【完結】悪役令嬢だけど何故か義理の兄弟達から溺愛されてます！？

本田ゆき

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3兄弟の悩み

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「いや、実はね？　
もうじき私の誕生日でしょ？　誰を招待しようか悩んでいてね」

「ああ、そうなんだ」

　オリヴィアは誕生会と聞いてこの前のシーラの誕生会を思い出す。

　貴族の誕生会もさぞや人が多く集まる為大変そうだ。と、他人事の様な感想が浮かぶ。

「そんなの、去年と同じでいいんじゃないか？」

「はあ、ルーカス兄様は本当に分かってないんだから」

　ルーカスのささやかな疑問に、エマは珍しく溜め息を吐きながら答える。

「女の子同士でも仲の良いグループと悪いグループがあるのよ、鉢合わせたりすると中々面倒臭いし、かと言って招待しなかったら角が立つし、この時期はいつも悩むのよね」

「それは面倒ね」

　オリヴィアも軽く同意する。

「そういうものなのか、なら時間をずらして招待すれば良いだけでは？」

「それは分かってるわよ」

「？
なら悩む事ないんじゃないか？」

　ルーカスは素直に思ったままの事を伝えるも、エマは大きく溜め息を吐いた。

「だからその作業が憂鬱で悩んでるのよ」

「そうなのか、ならさっさと嫌な事は終わらせてしまえばいいのでは？」

「もう、分かってるってば！」

　エマは少し怒り口調で話す。

　二人のやり取りを見ていてこのままでは喧嘩になるなとオリヴィアは咄嗟に口を開く。

「じゃあ私たちに解決は出来ないし、行くわよルーカス」

「え？　解決してるんじゃないのか？」

「いいから行くわよ」

「ええ！？　もう行っちゃうのオリヴィアちゃん！」

　エマの事をとりあえず無視してオリヴィアはルーカスを無理矢理押してエマから遠ざけた。

「あの、オリヴィア様？　どうかしました？」

「私は喧嘩に巻き込まれるのはごめんだわ」

「え？　喧嘩？　何故ですか？」

　はぁ、とオリヴィアは溜め息を吐く。

　本当にこういう所でルーカスは察しが悪い。

「あのね、エマは悩んでるというより、愚痴を言いたかっただけなの」

「ん？　愚痴を言いたいだなんて言っていなかったが？」

　うーんとオリヴィアは悩む。

　恐らくこれは男女の考え方の違いなのだろう。
　そんな本を読んだ事がある。

　男性は物事の事件を解決したがるが、女性は解決を求めてるのではなく、あくまで自分の考えや努力を認められたいだけなのだ。

　しかし、ルーカスはそこを理解出来ない。
　それは男性だから仕方ないと言えば仕方ないのだが。

　同じ男性のノアでももう少し空気を読んでいるのに対し、ルーカスはあまりに直接的過ぎるのだ。

「あー、そうね……。とりあえず、エマの悩みは誰かが解決するものでもないし、どうしようも出来ないから」

「そ、そうなのか？　俺のアドバイスは間違っていたのか？」

　そうルーカスは深刻そうな顔をする。

「いや、間違ってる以前の問題というか、そもそもアドバイスを求められていないと言うか」

「悩んでいたのに、アドバイスを求められていない……？」

　やはりルーカスにとってはよく分からない事らしい。

「まあ、そういう事もあるのよ、時と場合によるというか」

「そんな物なんですか？
中々察するというのは難しいですね……」

　そうルーカスはしゅんと落ち込んでいる。

「まあ、無理に頼られようとしなくても、みんな頼りたい時には頼るんじゃない？
数学とか」

「やっぱり数学くらいしか無いのか……」

　オリヴィアはフォローのつもりで言ったのだが、何故か更に落ち込まれた。

「というか、そういつまでもクヨクヨしてる方がもっと頼りなく見えるのだけれど。
いい加減やめてくれない？」

　最早何を言っても落ち込みそうなので、逆にキツめに言ってみた。

「オ、オリヴィア様……。

今のセリフもうちょっと睨みつける様な目でもう一回言ってもらって良いですか？」

　すると何故だかもう一回とリクエストされてしまった。

「は？　何でよ？　嫌よ。
と言うかもう私も部屋に戻るわよ」

「あ、オリヴィア様！」

　そしてオリヴィアは部屋へと戻っていった。

「はあ、オリヴィア様は相変わらず素っ気なくて冷たくてだがそこがいい！

しかし意外とみんなの事をちゃんと見ている優しい一面もまたいい！

よし！　オリヴィア様に見合う男性になるべく頑張って頼り甲斐のある男になるぞ！」

　そうルーカスは更に頼られる様になろうと意気込むのであった。

　因みにエマはその後ノアの部屋に訪れていた。

「ねえ聞いてよ！　ルーカス兄様ったら本当に分かってくれないのよ！
実はね……」

「だから何故毎回僕に愚痴を言いに来るんです？」

　そうノアはエマに問いかける。
　お陰で数学の課題は進みそうにない。

「だってノアは話しやすいし、それに聞き上手だから？」

　エマはノアの問いにニコリと答える。

「そう言われるのはありがたいですけど……」
　
　俺は面倒だからただ適当に相槌を打ってとりあえず相手の意見に同意してるだけなんだけどな……。

　兄姉に頼られるのは別に嫌ではないが、正直面倒臭い。

　何故ルーカス兄さんは頼られたがるんだろう？

　そうノアは不思議に思いながらエマの愚痴を聞き流すのであった。
　
　そして後日。

「という訳で、どうやったら俺は上手く察する事が出来る様になるかアドバイスが欲しい」

「だから何で僕に訊くんですか？」

「オリヴィア様に訊いたら同じ男性のノアに訊けば？　と言われてな」

「オリヴィア姉様め……」

　ノアは小声で恨めしそうに呟いた。

「それに、俺としてもノアに一番相談しやすいしな」

　ニコリとルーカスは笑いながら言う。

「それはどうも」

　はあ、と溜め息吐きながらも、結局何やかんやアドバイスしてしまうノアなのだった。

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