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ブレスレット
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夕食後、早速ブレスレットを交換する事になったのだが。
「ルーカス兄様やノアまで何で見てるのよ!?」
エマは少し不機嫌そうに尋ねる。
交換はエマの部屋でしよう、と言われて私が部屋に向かってると、途中で2人ともちゃっかり私について来たのだ。
私としてはまあ別に今後腕に付けてたら見られる訳だし、別に気にしなかったのだが、エマとしては嫌だったらしい。
「そりゃあオリヴィア様の手作りのブレスレット見たいからな」
「後次いでにエマ姉さんが作ったブレスレットも見たいですしね」
「もー! 絶対からかわないでよ!」
「はいはい、さっさと交換しましょ」
オリヴィアはパッとエマに小さな包みを渡す。
「はわわ! オリヴィアちゃんからの手渡し!」
「いや、誕生日にも手渡ししたでしょうに」
ついこの間もプレゼントを渡したというのに、エマは無邪気にはしゃいでいる。
「そりゃあ何回貰ったって嬉しいもの!
後これ、はい! オリヴィアちゃん♡」
「どうも」
私はエマから包みを貰う。
「早く開けてエマ姉さん!」
「そうだぞ! 気になるじゃないか!」
「もう! これは私のだからね!
2人には見せるだけなんだからね!」
「いちいちブレスレットごときでそこまで騒がないでよ」
はっきり言ってそう期待されると少し恥ずかしい。
「じゃあ開けるわね……わあ!」
エマは包みからブレスレットを取り出してマジマジと見やる。
他の2人も同様にブレスレットを見ていた。
「凄いお洒落!
2重になってる~! あ、これ苺がぶら下がってる! こっちはネズミだ! 可愛い!」
「片方は赤が基調でもう片方は黒なんだな。何だかシックでお洒落だな!」
「へぇ、こっちのガラスにはチューリップが彫られてて綺麗ですね」
正直みんなから色々聞き過ぎたせいで情報過多で無理矢理詰め込んだ感があったので、個人的にごちゃごちゃし過ぎでは? と心配していたのだが。
「何か好評? らしくて良かったわ」
「勿論よ! オリヴィアちゃんが私の為に聞き込みまでして作ってくれたんだもの! 嬉しいに決まってるわ」
エマは満面の笑みで答える。
聞き込みしてたのバレてたのか、まあ別に口止めしていた訳ではないし仕方ないか。
「それじゃあ私も開けるわね。
……これって」
私は包みから出てきたブレスレットを見て目を見開いた。
そこには如何にも可愛らしい花が散りばめられて、真ん中には猫のガラス細工がくっついていた。
「エマ姉さんもちゃんとブレスレット作れたんですね」
「失礼ね、作れるわよ!」
ノアにからかわれてエマは咄嗟に反論する。
「こりゃまた可愛らしいな」
「うん! オリヴィアちゃんをイメージして作ったの!」
「え? 私のイメージ?」
エマから見たら私ってこんな可愛らしいイメージなのか?
「私、こんなに可愛くないと思うけど」
「そんな事ないわ! 確かにオリヴィアちゃんはたまに酷い事言ったりするけど、とっても優しくてとっても可愛らしいって知ってるんだから!」
正直言って柄ではない、と思う。
間違っても普段の自分ならこのブレスレットが売られていたとしても手にも取らないだろう。
だって似合わないだろうから。
私はこんな可愛いものが似合う程良い人じゃないのに。
でも本当は。
「……つけてみても、良いかしら?」
「勿論よ! 絶対似合うと思うわ!」
私は恐る恐るブレスレットを手首につける。
「……やっぱり可愛すぎじゃないかしら?」
「そんな事ないわ! 凄く似合ってる!」
「とってもお似合いですよ、オリヴィア姉様」
「ああ! 可愛らしいぞ、オリヴィア様!」
「あ、そう。
……ありがとう」
3人に絶賛されて思わず顔が赤くなる。
「珍しく照れてますね?」
「照れてる顔も可愛いわ!」
「こちらまで赤面がうつってしまいそうだ」
「あーもう! うるさいわね!
じゃあ私はシャワー浴びてくるから!」
「え!? もう行っちゃうのオリヴィアちゃん!」
エマの制止も無視して逃げる様に私は自室へと向かった。
バタンッと部屋の扉を閉めて私は呼吸を整える。
それから自分の手首に付けているブレスレットを繁々と眺めた。
「……可愛い」
昔から、こういう可愛い物が似合う女の子になりたかったなと思う事はあった。
でも自分は可愛げがないし、自分から進んでそういうのを選ぶのは気恥ずかしかった。
私はそのまま扉に背中を預けて顔に腕を乗せて項垂れる。
「はあ、今回はエマに一本取られた感じがして悔しい……。
まさか本当に私の好きな物をくれるなんて」
エマは私の事一体どうやって見てるんだろう?
「私こんなに可愛くないわよ……」
そうオリヴィアは1人呟いた。
そして翌日。
「あ! オリヴィアちゃん、私の作ったブレスレットちゃんと付けてくれてるのね!」
エマは私の腕のブレスレットを見てニヤニヤと笑みを浮かべながら確認してくる。
「付けなかったら文句言うんでしょ?」
「あら、文句なんてそんなはしたない事言わないわ!
無言で強制的につけるまでよ!」
「……文句の方がまだマシだわ」
私ははぁ、と溜め息を吐く。
「私もちゃーんと付けてるわよ♡
オリヴィアちゃんが私の為を思って丹精込めて作ってくれたブレスレット♡」
「変なルビ振るのやめてくれないかしら?」
「でも、オリヴィアちゃん私の為に色々と訊いて回ってたんでしょー??」
「しょうがないじゃない、普段人にプレゼントなんて渡さないから何が良いとか考えた事もなかったし」
私がそう言うとエマはぽぽぽっと顔が赤くなる。
「それって、つまり私へのプレゼントで初めて一生懸命考えてくれたって事?」
「あー、まあそうなるかしら?
母さんへのプレゼントとかでもそんなに悩んだりはしないし、他人行儀なら当たり障りないテンプレのものでいいやと思うし……」
「オリヴィアちゃん、私の事をそこまで思ってくれてたなんて!!」
それからエマに急に抱きしめられた。
「だから急に抱きつくなって!
一応命の恩人な訳だし、お礼だし、ちゃんとしたもの渡そうと思っただけよ!」
「そういう律儀なところも大好きよー!!♡」
「ああもう! うざったい!
分かったから離れなさいよ!」
そうオリヴィアが引き剥がそうとするもやはり引き剥がせない。
「このブレスレット一生大事にするわ!
肌身離さず付け続けて棺桶にまで持っていくわ!」
「勝手にしなさいよ、もう」
オリヴィアは呆れてそれ以上何も言う気にはなれなかった。
「ルーカス兄様やノアまで何で見てるのよ!?」
エマは少し不機嫌そうに尋ねる。
交換はエマの部屋でしよう、と言われて私が部屋に向かってると、途中で2人ともちゃっかり私について来たのだ。
私としてはまあ別に今後腕に付けてたら見られる訳だし、別に気にしなかったのだが、エマとしては嫌だったらしい。
「そりゃあオリヴィア様の手作りのブレスレット見たいからな」
「後次いでにエマ姉さんが作ったブレスレットも見たいですしね」
「もー! 絶対からかわないでよ!」
「はいはい、さっさと交換しましょ」
オリヴィアはパッとエマに小さな包みを渡す。
「はわわ! オリヴィアちゃんからの手渡し!」
「いや、誕生日にも手渡ししたでしょうに」
ついこの間もプレゼントを渡したというのに、エマは無邪気にはしゃいでいる。
「そりゃあ何回貰ったって嬉しいもの!
後これ、はい! オリヴィアちゃん♡」
「どうも」
私はエマから包みを貰う。
「早く開けてエマ姉さん!」
「そうだぞ! 気になるじゃないか!」
「もう! これは私のだからね!
2人には見せるだけなんだからね!」
「いちいちブレスレットごときでそこまで騒がないでよ」
はっきり言ってそう期待されると少し恥ずかしい。
「じゃあ開けるわね……わあ!」
エマは包みからブレスレットを取り出してマジマジと見やる。
他の2人も同様にブレスレットを見ていた。
「凄いお洒落!
2重になってる~! あ、これ苺がぶら下がってる! こっちはネズミだ! 可愛い!」
「片方は赤が基調でもう片方は黒なんだな。何だかシックでお洒落だな!」
「へぇ、こっちのガラスにはチューリップが彫られてて綺麗ですね」
正直みんなから色々聞き過ぎたせいで情報過多で無理矢理詰め込んだ感があったので、個人的にごちゃごちゃし過ぎでは? と心配していたのだが。
「何か好評? らしくて良かったわ」
「勿論よ! オリヴィアちゃんが私の為に聞き込みまでして作ってくれたんだもの! 嬉しいに決まってるわ」
エマは満面の笑みで答える。
聞き込みしてたのバレてたのか、まあ別に口止めしていた訳ではないし仕方ないか。
「それじゃあ私も開けるわね。
……これって」
私は包みから出てきたブレスレットを見て目を見開いた。
そこには如何にも可愛らしい花が散りばめられて、真ん中には猫のガラス細工がくっついていた。
「エマ姉さんもちゃんとブレスレット作れたんですね」
「失礼ね、作れるわよ!」
ノアにからかわれてエマは咄嗟に反論する。
「こりゃまた可愛らしいな」
「うん! オリヴィアちゃんをイメージして作ったの!」
「え? 私のイメージ?」
エマから見たら私ってこんな可愛らしいイメージなのか?
「私、こんなに可愛くないと思うけど」
「そんな事ないわ! 確かにオリヴィアちゃんはたまに酷い事言ったりするけど、とっても優しくてとっても可愛らしいって知ってるんだから!」
正直言って柄ではない、と思う。
間違っても普段の自分ならこのブレスレットが売られていたとしても手にも取らないだろう。
だって似合わないだろうから。
私はこんな可愛いものが似合う程良い人じゃないのに。
でも本当は。
「……つけてみても、良いかしら?」
「勿論よ! 絶対似合うと思うわ!」
私は恐る恐るブレスレットを手首につける。
「……やっぱり可愛すぎじゃないかしら?」
「そんな事ないわ! 凄く似合ってる!」
「とってもお似合いですよ、オリヴィア姉様」
「ああ! 可愛らしいぞ、オリヴィア様!」
「あ、そう。
……ありがとう」
3人に絶賛されて思わず顔が赤くなる。
「珍しく照れてますね?」
「照れてる顔も可愛いわ!」
「こちらまで赤面がうつってしまいそうだ」
「あーもう! うるさいわね!
じゃあ私はシャワー浴びてくるから!」
「え!? もう行っちゃうのオリヴィアちゃん!」
エマの制止も無視して逃げる様に私は自室へと向かった。
バタンッと部屋の扉を閉めて私は呼吸を整える。
それから自分の手首に付けているブレスレットを繁々と眺めた。
「……可愛い」
昔から、こういう可愛い物が似合う女の子になりたかったなと思う事はあった。
でも自分は可愛げがないし、自分から進んでそういうのを選ぶのは気恥ずかしかった。
私はそのまま扉に背中を預けて顔に腕を乗せて項垂れる。
「はあ、今回はエマに一本取られた感じがして悔しい……。
まさか本当に私の好きな物をくれるなんて」
エマは私の事一体どうやって見てるんだろう?
「私こんなに可愛くないわよ……」
そうオリヴィアは1人呟いた。
そして翌日。
「あ! オリヴィアちゃん、私の作ったブレスレットちゃんと付けてくれてるのね!」
エマは私の腕のブレスレットを見てニヤニヤと笑みを浮かべながら確認してくる。
「付けなかったら文句言うんでしょ?」
「あら、文句なんてそんなはしたない事言わないわ!
無言で強制的につけるまでよ!」
「……文句の方がまだマシだわ」
私ははぁ、と溜め息を吐く。
「私もちゃーんと付けてるわよ♡
オリヴィアちゃんが私の為を思って丹精込めて作ってくれたブレスレット♡」
「変なルビ振るのやめてくれないかしら?」
「でも、オリヴィアちゃん私の為に色々と訊いて回ってたんでしょー??」
「しょうがないじゃない、普段人にプレゼントなんて渡さないから何が良いとか考えた事もなかったし」
私がそう言うとエマはぽぽぽっと顔が赤くなる。
「それって、つまり私へのプレゼントで初めて一生懸命考えてくれたって事?」
「あー、まあそうなるかしら?
母さんへのプレゼントとかでもそんなに悩んだりはしないし、他人行儀なら当たり障りないテンプレのものでいいやと思うし……」
「オリヴィアちゃん、私の事をそこまで思ってくれてたなんて!!」
それからエマに急に抱きしめられた。
「だから急に抱きつくなって!
一応命の恩人な訳だし、お礼だし、ちゃんとしたもの渡そうと思っただけよ!」
「そういう律儀なところも大好きよー!!♡」
「ああもう! うざったい!
分かったから離れなさいよ!」
そうオリヴィアが引き剥がそうとするもやはり引き剥がせない。
「このブレスレット一生大事にするわ!
肌身離さず付け続けて棺桶にまで持っていくわ!」
「勝手にしなさいよ、もう」
オリヴィアは呆れてそれ以上何も言う気にはなれなかった。
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