【完結】悪役令嬢だけど何故か義理の兄弟達から溺愛されてます！？

拝啓 オリヴィア様へ

「オ、オリヴィアお嬢様！」

　ある日の朝、私は急に1人のメイドに呼び止められた。

「？
どうしたの？」

　私は何やら慌てているメイドに質問する。

　すると、2通の手紙が渡された。

「オリヴィアお嬢様宛で、1通はルイス様からと……」

私は手紙を受け取る。

「もう1通が、王室からとなっています」

「は！？！？」

　私は驚きのあまりに手紙を落としてしまった。

「え？王室？どういうこと？
私何か悪いことでもした！？」

　私は焦って持ってきたメイドと共に狼狽える。

　すると、側にメイド長のメアリーが駆け寄ってきた。

「どうされましたか？」

　そう優しく尋ねられる。

　それから手紙を持ってきてくれたメイドは失礼します、と持ち場の方へ戻っていった。

　私は少し青い顔をしてメアリーに手紙を渡す。

「！
これって、王室から！？」

　流石のメアリーもびっくりしたらしく、目を見開いてまじまじと手紙を見る。

　その騒ぎに、他の3兄弟も揃ってやってきた。

「あら、どうしたの？オリヴィアちゃんにメアリー」
「何かありましたか？」
「何だ、騒ぎか？」

　そうエマとノアとルーカスが口々に訊いてくる。

　私は咄嗟にルイスからの手紙を隠した。

「実は、オリヴィアお嬢様宛に王室から手紙が来たのです」

　そうメアリーが淡々と説明をする。

「へえ、王室から……
王室！？！？」

　エマがワンテンポ遅れて驚く。
　他の2人もびっくりしていた。

「王室からって、オリヴィア様、何か面識とかありましたっけ？」

　そうルーカスに尋ねられるも私は首を横に振る。

「いや、それが何も思い当たらないのよ」

「それで、そのお手紙には何が書かれているんですか？」

　ノアに聞かれて、私はまだ読んでないと答える。

「その、読むのが怖いから、メアリー、読んでくれないかしら？」

　そう私はメアリーに提案する。

　メアリーは分かりました。と静かに手紙を開いた。

　そしてゆっくりと朗読する。

　私や他のみんなも固唾を飲んでそれを聞いた。

「拝啓　オリヴィア様へ……

とまぁ堅苦しい挨拶は置いておいて」

「え、いきなり軽すぎじゃない？」

　私は咄嗟にツッコむも、それを無視してメアリーは朗読を続ける。

「いきなり王室からの手紙だなんて戦慄を覚えるかもしれないので、なるべくフランクに書かせて貰う。

ルイスから君の話を軽ーく聞いて興味が沸いたので是非2人で話してみたい。

まあぶっちゃけ嫌で嫌で仕方ないかもしれないが一応王子の頼みなので残念ながら拒否権はない。

それじゃあ明日のお昼13時にうちの屋敷で待ってる。
馬車で迎えを出すのでくれぐれも逃げない様に。

だそうです」

　読み終わったメアリーも困惑しているが、オリヴィアはそれ以上に混乱していた。

「へ？拒否権はない？明日？は？」

　一方他の3兄弟はルイスからと聞いた瞬間納得する。

「まあ、ルイス様は王子と仲が良いらしいから、本当でしょうね」

　そうエマが話す。

「それに、確か王子ってかなり変わってるとも噂があるな」

　とルーカスも話す。

「でも、オリヴィア姉様に興味を持ったってルイスも何を言ったんですかね」

　そう少し不満気にノアが言う。

「……これって、絶対行かなきゃ駄目なのよね？」

　私はそうメアリーに尋ねた。

「まあ、ここまで言われてしまったら、正直行かないといけないでしょうね～。
それに、相手は王子ですし」

　そうメアリーも困り顔で答える。

「ええ！？そんな！
というかずっと思っていたけど何その手紙！
招待状というより最早脅迫じゃない！」

　そう私が手紙を指差して言う。

　するとメアリーが手紙の更に下の方に何か書かれているのに気が付いた。

「あら？まだ続きがある様ですね？」

「え？何が書いてあるの？」

　私はそうメアリーに尋ねた。

「えっと……
PS うちで可愛い猫を飼っているので、良かったら猫とも遊んでって下さい。
アデック

……だそうです」

　オリヴィアは猫という単語に反応した。

「成る程、猫ね。

いや、まあ本当は凄く行きたくない気持ちが強いけど、まあ王子に呼ばれたなら仕方ないわね」

　そう心なしかオリヴィアが先程より少し行く事に前向きになった。

「オリヴィアちゃん、猫好きなの？」

　そうエマに尋ねられる。

「え？
あ、いや別にそこまで好きでもないけれど、嫌いでもないし、まあ普通ね、普　通」

　と、少し目を逸らしながら答える。

「成る程、オリヴィア様は猫が好きなんですね！覚えておきます！」

　そうルーカスは笑顔で言った。

「いや、だから好きとかでなくて、普通だから！」

　そうオリヴィアはあくまで否定する。

「でも、何でアデック王子はオリヴィア姉様が猫好きなのを知っていたのでしょうね？」

　そうノアが少し疑問に思う。

「いや、だから好きではないし、たまたま猫がいるって書いただけじゃないかしら？」

　そうオリヴィアは気軽に答える。

　そう4人でやいのやいのと言い合ってる中、メアリーは明日の準備を早急にしなくては、と急いで色々準備に走り回っていた。