来たな……って、今回ソフィアも居るのかよ」
「何よ? 私が居るのが何か問題?」
私とソフィアはアレシアの屋敷へとやって来ていた。
そんな私達を出迎えたのが案の定先生であり、先生はソフィアを見て嫌そうな顔を浮かべる。
「問題でもねーけどよ。
まあいいや、どーぞお入り下せえ」
それから先生は相変わらずやる気なさそうに私達を案内しだした。
しかし、途中で思い出したかの様に先生はソフィアの方を振り向いて声をかける。
「あ、ソフィア。お前は客間で待ってろ。
何かアレシアの奴がオリヴィアだけ連れてこいって行ってたからさ」
「……そーですか。
分かりました」
先生にそう言われてソフィアは1人客間へと戻っていった。
「おい、連れてきたぞー」
その後先生は私1人を連れてノックもせずに広間のドアをガチャンと開ける。
するとそこには余裕そうに微笑んでいるアレシアと、私の姿を見てびっくりして目を見開いているノアの姿があった。
「オリヴィア姉様!?」
「久しぶりね、ノア」
私は久しぶりに会うノアを変に意識しない様なるべく冷静に答える。
「どう? ノア君びっくりした?」
そんなノアの横で、くすくすと面白そうにアレシアが笑っていた。
「一体これは?」
「前にも話したじゃない?
また3人で遊びたいって。
だから今回ノア君にサプライズでオリヴィア様を呼んだのよ。
オリヴィア様も来てくれてありがとう」
「いいえ。こちらこそお招き下さりありがとうございます」
驚いているノアを他所に私はアレシアに対してペコリと頭を下げながら取り敢えずお礼を言った。
「さて、それじゃあ今回は何をして遊びましょうか?
どうせならノルトギアの遊びとかあったら聞きたいものだわ」
私に本性がバレていないと思っているアレシアは依然何事もないかの様に振る舞ってくる。
私はそんなアレシアを見て、一息ゆっくり深呼吸してから話し出した。
「すみませんアレシア姫、お願いがあるのですけれど」
「あら、何かしら?」
私はにこにこと笑顔で問い返してくるアレシアをスッと見据えて口を開いた。
「ノアを返して頂けませんか?」
「えっ!?」
「……あら」
私の言葉にノアは驚き、アレシアは余裕そうに笑みを浮かべている。
そのどこまでも黒く何の光も通さない瞳は、まるで悪意そのものの様に翳っていた。
「私、やっぱりノアがアレシア姫を好きだという事が納得いかないんです。
アレシア姫、本当は貴女がノアを脅したんじゃないんですか?」
「オ、オリヴィア姉様!?
何を言ってるんですか!?」
私のあまりにストレート過ぎる質問にノアは慌てているが、アレシアはまだ余裕そうに微笑んでいる。
「私、前にオリヴィア様に訊いたわよね?
ノア君の事もらってもいいかって。
オリヴィア様はそれに対してどうとも言えないと言ってたわよね?」
「え?」
アレシアの私に対しての質問にノアはびっくりしたのか目を見開いていた。
まあ確かにノアが居ない時に私はそう答えはしたけれど。
「そりゃあ、私が人の気持ちにとやかく言う権限ありませんからね。
それに、私が駄目と言ったところで貴女はどうせ奪うつもりだったんじゃないんですか?
今までの様に」
私はわざと挑発的にそう尋ねると、アレシアの瞳が更に翳りだした。
「……それはどういう意味かしら?」
「そのままの意味ですよアレシア姫。
自身の心に訊いてみたら如何ですか?
思い当たる節があると思いますが」
まるで知ってるかの様にそう言ってはみるが、実際私はアレシアの過去の悪事なんて詳しくは知らないのでこれははったりである。
しかし、恐らく何かしらの悪事には働いているのか、アレシアは否定するでもなくにやにやとした口調で問い掛けてくる。
「……へえ、貴女私の事どこまで知ってるのかしら?」
「正直そこまで詳しくは知りません。
でも、貴女のその瞳はよく知っていますよ。
そういう悪意に満ちた瞳をしてる人でろくな人は居ませんでしたから」
「オリヴィア姉様、それ以上は!」
「ノア君はちょっと黙ってて」
ノアが私の挑発を止めようとしたが、しかしそんなノアをアレシアが更に止める。
「そもそもオリヴィア様はノア君の事好きかどうか分からないんじゃなかったの?
今更返してだなんて、どういう事?」
アレシアの問いに私はゆっくりと口を開く。
「……約束、したから」
「約束?」
「ええ。もし私もノアも下町で暮らす事になったら近場に暮らすって約束したんです」
「近場で? 一緒にじゃなくて?」
問い返されてまあ確かに言ってて締まらないよなぁと思いつつ私は言い返す。
「そこはまあそうだけど。
でも私の方が先に約束してたんだから、ノアの事返してよね」
はっきり言ってノアを返して欲しい理由にしては大分弱い気がするが私はアレシアを睨みつけながらそう豪語した。
「ふーん、そこまで言うだなんて、オリヴィア様もしかしてノア君の事が好きなのかしら?」
アレシアの問いに、私は深呼吸した後に答えた。
「ええそうよ」
私はドキドキいってる心臓を押さえつけてそう答えながら、アデックとの作戦を思い出していた。
数日前、アデックと部屋で話していた時の事。
「アレシア姫の事をとことん煽って欲しい」
「……煽って?」
アデックの言葉の真意が分からず私はアデックにそう訊き返していた。
「ああ。そんで、アレシア姫の本性を炙り出して録音する」
「録音って、どうやってですか?」
アデックから返ってきた返事を聞いて、私は更に訳が分からなくなる。
機械には疎いのでその辺はよく分からないが、確か録音する機械ってそんな小型な物でもないだろうし、アレシア姫の目を盗んで録音だなんて難しい気がするのだが。
私がそう考えていると、アデックはニヤリと悪戯っ子の様な笑みを浮かべて話を続ける。
「録音機器はホワイトブラン先生に頼むから任せとけ。
簡単に作戦を説明するなら、まず俺とお前でトランシーバーを持つ。
それからお前がアレシア姫を煽って本性が出てきたところでお前が持っているトランシーバーを付けっ放しにする。
そしたら俺のトランシーバーにその会話が流れてくるから、俺は録音機器を使ってその会話を録音するって感じだな」
「トランシーバーって、前にオルトレアで使った奴ですか?」
私はオルトレアでの時の事をチラリと思い出しながらアデックに質問すると、アデックは頷きながら答えた。
「ああそうだ。
要するに前回オルトレアでノア君がトランシーバーを付けっ放しにした時と同じ様にすればいいってだけの話だ。
因みに途中アレシア姫がキレて危なくなったら俺も加勢出来るよう近くで身を隠しておくから、お前は安心して煽っていいぞ」
アデックの作戦を聞いて私は納得する。
確かに、この方法ならアレシアの弱みを握る事が出来るかもしれない。
「でも煽るって、どうすれば……」
私がアレシアをどう煽ろうか悩んでいると、アデックがさも当たり前の様に口を開いた。
「まあ1番はお前がノアの事好きだから返せとでも言えばアレシアも本性をみせるんじゃねーか?」
アデックからのその言葉を聞いた瞬間、私は自分でも分かるくらい一気に顔が赤くなる。
「え!? い、いや、何も私がノアを好きだと言わなくても良くないですか!?」
私が動揺しながらそう反論すると、アデックはしれっと言葉を続けた。
「何焦ってんだ?
お前前にもノアと付き合ってるフリとかしてたんだし、今更嘘の告白くらいどうって事ないだろ?」
「いや、まあそんな事もありましたけど!
今は事情が違うと言いますか……」
確かにあの時はノアと付き合うフリをしていても何とも思わなかったが、今はなるべくノアを意識したくない。
そんな私の心情を察したのか、アデックはニヤリと意地悪そうに笑いながら問い掛けてきた。
「オリヴィア、お前さては本当にノアの事好きなんだな?」
「へ!? い、いや、そんな事ないです!」
アデックに図星を突かれて慌てて否定するが、アデックはニヤニヤした顔でまあまあと私を宥めながら更に話を続ける。
「やっとお前も自分の気持ちに気付けたんだし、良かったじゃないか」
「いや、だから違……!
……ん? やっと気付けたって?」
アデックの言い回しにかすかな疑問を抱くと、アデックはああ、と笑顔で答えた。
「お前がノアの事好きだって、割と前から知っていたぞ?」
「……えぇ!? いや、何で!?
何で知ってるんですか!?」
驚いて問い掛ける私にアデックはやれやれと呆れながら答える。
「そりゃあお前の言動見てれば察しはつくって。
まあ気付いてたのは俺くらいだろうけどな」
アデックの回答を聞いて改めてアデックにだけは嘘はつけないなと私は思った。
「というか、それなら逆にそのまま本当に告白しちまえば良いじゃないか。
アレシア姫も煽れるし、ノアにも気持ちを伝えられるし一石二鳥だろ?」
「いや、でも今はノアの事を意識したくないというか……」
私がしどろもどろにそう言っていると、アデックははぁ、と溜め息を吐く。
「お前はノアを助けたいんじゃないのか?」
「そりゃあ助けたいですけど……」
「なら恥ずかしがってる場合じゃないだろ?」
アデックにそう言い切られて私はうっ、と顔をしかめるも、確かにアレシアを煽る1番良い方法であるには違いない。
「……上手くいくか分かりませんが、まあ、一応頑張ってみます」
これもノアを助ける為と、私は腹を括ってノアに告白する事にしたのだ。
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