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恋愛に興味ある?
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そして、翌日のお昼に、本当に王室から迎えの馬車がやってきたのだった。
「やっぱり、あの手紙は本物だったのね……」
私はこれから何が待ち受けているのか、内心不安で仕方がなかった。
「オリヴィアお嬢様、大丈夫ですよ。
私がついていますので」
そうメアリーはオリヴィアの手を握り馬車へとエスコートする。
「はぁ、ありがとうメアリー」
前にハンネル家へ行った時は3兄弟がいてくれたが、今回は私1人なので凄く緊張している。
メイド長のメアリーが一緒に付き添ってくれるだけでも大分ありがたい。
「しかし、アデック王子は一体何が目的なのかしら?」
私はうーんと考えるも、そもそも顔もよく知らない相手だ。
一国の王子を知らないというのも失礼な話ではあるが、半年前まで下町の娘だった私に王室なんて一生縁のないところだったのだから仕方がないと思う。
そう馬車で揺られながら、とうとう私は王室のお屋敷に着いてしまった。
「うわぁ……」
私はそのやはり予想通り大きなお屋敷に言葉を無くす。
すると、屋敷の扉がバタンと開かれた。
「お、ちょうど13時ぴったりに来たな。
逃げないで来てくれた事に感謝するぞ、オリヴィアちゃん」
そう、執事ではなく恐らくアデック本人であろう男がやってきた。
後ろから慌てて執事がやってくる。
「アデック様! 案内は私どもがしますので!」
そう年配の執事が言うも、それをアデックは断る。
「いやいいよ。俺が無理矢理呼んだ客人なんだから、俺が案内する。
そこのお付きのメイドさんは、そちらの広間で待ってて貰っていいかな?」
そうアデックはメアリーに指示を出す。
メアリーは失礼します。と丁寧に頭を下げて言われた通り広間の方へ向かった。
オリヴィアはまさかのアデックの登場の早さに驚くも、慌てて挨拶をする。
「え、えっと、あの!
オリヴィア・ハワードと申します」
「あー、俺がこの国の一応王子やってるアデックだ。
まあ挨拶はこれくらいにして君はこっちに着いてきて」
アデックはオリヴィアの挨拶に対してやはり軽い口調で答えて、そうスタスタと歩き出した。
オリヴィアもそれに着いていく。
「あの、初めまして、ですよね?」
私は一応確認する。
「ああ、多分初めましてで問題ないと思うぞ。
俺も君を見かけた事ないし」
そうアデックはオリヴィアの前を歩きながら答える。
「あの、どちらに向かわれてるんですか?」
そうオリヴィアが尋ねると、アデックはあっさりと答えた。
「ん? 俺の部屋だけど」
「え?」
オリヴィアは少し困惑する。
この前ルーカスにも注意されたし、男性の部屋に1人で入って大丈夫なのだろうか?
「あ、因みに猫も居るから、客室よりそっちがいいと思ったんだけど」
「あ、そうなんですね、なら大丈夫です」
そう付け加えられて、オリヴィアは安心した。
猫がいるなら2人きりではないし。
というか内心楽しみである。
そして2人はアデックの自室にたどり着いた。
アデックはその扉を開けて、オリヴィアを案内する。
「はい、オリヴィア、中へどうぞ」
オリヴィアが恐る恐る中へ入ると。
「にゃーん!」
「か、可愛いっ!」
その部屋で何とも可愛い猫が待ち構えていた。
それも3匹もいる。
「どうだ? 気に入ったか?
抱っこしてもいいぞ」
そう言ってアデックは1匹を抱き上げてオリヴィアに渡す。
オリヴィアはその猫を抱きあげて、満面の笑みを溢す。
「わ、わ~!
可愛い!!」
「気に入ってくれた様で良かった良かった」
それからアデックは部屋の中の椅子にオリヴィアを座る様に促す。
オリヴィアは猫を抱っこしながら言われた通り椅子へ腰掛けた。
それから、小さめの机を挟んで反対側に置かれている椅子にアデックも座った。
「さて、それじゃあ軽くお話しようか」
「はい、何でしょうか?」
オリヴィアは返事をするも、しかし抱っこしている猫を見ており、心ここにあらずといった感じだ。
「いや、実は俺ルイスとは昔から仲良くて、お兄ちゃん的ポジションなんだけどさ」
「へぇ、そうなんですね」
そうまたオリヴィアが返事をするも、やはり猫の方を見ている。
「それでオリヴィアにいくつか気になった事があってな」
「はい、何でしょうか?」
そしてアデックは椅子から立ち上がってオリヴィアから猫を取り上げた。
「ああ!」
オリヴィアは少し残念そうな顔をする。
「実は俺珍しく真面目な話をしようとしてるからさ、ちょっと話が終わるまでは猫没収な」
「……はい」
そう言われて露骨にオリヴィアはしょんぼりする。
どうやら本当に猫が大好きな様だなとアデックは頷く。
というのも、アデックはルイスとの会話の後から1週間ほどオリヴィアの情報を集めていたからである。
そして案の定アデックの思った通り、ルイスだけでなくルーカスやノアまでオリヴィアの事が好きだということまで判明している。
「それじゃあ単刀直入に聞くけど、オリヴィアって恋愛に興味ある?」
アデックは椅子に腰掛けてオリヴィアをスッと見据えてそう聞いた。
「え? 恋愛、ですか?」
そう聞かれたオリヴィアはうーんと悩む。
ルイスと仲が良いということは、やはりアデック王子は私とルイスをくっつけたいのだろうか?
そうオリヴィアは推測する。
「そうですね……。
恋愛に興味がない訳ではないですけれど、今の所誰かを好きになった事もないので分からないです」
オリヴィアはそうありのままの本心を伝えた。
「そっか、まあそれはさておき。
実はさ、俺思うところがあってね。
8年も前に一度会っただけの人をずっと覚えていられるのかなって」
それは多分ルイスと私の事だろう。
「オリヴィアはどう思う?
8年前に会った少年を忘れられずにいて、それが急に感動の再会を果たした。
なんて、俺にとってはドラマや小説の様なフィクションの話としか思えないんだが」
「まあ、確かに現実味は薄いですよね。私もびっくりしましたし」
「そう、俺も正直ルイスがいつかはその子の事を忘れて他の子を好きになると思っていた。
でもルイスは忘れられなかった。
そして、君の事を変わらずに好きだと言っている。
なら、オリヴィア、君は?」
そう聞かれて、私は悩みながら尋ねる。
「それは、私はルイス様を好きじゃないのか? という事ですかね?」
「まあ、そうなるな。だって普通は運命とか信じちゃうんじゃないか?
そんなロマンティックなシチュエーションってさ」
そうアデックは机に肘を立てて頬杖しながら訊いてくる。
「ただ、私はそもそもその8年前の少年の事を好きかどうかが分かりません」
そう私は正直に答えた。
アデックは意外そうな顔をする。
「ふーん、でも8年もその少年を覚えていたという事は、少なからず気にはなっていたという事なんじゃないの?
子供の頃良く遊んでた友達とかよりも下手したら鮮明に憶えているというのなら、そうなんじゃないかなって俺は思うけど」
私はそれを聞いて考える。
「……確かに、他の人よりは気になっていたのかもしれません。
ただ、もし仮に私があの8年前の少年が好きだったとして、そしてその少年が実はルイス様だったとして、8年経った今それはイコールで結べますか?」
そうオリヴィアはアデックに質問し返した。
「ん? それはつまり、8年前の少年が今のルイスとかけ離れてるってことが言いたいのか?」
アデックはオリヴィアの言葉を察してそう答えた。
「まあ、そうですね、私の中での少年と、今のルイス様はまるで別人みたいに性格が違います。
勿論8年も経てば人は誰しも考え方だったり変わるでしょう?
それを同一人物だからと簡単に好きになれますか?」
そうオリヴィアはアデックに訴えかける。
「成る程な、それも確かに一理ある。
気になっていた少年が、8年後久々に会ったらプレイボーイなんて、幻滅するなって言う方が難しいしな」
そうアデックもうんうんと頷く。
「ただ、オリヴィアに一つ知っておいて欲しいのは、あいつはこの8年間オリヴィアの事を想い続けてた。
それだけは本物だから」
そうアデックはオリヴィアの目を見て言う。
「あいつ、ここ最近女の子の誘いを全部断ってるんだ。俺としてはあいつの今までの女遊びはどっかでやめさせないとなと思っていたからラッキーと思っていたけど、それも全部オリヴィアのお陰だ」
「え?」
オリヴィアはそれを聞いて目を丸くして驚いた。
「やっぱり、あの手紙は本物だったのね……」
私はこれから何が待ち受けているのか、内心不安で仕方がなかった。
「オリヴィアお嬢様、大丈夫ですよ。
私がついていますので」
そうメアリーはオリヴィアの手を握り馬車へとエスコートする。
「はぁ、ありがとうメアリー」
前にハンネル家へ行った時は3兄弟がいてくれたが、今回は私1人なので凄く緊張している。
メイド長のメアリーが一緒に付き添ってくれるだけでも大分ありがたい。
「しかし、アデック王子は一体何が目的なのかしら?」
私はうーんと考えるも、そもそも顔もよく知らない相手だ。
一国の王子を知らないというのも失礼な話ではあるが、半年前まで下町の娘だった私に王室なんて一生縁のないところだったのだから仕方がないと思う。
そう馬車で揺られながら、とうとう私は王室のお屋敷に着いてしまった。
「うわぁ……」
私はそのやはり予想通り大きなお屋敷に言葉を無くす。
すると、屋敷の扉がバタンと開かれた。
「お、ちょうど13時ぴったりに来たな。
逃げないで来てくれた事に感謝するぞ、オリヴィアちゃん」
そう、執事ではなく恐らくアデック本人であろう男がやってきた。
後ろから慌てて執事がやってくる。
「アデック様! 案内は私どもがしますので!」
そう年配の執事が言うも、それをアデックは断る。
「いやいいよ。俺が無理矢理呼んだ客人なんだから、俺が案内する。
そこのお付きのメイドさんは、そちらの広間で待ってて貰っていいかな?」
そうアデックはメアリーに指示を出す。
メアリーは失礼します。と丁寧に頭を下げて言われた通り広間の方へ向かった。
オリヴィアはまさかのアデックの登場の早さに驚くも、慌てて挨拶をする。
「え、えっと、あの!
オリヴィア・ハワードと申します」
「あー、俺がこの国の一応王子やってるアデックだ。
まあ挨拶はこれくらいにして君はこっちに着いてきて」
アデックはオリヴィアの挨拶に対してやはり軽い口調で答えて、そうスタスタと歩き出した。
オリヴィアもそれに着いていく。
「あの、初めまして、ですよね?」
私は一応確認する。
「ああ、多分初めましてで問題ないと思うぞ。
俺も君を見かけた事ないし」
そうアデックはオリヴィアの前を歩きながら答える。
「あの、どちらに向かわれてるんですか?」
そうオリヴィアが尋ねると、アデックはあっさりと答えた。
「ん? 俺の部屋だけど」
「え?」
オリヴィアは少し困惑する。
この前ルーカスにも注意されたし、男性の部屋に1人で入って大丈夫なのだろうか?
「あ、因みに猫も居るから、客室よりそっちがいいと思ったんだけど」
「あ、そうなんですね、なら大丈夫です」
そう付け加えられて、オリヴィアは安心した。
猫がいるなら2人きりではないし。
というか内心楽しみである。
そして2人はアデックの自室にたどり着いた。
アデックはその扉を開けて、オリヴィアを案内する。
「はい、オリヴィア、中へどうぞ」
オリヴィアが恐る恐る中へ入ると。
「にゃーん!」
「か、可愛いっ!」
その部屋で何とも可愛い猫が待ち構えていた。
それも3匹もいる。
「どうだ? 気に入ったか?
抱っこしてもいいぞ」
そう言ってアデックは1匹を抱き上げてオリヴィアに渡す。
オリヴィアはその猫を抱きあげて、満面の笑みを溢す。
「わ、わ~!
可愛い!!」
「気に入ってくれた様で良かった良かった」
それからアデックは部屋の中の椅子にオリヴィアを座る様に促す。
オリヴィアは猫を抱っこしながら言われた通り椅子へ腰掛けた。
それから、小さめの机を挟んで反対側に置かれている椅子にアデックも座った。
「さて、それじゃあ軽くお話しようか」
「はい、何でしょうか?」
オリヴィアは返事をするも、しかし抱っこしている猫を見ており、心ここにあらずといった感じだ。
「いや、実は俺ルイスとは昔から仲良くて、お兄ちゃん的ポジションなんだけどさ」
「へぇ、そうなんですね」
そうまたオリヴィアが返事をするも、やはり猫の方を見ている。
「それでオリヴィアにいくつか気になった事があってな」
「はい、何でしょうか?」
そしてアデックは椅子から立ち上がってオリヴィアから猫を取り上げた。
「ああ!」
オリヴィアは少し残念そうな顔をする。
「実は俺珍しく真面目な話をしようとしてるからさ、ちょっと話が終わるまでは猫没収な」
「……はい」
そう言われて露骨にオリヴィアはしょんぼりする。
どうやら本当に猫が大好きな様だなとアデックは頷く。
というのも、アデックはルイスとの会話の後から1週間ほどオリヴィアの情報を集めていたからである。
そして案の定アデックの思った通り、ルイスだけでなくルーカスやノアまでオリヴィアの事が好きだということまで判明している。
「それじゃあ単刀直入に聞くけど、オリヴィアって恋愛に興味ある?」
アデックは椅子に腰掛けてオリヴィアをスッと見据えてそう聞いた。
「え? 恋愛、ですか?」
そう聞かれたオリヴィアはうーんと悩む。
ルイスと仲が良いということは、やはりアデック王子は私とルイスをくっつけたいのだろうか?
そうオリヴィアは推測する。
「そうですね……。
恋愛に興味がない訳ではないですけれど、今の所誰かを好きになった事もないので分からないです」
オリヴィアはそうありのままの本心を伝えた。
「そっか、まあそれはさておき。
実はさ、俺思うところがあってね。
8年も前に一度会っただけの人をずっと覚えていられるのかなって」
それは多分ルイスと私の事だろう。
「オリヴィアはどう思う?
8年前に会った少年を忘れられずにいて、それが急に感動の再会を果たした。
なんて、俺にとってはドラマや小説の様なフィクションの話としか思えないんだが」
「まあ、確かに現実味は薄いですよね。私もびっくりしましたし」
「そう、俺も正直ルイスがいつかはその子の事を忘れて他の子を好きになると思っていた。
でもルイスは忘れられなかった。
そして、君の事を変わらずに好きだと言っている。
なら、オリヴィア、君は?」
そう聞かれて、私は悩みながら尋ねる。
「それは、私はルイス様を好きじゃないのか? という事ですかね?」
「まあ、そうなるな。だって普通は運命とか信じちゃうんじゃないか?
そんなロマンティックなシチュエーションってさ」
そうアデックは机に肘を立てて頬杖しながら訊いてくる。
「ただ、私はそもそもその8年前の少年の事を好きかどうかが分かりません」
そう私は正直に答えた。
アデックは意外そうな顔をする。
「ふーん、でも8年もその少年を覚えていたという事は、少なからず気にはなっていたという事なんじゃないの?
子供の頃良く遊んでた友達とかよりも下手したら鮮明に憶えているというのなら、そうなんじゃないかなって俺は思うけど」
私はそれを聞いて考える。
「……確かに、他の人よりは気になっていたのかもしれません。
ただ、もし仮に私があの8年前の少年が好きだったとして、そしてその少年が実はルイス様だったとして、8年経った今それはイコールで結べますか?」
そうオリヴィアはアデックに質問し返した。
「ん? それはつまり、8年前の少年が今のルイスとかけ離れてるってことが言いたいのか?」
アデックはオリヴィアの言葉を察してそう答えた。
「まあ、そうですね、私の中での少年と、今のルイス様はまるで別人みたいに性格が違います。
勿論8年も経てば人は誰しも考え方だったり変わるでしょう?
それを同一人物だからと簡単に好きになれますか?」
そうオリヴィアはアデックに訴えかける。
「成る程な、それも確かに一理ある。
気になっていた少年が、8年後久々に会ったらプレイボーイなんて、幻滅するなって言う方が難しいしな」
そうアデックもうんうんと頷く。
「ただ、オリヴィアに一つ知っておいて欲しいのは、あいつはこの8年間オリヴィアの事を想い続けてた。
それだけは本物だから」
そうアデックはオリヴィアの目を見て言う。
「あいつ、ここ最近女の子の誘いを全部断ってるんだ。俺としてはあいつの今までの女遊びはどっかでやめさせないとなと思っていたからラッキーと思っていたけど、それも全部オリヴィアのお陰だ」
「え?」
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