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番外編 ハロウィン
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10月31日。
「「「トリックオアトリート!!」」」
オリヴィアが部屋を出ると、その扉越しから仮装した3人が突然現れた。
「オリヴィアちゃん、お菓子くれなきゃイタズラするわよ!」
「それじゃあこのキャンディあげる」
私はそう言って、持っていたキャンディを3人に配った。
「ええ!?
何でキャンディ持ってるの~!?」
「オリヴィア姉様にイタズラしようと思ったのにー」
「うぅっ、今日こそ冷たい目で虐められたかった!」
そう3人はそれぞれ項垂れた。
「どうせそんな事だろうと思ってお菓子を用意してたのよ。
あんたらの下心なんてお見通しだから」
「オリヴィアちゃん、私達の事そんなに分かっててくれたのね……!」
そうエマは嬉しそうな顔をする。
何でこうもポジティブに捉えられるんだろう。
「ところでずっと気になってたからそろそろ突っ込んでいいかしら?」
「何をだい、オリヴィア様?」
私は指を指して言った。
「ルーカス……よね?
狼リアル過ぎでしょ!?」
そう私はリアルすぎるルーカスの被り物を指差す。
「これ凄いですよね!
ちゃんと手足と尻尾もあるんですよ!」
そうルーカスは後ろを向いて尻尾を見せてくれた。
「いやリアル過ぎて一瞬本当にビビったわ……」
「オリヴィアちゃん、私はどう!?」
そうエマも見て見てと言わんばかりに仮装を見せつけてくる。
何やら黒い大きなローブを身にまとい、頭にとんがり帽を被っている。
「あんたは、魔法使い?」
「惜しい! 私は悪い魔女の仮装よ♡」
そう木の枝っぽい杖を持って悪そうな顔をするも、顔が可愛すぎて全然悪者に見えない。
どちらかと言うと魔女っ子の方がしっくり来る。
「オリヴィア姉様、僕はどうですかー?」
そうノアも感想を求めてくる。
「あんたは、ヴァンパイア?」
ノアは前髪を半分オールバックにして八重歯をつけて、黒いマントを羽織っている。
そのコートの中は赤地で出来ておりチラチラ赤い部分が見える。
「かっこいいですか?」
「まあ、普段と違っててかっこよく見えるわね」
そう言われてノアは嬉しそうに笑った。
「……でも、私としてはまたメイド服が見たかったわ」
「何でそっちに発想がいくんですか」
私がそう残念がると露骨にノアは嫌そうな顔をする。
「今からでも設定を女性のヴァンパイアに変えるのはどうかしら!?」
「嫌ですよ折角ここまで化粧して貰ったのに」
そうエマが提案するも、即座に却下された。
「それじゃあこれからお祭りに行くから、ほらオリヴィアちゃんも何か着替えて?」
「え? 私もするの?」
てっきり私はお菓子さえ配れば終わりだと思っていたから、そこは完全に誤算である。
「私特に衣装なんて何も持ってないわよ。適当に白い布被ってオバケとかじゃ駄目かしら?」
「それは流石に手抜きすぎですよ」
オリヴィアがそう提案するも、ノアに止められる。
「オリヴィア姉様こそメイド服とか着たらどうですか?」
「それは遠慮するわ」
そう断るとノアがむー、と不機嫌な顔をする。
この前自身が着せられたから仕返しのつもりだろう。
「それならオリヴィア様!
鞭とか小道具を持つのはどうでしょう!?」
何故かルーカスが凄い勢いで言ってきた。
顔が狼のせいで圧が凄い。
後、狼のマスクを被ってて熱いのか、息がはあはあと荒くなってて少し心配になるレベルだ。
「何でそこで鞭チョイスなのよ?
後それ熱そうだけど大丈夫?」
「はい! 大丈夫です! オリヴィア様から心配して貰えるなんて!」
そう狼姿のままルーカスは何やら悶えていた。
ルーカスはどうやらいつも通りだから大丈夫そうだ。
「それならオリヴィアちゃん、この衣装なんてどうかしら?」
そうエマは何やら黒い衣装を手に取る。
「え? 何これ」
「黒猫の衣装よ♪」
私は渡された服を手に取ってまじまじと見る。
その黒いローブは一見エマの魔女の衣装に似ているも、フードに猫耳がついていた。
おまけに尻尾までついている。
「……まあ、他に衣装も無いし、これなら着るのも簡単だし、着てあげない事もないけど?」
「オリヴィアちゃん本当に猫好きなのね!」
「いや別に猫だからという訳じゃなくて、まあこれくらいなら許容範囲というか、許してやらないでもないだけだから」
そう言ってオリヴィアは部屋に戻り渡された衣装に着替える。
「これでいいの?」
「可愛い! すっごい可愛いわオリヴィアちゃん!」
「可愛らしい猫さんですね♪」
「オリヴィア様、可愛いです!
ああ、俺も飼われたい!」
「何であんたが飼われる側なのよ?」
私は即座にルーカスに突っ込む。
「それじゃあお祭りに行きましょ!」
そうして私達4人でどうやら街でやってるお祭りとやらに行くことになった。
「しかしまぁ、凄い人ね」
私はこういうお祭りに参加した事がない為、人の多さにびっくりする。
「それに色んな格好してる人が居るのね、何だか見てるだけで面白いわね」
「気に入って頂けたみたいで良かったです」
そうノアがニコリと笑う。
半分オールバックのせいか、その綺麗な顔が余計に目立つ。
「……ノア。
やっぱりメイド服の方が良かったわ……」
「まだ言います? それ」
「オリヴィアちゃーん!屋台があるわよ!」
「オリヴィア様ー! こっちでミニゲームもやってますよー!」
「はいはい、分かったわよ」
こうして初めてお祭りに来てみたけど。
(ちょっと楽しいかも……)
なんて、口には死んでも出さないけど。
「あ、ルーカス様ー!」
そう少し離れた所からシーラが近寄って来た。
どうやらシーラもお祭りに来ていた様だ。
「良く顔が見えてない状態でルーカスって分かったわね……」
「まあ、シーラ様ですから」
「流石としか言えないわ」
そう私とノアとエマは驚愕する。
「シーラ様もいらしたんですね、シスターの格好似合っています」
そうルーカスはシーラを褒める。
シーラは正統派のシスターの格好をしていた。
やはり美人は何を着ても似合うのか、その衣装もよく似合っている。
「ルーカス様こそ、狼男の格好凄いクオリティが高くてかっこいいですわ!」
そうシーラはルーカスを見てうっとりする。
今ルーカスは顔が見えてないのに、何処でうっとりする要素があるんだろう?
オリヴィアは本気で悩んだ。
「やあ、オリヴィア様」
すると、背後から声をかけられた。
「猫の衣装とっても可愛らしいですね」
「あ、ルイス様」
その声に、エマとノアも即座に反応する。
「でやがりましたね」
「でやがったわね」
「2人とも、俺を本物のお化けが出た様な扱いするのやめてくれないかい?」
そうルイスはハハっと笑う。
「ルイス様は神父なんですね」
「ええ、姉さんがシスターの格好をしていたので、便乗しました」
ルイスはそう如何にも神父の格好で、眼鏡に聖書らしきものと大き目の十字架のネックレスを首から下げている。
「今ならノア君との相性最悪かもね」
そうルイスはヴァンパイア姿のノアに十字架を見せつけて笑う。
「嫌ですね、前から相性最悪じゃないですか~」
そうノアは十字架をものともせずに答える。
何だか面倒臭い事になりそうだなと思った矢先、また私は声をかけられた。
「あ、オリヴィア~」
「ア、アデック王子!?」
突然のアデックの登場に、みんなが固まる。
「んーとそれにルイスにシーラにノアにエマに……
ルーカスかな?」
恐らくルーカスは消去法の上で言われたのだろう。
顔が見えないのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
「アデック王子、何でオリヴィア様の事知ってるんだ!?」
そうルイスは問いかける。
「まあ、俺は顔が広いからね~」
そうアデックは質問を軽く躱す。
「ところでアデック王子、何故こちらに?」
「ん? 俺も祭りを楽しもうと思って」
「でも、仮装してないですよね?」
オリヴィアはそう指摘する。
アデックの格好は前に会った時と大して変わらなかった。
「ん? ああ、これは、悪役令嬢に毒殺された王子の幽霊って設定だから」
そうケロッとアデックは答える。
オリヴィア(そんなん分かる訳ないだろ)
エマ(敢えて死に方を毒殺にして仮装という体を貫き通そうとしてるのかしら?)
ノア(この人本当に王子なんだよな、この国の)
ルーカス(やっぱり噂通り変わり者なんだな)
シーラ(仕事の時はちゃんとしてるのに)
ルイス(絶対仮装するの面倒臭かっただけだろ)
「……まあ、みんな何処かしら思うところがある様だけど、そんな事より楽しみなよ。
俺も存分に楽しむからさ」
そうアデックは言い残して去っていった。
一体何だったのだろうか?
しかし、お陰で険悪なムードが有耶無耶に出来た。
「まあいいわ、取り敢えず今日はこれ以上争い事なしでお願いね」
「「……はーい」」
そう私が言うと、睨み合っていたルイスとノアは渋々了解した。
「オリヴィアちゃん! これから花火が上がるわよ!」
そうエマに言われて空を見上げると、暗い夜空にキラキラと花火が舞い上がった。
「……綺麗ね」
小さい頃から遠くから聞こえる花火のドーンという音しか聞いたことが無かったから、実物を見るのは初めてだった。
チラリとオリヴィアがみんなの方を見やると、何故か大半が私の方を見てた。
「いや、あんたら花火見なさいよ」
「すみません、花火より綺麗だったので」
「綺麗ですよ、オリヴィア姉様♪」
「オリヴィアちゃんの横顔眺めてるだけでドキドキしちゃうわ!」
「オリヴィア様、とても綺麗です! 美しい!」
「……オリヴィア様が羨ましいわ」
そんなこんなでオリヴィアの初めてのお祭りは幕を下ろしたのであった。
一方アデックはというと、
「はぁ、俺も子供の頃みたいにお祭り歩き回りたかったな~。
でも仮装するのは面倒なんだよな~」
「王子、お仕事中ですよ!」
実は仕事の合間に来ていただけだった。
「「「トリックオアトリート!!」」」
オリヴィアが部屋を出ると、その扉越しから仮装した3人が突然現れた。
「オリヴィアちゃん、お菓子くれなきゃイタズラするわよ!」
「それじゃあこのキャンディあげる」
私はそう言って、持っていたキャンディを3人に配った。
「ええ!?
何でキャンディ持ってるの~!?」
「オリヴィア姉様にイタズラしようと思ったのにー」
「うぅっ、今日こそ冷たい目で虐められたかった!」
そう3人はそれぞれ項垂れた。
「どうせそんな事だろうと思ってお菓子を用意してたのよ。
あんたらの下心なんてお見通しだから」
「オリヴィアちゃん、私達の事そんなに分かっててくれたのね……!」
そうエマは嬉しそうな顔をする。
何でこうもポジティブに捉えられるんだろう。
「ところでずっと気になってたからそろそろ突っ込んでいいかしら?」
「何をだい、オリヴィア様?」
私は指を指して言った。
「ルーカス……よね?
狼リアル過ぎでしょ!?」
そう私はリアルすぎるルーカスの被り物を指差す。
「これ凄いですよね!
ちゃんと手足と尻尾もあるんですよ!」
そうルーカスは後ろを向いて尻尾を見せてくれた。
「いやリアル過ぎて一瞬本当にビビったわ……」
「オリヴィアちゃん、私はどう!?」
そうエマも見て見てと言わんばかりに仮装を見せつけてくる。
何やら黒い大きなローブを身にまとい、頭にとんがり帽を被っている。
「あんたは、魔法使い?」
「惜しい! 私は悪い魔女の仮装よ♡」
そう木の枝っぽい杖を持って悪そうな顔をするも、顔が可愛すぎて全然悪者に見えない。
どちらかと言うと魔女っ子の方がしっくり来る。
「オリヴィア姉様、僕はどうですかー?」
そうノアも感想を求めてくる。
「あんたは、ヴァンパイア?」
ノアは前髪を半分オールバックにして八重歯をつけて、黒いマントを羽織っている。
そのコートの中は赤地で出来ておりチラチラ赤い部分が見える。
「かっこいいですか?」
「まあ、普段と違っててかっこよく見えるわね」
そう言われてノアは嬉しそうに笑った。
「……でも、私としてはまたメイド服が見たかったわ」
「何でそっちに発想がいくんですか」
私がそう残念がると露骨にノアは嫌そうな顔をする。
「今からでも設定を女性のヴァンパイアに変えるのはどうかしら!?」
「嫌ですよ折角ここまで化粧して貰ったのに」
そうエマが提案するも、即座に却下された。
「それじゃあこれからお祭りに行くから、ほらオリヴィアちゃんも何か着替えて?」
「え? 私もするの?」
てっきり私はお菓子さえ配れば終わりだと思っていたから、そこは完全に誤算である。
「私特に衣装なんて何も持ってないわよ。適当に白い布被ってオバケとかじゃ駄目かしら?」
「それは流石に手抜きすぎですよ」
オリヴィアがそう提案するも、ノアに止められる。
「オリヴィア姉様こそメイド服とか着たらどうですか?」
「それは遠慮するわ」
そう断るとノアがむー、と不機嫌な顔をする。
この前自身が着せられたから仕返しのつもりだろう。
「それならオリヴィア様!
鞭とか小道具を持つのはどうでしょう!?」
何故かルーカスが凄い勢いで言ってきた。
顔が狼のせいで圧が凄い。
後、狼のマスクを被ってて熱いのか、息がはあはあと荒くなってて少し心配になるレベルだ。
「何でそこで鞭チョイスなのよ?
後それ熱そうだけど大丈夫?」
「はい! 大丈夫です! オリヴィア様から心配して貰えるなんて!」
そう狼姿のままルーカスは何やら悶えていた。
ルーカスはどうやらいつも通りだから大丈夫そうだ。
「それならオリヴィアちゃん、この衣装なんてどうかしら?」
そうエマは何やら黒い衣装を手に取る。
「え? 何これ」
「黒猫の衣装よ♪」
私は渡された服を手に取ってまじまじと見る。
その黒いローブは一見エマの魔女の衣装に似ているも、フードに猫耳がついていた。
おまけに尻尾までついている。
「……まあ、他に衣装も無いし、これなら着るのも簡単だし、着てあげない事もないけど?」
「オリヴィアちゃん本当に猫好きなのね!」
「いや別に猫だからという訳じゃなくて、まあこれくらいなら許容範囲というか、許してやらないでもないだけだから」
そう言ってオリヴィアは部屋に戻り渡された衣装に着替える。
「これでいいの?」
「可愛い! すっごい可愛いわオリヴィアちゃん!」
「可愛らしい猫さんですね♪」
「オリヴィア様、可愛いです!
ああ、俺も飼われたい!」
「何であんたが飼われる側なのよ?」
私は即座にルーカスに突っ込む。
「それじゃあお祭りに行きましょ!」
そうして私達4人でどうやら街でやってるお祭りとやらに行くことになった。
「しかしまぁ、凄い人ね」
私はこういうお祭りに参加した事がない為、人の多さにびっくりする。
「それに色んな格好してる人が居るのね、何だか見てるだけで面白いわね」
「気に入って頂けたみたいで良かったです」
そうノアがニコリと笑う。
半分オールバックのせいか、その綺麗な顔が余計に目立つ。
「……ノア。
やっぱりメイド服の方が良かったわ……」
「まだ言います? それ」
「オリヴィアちゃーん!屋台があるわよ!」
「オリヴィア様ー! こっちでミニゲームもやってますよー!」
「はいはい、分かったわよ」
こうして初めてお祭りに来てみたけど。
(ちょっと楽しいかも……)
なんて、口には死んでも出さないけど。
「あ、ルーカス様ー!」
そう少し離れた所からシーラが近寄って来た。
どうやらシーラもお祭りに来ていた様だ。
「良く顔が見えてない状態でルーカスって分かったわね……」
「まあ、シーラ様ですから」
「流石としか言えないわ」
そう私とノアとエマは驚愕する。
「シーラ様もいらしたんですね、シスターの格好似合っています」
そうルーカスはシーラを褒める。
シーラは正統派のシスターの格好をしていた。
やはり美人は何を着ても似合うのか、その衣装もよく似合っている。
「ルーカス様こそ、狼男の格好凄いクオリティが高くてかっこいいですわ!」
そうシーラはルーカスを見てうっとりする。
今ルーカスは顔が見えてないのに、何処でうっとりする要素があるんだろう?
オリヴィアは本気で悩んだ。
「やあ、オリヴィア様」
すると、背後から声をかけられた。
「猫の衣装とっても可愛らしいですね」
「あ、ルイス様」
その声に、エマとノアも即座に反応する。
「でやがりましたね」
「でやがったわね」
「2人とも、俺を本物のお化けが出た様な扱いするのやめてくれないかい?」
そうルイスはハハっと笑う。
「ルイス様は神父なんですね」
「ええ、姉さんがシスターの格好をしていたので、便乗しました」
ルイスはそう如何にも神父の格好で、眼鏡に聖書らしきものと大き目の十字架のネックレスを首から下げている。
「今ならノア君との相性最悪かもね」
そうルイスはヴァンパイア姿のノアに十字架を見せつけて笑う。
「嫌ですね、前から相性最悪じゃないですか~」
そうノアは十字架をものともせずに答える。
何だか面倒臭い事になりそうだなと思った矢先、また私は声をかけられた。
「あ、オリヴィア~」
「ア、アデック王子!?」
突然のアデックの登場に、みんなが固まる。
「んーとそれにルイスにシーラにノアにエマに……
ルーカスかな?」
恐らくルーカスは消去法の上で言われたのだろう。
顔が見えないのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
「アデック王子、何でオリヴィア様の事知ってるんだ!?」
そうルイスは問いかける。
「まあ、俺は顔が広いからね~」
そうアデックは質問を軽く躱す。
「ところでアデック王子、何故こちらに?」
「ん? 俺も祭りを楽しもうと思って」
「でも、仮装してないですよね?」
オリヴィアはそう指摘する。
アデックの格好は前に会った時と大して変わらなかった。
「ん? ああ、これは、悪役令嬢に毒殺された王子の幽霊って設定だから」
そうケロッとアデックは答える。
オリヴィア(そんなん分かる訳ないだろ)
エマ(敢えて死に方を毒殺にして仮装という体を貫き通そうとしてるのかしら?)
ノア(この人本当に王子なんだよな、この国の)
ルーカス(やっぱり噂通り変わり者なんだな)
シーラ(仕事の時はちゃんとしてるのに)
ルイス(絶対仮装するの面倒臭かっただけだろ)
「……まあ、みんな何処かしら思うところがある様だけど、そんな事より楽しみなよ。
俺も存分に楽しむからさ」
そうアデックは言い残して去っていった。
一体何だったのだろうか?
しかし、お陰で険悪なムードが有耶無耶に出来た。
「まあいいわ、取り敢えず今日はこれ以上争い事なしでお願いね」
「「……はーい」」
そう私が言うと、睨み合っていたルイスとノアは渋々了解した。
「オリヴィアちゃん! これから花火が上がるわよ!」
そうエマに言われて空を見上げると、暗い夜空にキラキラと花火が舞い上がった。
「……綺麗ね」
小さい頃から遠くから聞こえる花火のドーンという音しか聞いたことが無かったから、実物を見るのは初めてだった。
チラリとオリヴィアがみんなの方を見やると、何故か大半が私の方を見てた。
「いや、あんたら花火見なさいよ」
「すみません、花火より綺麗だったので」
「綺麗ですよ、オリヴィア姉様♪」
「オリヴィアちゃんの横顔眺めてるだけでドキドキしちゃうわ!」
「オリヴィア様、とても綺麗です! 美しい!」
「……オリヴィア様が羨ましいわ」
そんなこんなでオリヴィアの初めてのお祭りは幕を下ろしたのであった。
一方アデックはというと、
「はぁ、俺も子供の頃みたいにお祭り歩き回りたかったな~。
でも仮装するのは面倒なんだよな~」
「王子、お仕事中ですよ!」
実は仕事の合間に来ていただけだった。
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