【完結】悪役令嬢だけど何故か義理の兄弟達から溺愛されてます!?

本田ゆき

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未成年の飲酒は禁止です

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「さーて、そろそろ寝ようかしら」

 時刻は夜の9時半。
 エマは自室のベッドで眠りにつこうと寝転んでいたのだが。

「何だか寝付けないなぁ」

 エマは普段なら眠りにつくのが早い方なのだが、その日は何となく目が冴えてしまい、中々寝付けずにいた。

「うーん……」

 そう目を閉じてベッドでゴロゴロと寝返りを打ってみても、中々眠れない。

「よし、夜風でにもあたろう!」

 そう思い立ちテラスへ向かうも、冬が近くなっている夜の風は思いの外冷たかった。

「さ、寒いっ!
しかもお陰で余計に目が覚めてしまったわ」

 すぐ様テラスから移動して、ホットミルクでも飲もうとキッチンへ向かう。

「身体をあっためたら眠くなるわよね」

 そう思い立ち、ミルクを探していると、何やらブドウの絵が描かれている瓶を発見した。

「あら? ブドウジュースかしら、美味しそう」

 既に栓が一度開けられており、ブドウの良い匂いがする。

「……ちょっとだけならバレないわよね?」

 そうエマは瓶から少しだけ中の液体をコップへと注ぐ。

「頂きまーす」

 そうエマはクイっと呑み込んだ。


「……ヒック
あれ? なんか体があったかいなぁ、これならすぐに眠れそう……」

 そうしてエマは自室へ戻ろうとしたのだが、何故か間違えてオリヴィアの部屋の前に来ていた。


「あら? まあいいか」

 エマは取り敢えずオリヴィアの部屋のドアを叩く。

「オリヴィアちゃーん、起きてるぅー?
いーれーてー」

「何よこんな時間に。
嫌よ、さっさと寝なさいよ」

 そう扉の向こうからオリヴィアが返事をする。

「あっはは! オリヴィアちゃん起きてたー!
じゃあ入るねー」

 そう言ってエマは鍵のかかった扉を無理矢理こじ開けようとする。

 ミシミシという音が聞こえてきて流石にオリヴィアも焦った。

「ストップストーップ!
あんたまた扉壊す気!?」

 そうオリヴィアは扉を開けて抗議する。

 すると、エマの顔が真っ赤になっていた。

「ちょっと、あんたどうしたのその顔、真っ赤じゃない。
熱でもあるの?」

 そうオリヴィアは半ば心配する。

「ヒック、んー、なんか確かに熱いかも……でも元気よ! あそびましょー!」

「いや、こんな夜から遊ばないし、あんたも熱があるなら寝なさいよ」

 そうオリヴィアはエマを追い返そうとするも、それに反して素早い動きでエマはオリヴィアの部屋に入っていった。

「ちょっと! 何勝手に入ってるのよ!」

「んーたしかに眠いかもー、オリヴィアちゃんと一緒に寝るー!」

 そう言ってエマはオリヴィアのベッドに勝手に入りゴロゴロし出す。

「いや、自分の部屋で寝ろ!」
「オリヴィアちゃんの匂いがするー! キャハハッ! ヒック」

 と何やらエマは一人で盛り上がっていた。

「あんた本気で変よ……ん?」

 オリヴィアはエマから微かに香る匂いを嗅ぐ。

 それは何とも懐かしい匂いだった。

 下町時代の時は朝に母が帰ってきたらこの匂いがしたけど、貴族になってからは殆ど嗅いでいない。

「あんた、まさかアルコール飲んだ?」

 そうオリヴィアはエマに尋ねる。

「あるこーるぅ? やーねー、飲んでないわよー!
ブドウジュースをちょびっとだけ飲んだだけー」

「それ、ジュースじゃなくてワインじゃない!?」

「えー、そうだっけー?」

 オリヴィアはそれを聞いて呆れていた。

 道理で顔が赤かったり熱いと言ったりテンションがおかしい訳かと納得する。

「兎に角誰か呼んでくるわ」

 そうオリヴィアが部屋を出ようとすると、腕を物凄い力で引っ張られた。


「きゃあ!」

 オリヴィアは引っ張られるままベッドに押し倒される。

 その上からエマが覆い被さってくる。

「だめよオリヴィアちゃんどこに行く気?」

 そうアハハッとエマは笑っている。

「ちょっと退いて!」

 オリヴィアはエマを押し返そうと腕を伸ばしたら、そのままエマに両腕を捕まえられて頭上に固定されてしまった。

「ちょっと! 何してんのよ!」

 オリヴィアは抵抗しようと必死に体を動かすも、エマはビクともしない。
 そしてエマはハァハァと息を荒げながら話す。

「アハッ!
オリヴィアちゃんかわいいわ!
そんな顔して誘っているの~?」

 そうエマはもう片方の空いている手で私の寝巻きを捲り上げ様とする。

「いや、本当にやめて!
誘ってないし本気で嫌がってるから!」

 そうオリヴィアが懇願するも、エマには聞こえていない。

「オリヴィアちゃん、好きよ、大好き。
どんどんね、何だか体が熱くなってくるの。
オリヴィアちゃんも熱いでしょ?
今脱がせてあげるから……」

「いや、熱いのはアルコールのせいだから!
脱がさなくていい!」

 そしてエマはゆっくりとオリヴィアに近づいていき、そして。

「うわぁ!」

 バタンっと、エマはオリヴィアに倒れかかってきた。

「スー……スー……」

「……え?」

 オリヴィアはエマを横に押しやって何とかベッドから脱出する。

「寝ている……」

 エマはスヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てて寝てしまったのだ。

「何てはた迷惑な奴なんだ」

 そして自由を手に入れたオリヴィアは、誰か人を呼ぼうと部屋を出て廊下を歩いていると、ちょうどタイミング良くメアリーが通りかかった。

 しかし、何やら慌てている様だ。

「オリヴィアお嬢様、夜分にすみません。
エマお嬢様を見かけませんでしたか?」 

「ああ、エマなら急に私の部屋にやって来て、勝手にベッドで寝だしたわよ」

「本当ですか!?」

 オリヴィアがそう言うと、メアリーはすぐ様私の部屋から寝ているエマを回収する。

「見つかって良かったです~。
何せキッチンに飲みかけのワインがあったので、まさかとは思いみんなの部屋を回っていたら、エマお嬢様がいらっしゃらなかったもので」

 やはりエマが飲んだのはワインだったらしい。
 
「しかし、良く気付かずに飲んだわね」

「まあ、割とブドウの香りが強めなワインだったので、ジュースと間違えちゃったんでしょうね~」

 こうしてエマは無事メアリーに連れていかれた。


 そして翌日。

「あんた絶対に今後酒は飲まないでよ」

 オリヴィアはそうエマに忠告する。

「え? どうしたのオリヴィアちゃん、私たちまだ14歳なんだからお酒なんて飲めないじゃない」

 そうエマは不思議そうに返してくる。
 どうやら昨日の事はすっかり忘れている様だ。

「でも憧れちゃうわ、美味しいのかしら?
飲んでみたいわよね」

「駄目、あんたは絶対飲んじゃ駄目」

「えー! 大人になったらいいじゃない?」

「駄目、絶対駄目!」

 エマには一滴たりとも酒を飲ませてはいけないとオリヴィアは心に誓った。
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