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幕間 春の訪れ、気になるあの子
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それは、オリヴィアがハワード家に来てまだ3日目の事。
「あ、オリヴィア姉様。
奇遇ですね」
「……」
ノアはニコリと笑顔でオリヴィアに話しかけるも、オリヴィアはプイッとそっぽを向いてノアを無視した。
そんなオリヴィアを見て、ノアは昔仲良くなった野良猫と呼んでいた少女とオリヴィアを重ね見ていた。
あの少女も、捻くれていて、でも俺は最初から素で接していたから、気楽だったし楽しかった。
……本当はちゃんと友達になりたかったけど。
だからこそ、俺はどうしてもその少女と似ているオリヴィア姉様と仲良くなりたかった。
「オリヴィア姉様ー。
聞こえてますよね?
そう無視されると僕悲しいですよ」
「なら勝手に悲しめば?」
しかし、依然オリヴィアは拒絶の態度をとっていた。
ただ、ノアにはそんなオリヴィアの表情がどうしても何処となく無理している様に見えたのだ。
もしかしたら、あの少女の様に何か理由があって仲良くなりたくないだけかもしれない。
それなら、尚更なんとしてでも心を開いて仲良くならなくては。
手遅れになるなんて状況は、もう嫌だから。
ノアはそう決意しオリヴィアに問い掛けた。
「オリヴィア姉様、何でそんなに頑なに仲良くなるのを拒むんですか?」
「なら逆に、知り合って数日の奴をどう信用しろと?」
オリヴィアに問われてノアは少し考える。
「……なら、僕はオリヴィア姉様を信じます。
だからオリヴィア姉様も僕を信じて下さい」
「は?」
ノアにそう言われてオリヴィアは訳が分からないといった表情をする。
「何よそれ?
あんたが私を信じようが信じまいが勝手だけど、私は信じないわよ」
オリヴィアはきっぱりとそう断言する。
「良いですよ。いつか信用して貰えるまで待ちますので」
ノアはニコリと笑顔でそう言った。
その表情を見て、オリヴィアは少し呆れた様に口を開く。
「あっそ。じゃあ好きにすれば?
ただ、あんたみたいな作り笑いしてる様な奴信用しようだなんて思わないけどね?」
オリヴィアにそう言われて、ノアは一瞬目を見開いた。
「え?」
「どうせあんたらみんな良い子ぶってるだけなんじゃないの?
あんたらが何考えてるのか知らないけど、私は仲良く兄弟ごっこする気はないから」
……なんだ、てっきり自分が猫を被っているのがバレたのかと思った。
ノアは少しホッとすると同時に、少し残念にも思えた。
「僕は純粋にオリヴィア姉様と仲良くなりたいだけですよ。
なんて言っても信じてはくれないのでしょう?」
「そりゃあね。
そもそも私と仲良くなりたい理由が分からないし」
オリヴィアに冷たくそう言われるも、ノアは負けじと言い返す。
「逆に、オリヴィア姉様が僕らと仲良くなりたくない理由も分からないですけどね」
「そんなの、赤の他人を信じられないの一言に尽きるんじゃない?」
「そうですか。
その割には随分と苦しそうな顔をしている様に見えますけどね?」
ノアの問いに、オリヴィアは目を見開いた。
「……苦しそう?
どういう事よ?」
「どうもこうも、僕は見たままの意見を述べただけですよ?」
ノアの言葉を聞いて、オリヴィアはノアを鋭く睨む。
「……なら、あんたみたいにヘラヘラ笑えとでも?
冗談じゃないわ。
私、あんたのそのお行儀良さそうな作り笑い大っ嫌いよ」
オリヴィアはそう言い切ると足早に去っていった。
「……流石に今のは少し傷付くなぁ」
普段割と人に何と言われても気にしないノアなのだが、流石に仲良くなりたい少女相手にそこまで言われてショックを受けていた。
それから、ノアは暫くオリヴィアのいる所で笑わない様にした。
オリヴィアに不快な想いをさせたくなかった、というよりは、単純に嫌いだと言われてショックだったからである。
何だか、あの少女に友達にならないと言われた時の様で。
結局、肝心な時に俺はいつもどうすれば良いかが分からない。
ノアはそんな自分の事を歯痒く思っていた。
オリヴィアと話してから更に数日経ったある日。
「ちょっと」
急に、俺はオリヴィア姉様に呼び止められた。
正直びっくりした。
前回あれだけこっぴどく拒絶されたので、もうオリヴィア姉様から話しかけてくることはないと思っていたのだが。
「え?
何ですか?」
俺は突然の事に内心びっくりしつつもなるべく顔に出さない様に冷静に問い掛ける。
「あー、その……あんたまさか私が言った言葉気にしてるの?」
オリヴィア姉様は恐る恐るそう質問してきた。
「えーと、まあ僕の笑顔が嫌いって言われたのは、正直気にしてますけど」
俺が素直にそう答えると、オリヴィア姉様は顔を赤くしながら怒鳴った。
「ばっかじゃないの!?
あんた人に笑った顔嫌いって言われたくらいで笑わなくなるとかアホでしょ!?
他人にどう言われようと笑いたきゃ勝手に笑えばいいじゃない!」
「……え?」
突然の出来事に、俺は頭が真っ白になる。
なんなんだろう、一体。
「だから!
あんたがそこまで落ち込むとか思ってなかった……というか! 別にあんたが落ち込んでようが私には関係ないし知らないけど!
兎に角、腑抜けた面してんじゃないわよ!
目障りだから!」
オリヴィア姉様は畳み掛ける様にそう早口で話してきた。
「え?
……え?」
訳が分からず俺は戸惑う事しか出来ない。
「それだけだから!
じゃあね!」
そこまで言い切ると、オリヴィア姉様は逃げる様にさっさと走り去ってしまった。
「……今のって、もしかして励ましのつもり?」
そうだとしたら、随分と不器用な言い方である。
下手したら、あの少女以上に不器用なのかもしれない。
「……ぷっ、ははっ」
ノアはたまらず声を出して笑った。
仲良くなりたくないと言いながらも、自分の言葉の所為で傷付けたのではと気遣う辺り、きっと良い人なのだろう。
不器用で、可愛い人。
「ふふ、ますます仲良くなりたくなっちゃった」
ノアはオリヴィアが顔を赤らめながらも怒鳴っている表情を思い出しそう呟いた。
「あ、オリヴィア姉様。
奇遇ですね」
「……」
ノアはニコリと笑顔でオリヴィアに話しかけるも、オリヴィアはプイッとそっぽを向いてノアを無視した。
そんなオリヴィアを見て、ノアは昔仲良くなった野良猫と呼んでいた少女とオリヴィアを重ね見ていた。
あの少女も、捻くれていて、でも俺は最初から素で接していたから、気楽だったし楽しかった。
……本当はちゃんと友達になりたかったけど。
だからこそ、俺はどうしてもその少女と似ているオリヴィア姉様と仲良くなりたかった。
「オリヴィア姉様ー。
聞こえてますよね?
そう無視されると僕悲しいですよ」
「なら勝手に悲しめば?」
しかし、依然オリヴィアは拒絶の態度をとっていた。
ただ、ノアにはそんなオリヴィアの表情がどうしても何処となく無理している様に見えたのだ。
もしかしたら、あの少女の様に何か理由があって仲良くなりたくないだけかもしれない。
それなら、尚更なんとしてでも心を開いて仲良くならなくては。
手遅れになるなんて状況は、もう嫌だから。
ノアはそう決意しオリヴィアに問い掛けた。
「オリヴィア姉様、何でそんなに頑なに仲良くなるのを拒むんですか?」
「なら逆に、知り合って数日の奴をどう信用しろと?」
オリヴィアに問われてノアは少し考える。
「……なら、僕はオリヴィア姉様を信じます。
だからオリヴィア姉様も僕を信じて下さい」
「は?」
ノアにそう言われてオリヴィアは訳が分からないといった表情をする。
「何よそれ?
あんたが私を信じようが信じまいが勝手だけど、私は信じないわよ」
オリヴィアはきっぱりとそう断言する。
「良いですよ。いつか信用して貰えるまで待ちますので」
ノアはニコリと笑顔でそう言った。
その表情を見て、オリヴィアは少し呆れた様に口を開く。
「あっそ。じゃあ好きにすれば?
ただ、あんたみたいな作り笑いしてる様な奴信用しようだなんて思わないけどね?」
オリヴィアにそう言われて、ノアは一瞬目を見開いた。
「え?」
「どうせあんたらみんな良い子ぶってるだけなんじゃないの?
あんたらが何考えてるのか知らないけど、私は仲良く兄弟ごっこする気はないから」
……なんだ、てっきり自分が猫を被っているのがバレたのかと思った。
ノアは少しホッとすると同時に、少し残念にも思えた。
「僕は純粋にオリヴィア姉様と仲良くなりたいだけですよ。
なんて言っても信じてはくれないのでしょう?」
「そりゃあね。
そもそも私と仲良くなりたい理由が分からないし」
オリヴィアに冷たくそう言われるも、ノアは負けじと言い返す。
「逆に、オリヴィア姉様が僕らと仲良くなりたくない理由も分からないですけどね」
「そんなの、赤の他人を信じられないの一言に尽きるんじゃない?」
「そうですか。
その割には随分と苦しそうな顔をしている様に見えますけどね?」
ノアの問いに、オリヴィアは目を見開いた。
「……苦しそう?
どういう事よ?」
「どうもこうも、僕は見たままの意見を述べただけですよ?」
ノアの言葉を聞いて、オリヴィアはノアを鋭く睨む。
「……なら、あんたみたいにヘラヘラ笑えとでも?
冗談じゃないわ。
私、あんたのそのお行儀良さそうな作り笑い大っ嫌いよ」
オリヴィアはそう言い切ると足早に去っていった。
「……流石に今のは少し傷付くなぁ」
普段割と人に何と言われても気にしないノアなのだが、流石に仲良くなりたい少女相手にそこまで言われてショックを受けていた。
それから、ノアは暫くオリヴィアのいる所で笑わない様にした。
オリヴィアに不快な想いをさせたくなかった、というよりは、単純に嫌いだと言われてショックだったからである。
何だか、あの少女に友達にならないと言われた時の様で。
結局、肝心な時に俺はいつもどうすれば良いかが分からない。
ノアはそんな自分の事を歯痒く思っていた。
オリヴィアと話してから更に数日経ったある日。
「ちょっと」
急に、俺はオリヴィア姉様に呼び止められた。
正直びっくりした。
前回あれだけこっぴどく拒絶されたので、もうオリヴィア姉様から話しかけてくることはないと思っていたのだが。
「え?
何ですか?」
俺は突然の事に内心びっくりしつつもなるべく顔に出さない様に冷静に問い掛ける。
「あー、その……あんたまさか私が言った言葉気にしてるの?」
オリヴィア姉様は恐る恐るそう質問してきた。
「えーと、まあ僕の笑顔が嫌いって言われたのは、正直気にしてますけど」
俺が素直にそう答えると、オリヴィア姉様は顔を赤くしながら怒鳴った。
「ばっかじゃないの!?
あんた人に笑った顔嫌いって言われたくらいで笑わなくなるとかアホでしょ!?
他人にどう言われようと笑いたきゃ勝手に笑えばいいじゃない!」
「……え?」
突然の出来事に、俺は頭が真っ白になる。
なんなんだろう、一体。
「だから!
あんたがそこまで落ち込むとか思ってなかった……というか! 別にあんたが落ち込んでようが私には関係ないし知らないけど!
兎に角、腑抜けた面してんじゃないわよ!
目障りだから!」
オリヴィア姉様は畳み掛ける様にそう早口で話してきた。
「え?
……え?」
訳が分からず俺は戸惑う事しか出来ない。
「それだけだから!
じゃあね!」
そこまで言い切ると、オリヴィア姉様は逃げる様にさっさと走り去ってしまった。
「……今のって、もしかして励ましのつもり?」
そうだとしたら、随分と不器用な言い方である。
下手したら、あの少女以上に不器用なのかもしれない。
「……ぷっ、ははっ」
ノアはたまらず声を出して笑った。
仲良くなりたくないと言いながらも、自分の言葉の所為で傷付けたのではと気遣う辺り、きっと良い人なのだろう。
不器用で、可愛い人。
「ふふ、ますます仲良くなりたくなっちゃった」
ノアはオリヴィアが顔を赤らめながらも怒鳴っている表情を思い出しそう呟いた。
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