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クリスタルに導かれ
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ルーカスと買い物に下町に出かけた翌日。
「よし、誰にもバレていないわね?」
オリヴィアは庭園の抜け穴からお屋敷を抜け出して一人で下町までやって来ていた。
因みに普段のドレスの格好では浮いてしまう為、事前に下町時代の格好に着替え済みである。
それから、昨日訪れたお店にやって来ていた。
実はあの買い物から帰って来た後、お屋敷に戻ってからオリヴィアはずっと悩んでいたのである。
ルーカスの気に入っていたあの宝石を買うか否か。
そして悩んだ挙句、取り敢えずもう1度お店に行ってから買うかどうするか悩む事にしたのだ。
要するにまだ気持ちは固まっていないのだが、お屋敷でジッと考えても埒があかないと下町に出て来たという訳である。
しかし、私はお店に着いて早々に後悔する事になった。
「え? 売り切れた!?」
なんと、昨日見ていたあの宝石が売り切れていたのである。
「いやぁ、あの後すぐに別のお客様が購入されていってね」
「そうなんですか……分かりました」
「ごめんね?」
「いえ、こちらこそすみません」
申し訳なさそうな顔で謝る店主に私の方こそ申し訳なくなる。
別にその商品をとっといてくれと頼んだ訳でもないのだから、他に売れたのなら仕方がない事だ。
「はあ。こんな事なら昨日さっさと買っておけば良かったわ……。
ん?」
私は店を出て帰ろうととぼとぼと歩いていると、路上販売しているお店に見覚えのある青いクリスタルが見えた。
「あれって!」
私はその路上販売のお店に近付いてその宝石をよくよく見てみる。
そこには、昨日見ていたあの青い宝石が置かれていたのだ。
「お? なんだいお嬢さん。
その宝石が欲しいのかい?」
路上販売していたお兄さんはニコニコとこちらを見て問い掛けてきた。
お兄さんはルーカス程ではないが中々のイケメンで、如何にも女性からモテそうな感じである。
「え? まあそうですね。
おいくらですか?」
「値札はそっちだよ」
私の問いにお兄さんは横の料金表を指さしながら答えた。
お兄さんの指さした方を見てみると、そこには昨日のおおよそ倍の値段が書かれた値札が置いてあった。
「え? これ、本当なんですか?」
私は思わずびっくりして訊き返す。
確かに元々高級なものだったが、流石に倍の値段だとお小遣いが全て吹っ飛んでしまう。
いや、それでもまだ買えるのだから私の貰っているお小遣いの額も大概凄いのだが。
「まあそりゃあそれはロイヤルブルームーンストーンっていう一点モノだからねぇ?
あ、でもお嬢さん可愛いから半額にまけてもいいよ?」
「え? 本当ですか?」
元々正規の値段は半額なはずなのでこのお兄さんはただぼったくり価格で売っているのだろうけれど。
何はともあれまけてくれるというのならそれはありがたい。
「うん。
何せその宝石以上に価値のあるものを見つけてしまったからね?」
するとお兄さんは私の頬に手を当てて微笑む。
私は咄嗟にその手を払った。
「何ですか、一体?」
私が少し睨みながら問い掛けると、お兄さんはフフッと笑う。
「ごめんごめん。君が可愛くてつい。
ねえ、この後時間ある?
俺、君とこれでサヨナラなんてしたくないなぁ」
お兄さんは微笑みながらも私の腕を握ってきた。
「あの、私はその宝石が欲しいだけで」
「それならさ、半額にする代わりに1日俺と付き合ってよ。
大丈夫、変な事はしないから、ね?」
私がさっさと断ろうとすると、お兄さんはそんな条件を出してきた。
どうしよう、確かにその宝石が欲しいのは確かなのだが、このお兄さんに1日付き合うのも気が引ける。
「あの、そういうの困りま」
「ちょっとデイニー!
その女の子は誰よ!?」
私がはっきりと困ると断ろうとすると、横からなんとも気の強そうな煌びやかな衣装を着た女性がお兄さんを問い詰めて来た。
「リ、リィナ!?
いや、この女の子はただのお客さんで……」
「ちょっと! この宝石昨日私が買ってあげたやつじゃない!?
あ! こっちも、これもだわ!
しかも買った時より全部値段も高いし、これはどういう事!?」
「あ! いや、これは違くて!」
「何が違うのよ!?」
私は横で2人のやりとりを呆然と眺めていた。
ただ、会話を聞いて私は大体状況を察した。
どうやらこのお兄さんはそこの彼女さんから買って貰った宝石などのプレゼントを高値で売り捌いていたらしい。
そして私をナンパしているところを見かけたという訳か。
「今日という今日は容赦しないわ!」
「だ、だから誤解で……」
「はぁっ!?」
お兄さんはなんとか釈明しようとするも、女性の剣幕にたじたじになっている。
私はただそこの宝石を買いたかっただけだというのに、何故こんな修羅場に巻き込まれてしまったんだか。
さて、どうしよう?
「あのー……」
私が小さく声をかけると、女性はパッと取り繕った様に笑顔になる。
「あ、お客さんだっけ?
ごめんなさいね?
確かこの宝石が欲しかったのよね?
はい、どうぞ」
それから女性はパッと私にお目当ての青い宝石を渡してくれた。
「え? あの、お金は……」
私がお金を取り出そうとすると、女性は爽やかな笑顔で手を横に振る。
「いいのいいの!
元は私がこの馬鹿にあげた奴だし、寧ろ巻き込んじゃって悪かったわね。
お金ならこいつからきっちりと支払ってもらうから」
「うっ、ご、ごめんなさい!」
女性がお兄さんを睨みつけると、お兄さんはすっかり萎縮して土下座しだした。
それから、女性は他の売り物の宝石を全て片付けて、お兄さんを連れて何処かへと行ってしまった。
「ええ……
い、いいのかな……?」
渡された宝石を手に持ったまま、私は呆然とその場に立ち尽くした。
「あのぅ……大丈夫でしたか?」
「え?」
すると、急に後ろから声をかけられた。
私はびっくりしてすぐ様振り返ると、そこには、私より少し背の低い茶髪のショートカットに焦げ茶の瞳の少女が立っていた。
「その、さっきの男の人、かなり女癖が悪いので有名で……」
「え? ああ、そうだったのね。
私は大丈夫よ」
茶髪の少女はボソボソとか細い声で説明してくれたので、私はそう返事をする。
「良かったです。
えーと、それじゃあ、失礼します」
「ありがとう。
じゃあね」
茶髪の少女はそう言って踵を返そうとしたので、私も礼と別れの言葉を告げた。
すると、茶髪の少女は少しだけこちらを振り返りぺこりと会釈をして帰っていった。
「……まあ、取り敢えず帰ろう」
私は先程の事を思い出しては色々と考えるのが面倒になり、青い宝石を握りしめてそのままお屋敷まで帰る事にした。
「よし、誰にもバレていないわね?」
オリヴィアは庭園の抜け穴からお屋敷を抜け出して一人で下町までやって来ていた。
因みに普段のドレスの格好では浮いてしまう為、事前に下町時代の格好に着替え済みである。
それから、昨日訪れたお店にやって来ていた。
実はあの買い物から帰って来た後、お屋敷に戻ってからオリヴィアはずっと悩んでいたのである。
ルーカスの気に入っていたあの宝石を買うか否か。
そして悩んだ挙句、取り敢えずもう1度お店に行ってから買うかどうするか悩む事にしたのだ。
要するにまだ気持ちは固まっていないのだが、お屋敷でジッと考えても埒があかないと下町に出て来たという訳である。
しかし、私はお店に着いて早々に後悔する事になった。
「え? 売り切れた!?」
なんと、昨日見ていたあの宝石が売り切れていたのである。
「いやぁ、あの後すぐに別のお客様が購入されていってね」
「そうなんですか……分かりました」
「ごめんね?」
「いえ、こちらこそすみません」
申し訳なさそうな顔で謝る店主に私の方こそ申し訳なくなる。
別にその商品をとっといてくれと頼んだ訳でもないのだから、他に売れたのなら仕方がない事だ。
「はあ。こんな事なら昨日さっさと買っておけば良かったわ……。
ん?」
私は店を出て帰ろうととぼとぼと歩いていると、路上販売しているお店に見覚えのある青いクリスタルが見えた。
「あれって!」
私はその路上販売のお店に近付いてその宝石をよくよく見てみる。
そこには、昨日見ていたあの青い宝石が置かれていたのだ。
「お? なんだいお嬢さん。
その宝石が欲しいのかい?」
路上販売していたお兄さんはニコニコとこちらを見て問い掛けてきた。
お兄さんはルーカス程ではないが中々のイケメンで、如何にも女性からモテそうな感じである。
「え? まあそうですね。
おいくらですか?」
「値札はそっちだよ」
私の問いにお兄さんは横の料金表を指さしながら答えた。
お兄さんの指さした方を見てみると、そこには昨日のおおよそ倍の値段が書かれた値札が置いてあった。
「え? これ、本当なんですか?」
私は思わずびっくりして訊き返す。
確かに元々高級なものだったが、流石に倍の値段だとお小遣いが全て吹っ飛んでしまう。
いや、それでもまだ買えるのだから私の貰っているお小遣いの額も大概凄いのだが。
「まあそりゃあそれはロイヤルブルームーンストーンっていう一点モノだからねぇ?
あ、でもお嬢さん可愛いから半額にまけてもいいよ?」
「え? 本当ですか?」
元々正規の値段は半額なはずなのでこのお兄さんはただぼったくり価格で売っているのだろうけれど。
何はともあれまけてくれるというのならそれはありがたい。
「うん。
何せその宝石以上に価値のあるものを見つけてしまったからね?」
するとお兄さんは私の頬に手を当てて微笑む。
私は咄嗟にその手を払った。
「何ですか、一体?」
私が少し睨みながら問い掛けると、お兄さんはフフッと笑う。
「ごめんごめん。君が可愛くてつい。
ねえ、この後時間ある?
俺、君とこれでサヨナラなんてしたくないなぁ」
お兄さんは微笑みながらも私の腕を握ってきた。
「あの、私はその宝石が欲しいだけで」
「それならさ、半額にする代わりに1日俺と付き合ってよ。
大丈夫、変な事はしないから、ね?」
私がさっさと断ろうとすると、お兄さんはそんな条件を出してきた。
どうしよう、確かにその宝石が欲しいのは確かなのだが、このお兄さんに1日付き合うのも気が引ける。
「あの、そういうの困りま」
「ちょっとデイニー!
その女の子は誰よ!?」
私がはっきりと困ると断ろうとすると、横からなんとも気の強そうな煌びやかな衣装を着た女性がお兄さんを問い詰めて来た。
「リ、リィナ!?
いや、この女の子はただのお客さんで……」
「ちょっと! この宝石昨日私が買ってあげたやつじゃない!?
あ! こっちも、これもだわ!
しかも買った時より全部値段も高いし、これはどういう事!?」
「あ! いや、これは違くて!」
「何が違うのよ!?」
私は横で2人のやりとりを呆然と眺めていた。
ただ、会話を聞いて私は大体状況を察した。
どうやらこのお兄さんはそこの彼女さんから買って貰った宝石などのプレゼントを高値で売り捌いていたらしい。
そして私をナンパしているところを見かけたという訳か。
「今日という今日は容赦しないわ!」
「だ、だから誤解で……」
「はぁっ!?」
お兄さんはなんとか釈明しようとするも、女性の剣幕にたじたじになっている。
私はただそこの宝石を買いたかっただけだというのに、何故こんな修羅場に巻き込まれてしまったんだか。
さて、どうしよう?
「あのー……」
私が小さく声をかけると、女性はパッと取り繕った様に笑顔になる。
「あ、お客さんだっけ?
ごめんなさいね?
確かこの宝石が欲しかったのよね?
はい、どうぞ」
それから女性はパッと私にお目当ての青い宝石を渡してくれた。
「え? あの、お金は……」
私がお金を取り出そうとすると、女性は爽やかな笑顔で手を横に振る。
「いいのいいの!
元は私がこの馬鹿にあげた奴だし、寧ろ巻き込んじゃって悪かったわね。
お金ならこいつからきっちりと支払ってもらうから」
「うっ、ご、ごめんなさい!」
女性がお兄さんを睨みつけると、お兄さんはすっかり萎縮して土下座しだした。
それから、女性は他の売り物の宝石を全て片付けて、お兄さんを連れて何処かへと行ってしまった。
「ええ……
い、いいのかな……?」
渡された宝石を手に持ったまま、私は呆然とその場に立ち尽くした。
「あのぅ……大丈夫でしたか?」
「え?」
すると、急に後ろから声をかけられた。
私はびっくりしてすぐ様振り返ると、そこには、私より少し背の低い茶髪のショートカットに焦げ茶の瞳の少女が立っていた。
「その、さっきの男の人、かなり女癖が悪いので有名で……」
「え? ああ、そうだったのね。
私は大丈夫よ」
茶髪の少女はボソボソとか細い声で説明してくれたので、私はそう返事をする。
「良かったです。
えーと、それじゃあ、失礼します」
「ありがとう。
じゃあね」
茶髪の少女はそう言って踵を返そうとしたので、私も礼と別れの言葉を告げた。
すると、茶髪の少女は少しだけこちらを振り返りぺこりと会釈をして帰っていった。
「……まあ、取り敢えず帰ろう」
私は先程の事を思い出しては色々と考えるのが面倒になり、青い宝石を握りしめてそのままお屋敷まで帰る事にした。
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