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誕生会への招待状
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「はぁ……」
どうもこんにちは、オリヴィア・ハワードです。
私がお屋敷にきて5ヶ月ほど経ちました。
「はぁ……」
私はこのお屋敷で3兄弟に追われ、非常に疲れる生活をしていますが。
「……はぁ」
先ほどから溜め息を吐いている人物は私ではありません。
「「ルーカス兄様(さん)の様子がおかしい?」」
「おかしいって言うか、溜め息がうざったいというか」
どうもここ最近ルーカスは溜め息ばかり吐いている。
しかもそれは日を追うごとに多くなっているのだ。
なので私は実の妹と弟であるエマとノアに尋ねてみた。
「オリヴィアちゃんが、ルーカス兄様のこ事を気にかけるだなんて……」
と、エマはそう不機嫌気味にそう言った。
隣でノアも不機嫌そうにうんうんと頷く。
「いや、気にするなと言う方が難しいでしょ?
食事中も勉強中もああもずっと溜め息ばかり吐いてるのを見てたら流石に鬱陶しいわ」
するとエマもノアもカレンダーの方を見始めた。
「もうこんな季節だったわね」
「そうですね、またあの日がやってくると言う訳ですか」
「?
何よあの日って」
すると執事の1人が私たちの元へやってきた。
「エマ様にノア様にオリヴィア様、お手紙が届いております」
私達3人は執事からそれぞれ手紙を受け取る。
「来ちゃったわね」
「来ちゃいましたか」
「え? 何これ?」
オリヴィアは手に持った手紙を見ながら困惑する。
何せ今までルイス以外から手紙など貰った事がない為、一体何の手紙なのか皆目見当がつかない。
それから差出人を見て私は更にびっくりする。
「シーラ・ハンネル……?」
どうやら他の2人もシーラからの手紙の様だった。
「まあ、オリヴィアちゃんも当然招待されるわよね」
招待?
何事かと私は手紙を開いて読む。
そこには、来週シーラの誕生会を開くという内容が書かれていた。
つまり、手紙は誕生会への招待状だったのだ。
「シーラさんって、来週が誕生日だったのね」
そこで私はふと気が付いた。
「……もしかして、ルーカスが溜め息ばかり吐いてるのって」
すると目の前でエマとノアが静かに頷く。
「まあ、今は許嫁ではなくなりましたが、シーラお嬢様はルーカス兄さんをずっと狙ってますからね」
「ルーカス兄様も何をプレゼントするか、そしてシーラ様の愛をどう躱すか悩んでるんじゃないかしら」
成る程ね。
私はルーカスのここ最近の溜め息に納得する。
「んー、でもシーラさんも悪い人ではないと思うのだけれど、どうしてこうも避けられてるの?」
私がそう2人に尋ねると、2人は悩みながらも答えだした。
「悪い人ではないのは確かですけど、ルーカス兄さんはぐいぐいくる女性が特に苦手なので」
「そうよね、ルーカス兄様は追いかけられるより追いかけたい派だから」
そう聞くと、確かに相性は良くなさそうである。
「まあ、それは結局本人達の問題だし、私達が口出す事でもないけどね」
エマはあっけらかんとそう話す。
「あ、それとオリヴィア姉様。
誕生会では僕がエスコートしますので」
そうニコリとノアが宣言した。
「え? ズルい! 私もエスコートしたい!」
エマはそれを聞いて直ぐ様反論する。
「エマ姉さんは女なのにエスコートするのはおかしいでしょ?
それにシーラ様は僕とオリヴィア姉様が付き合ってると勘違いしたままでしょうし」
「ああ、そう言えばあったわね。
そんな設定」
すっかり忘れていた。
「それに、弟のルイスもいるでしょうしね……」
ノアは少し不機嫌そうな顔でそう話す。
「それは大変だわ!
なら尚更私がエスコートする!
私の方がノアより強いもん!」
エマはグッと腕に力を入れながらそう言った。
そのか細い腕のどこにあんな筋力があるのだろうか、にわかに想像がつかない。
私はエマの腕を見ながらそんな事を考えていた。
「いや、エマ姉さんなんで戦う前提で話してるんですか。
誕生会を物騒な乱闘にしちゃ駄目ですよ」
ノアは半ば呆れた様にエマを諭す。
まあ確かにエマは強いけれど、そもそもただの誕生会に行くだけなのだ。
というか、やはりこの2人からもルイスは嫌われているのだなと改めて思う。
「でも私、別にエスコートされなくても、たかが誕生会でしょ?」
「何を言ってるんですかオリヴィア姉様!」
「何を言ってるのよオリヴィアちゃん!」
何故か2人から同時に怒られた。
「あのハンネル家の誕生会ですよ!
普通の社交界と変わらない、寧ろもっと人が来ると思っていて下さい!」
「しかも、超VIPばかりが来るから、いつも以上に気を引き締めないといけないわ!」
私は2人から凄い剣幕でそう説明された。
成る程、それは確かに面倒臭そうである。
「なら仮病を使って誕生会に行かないという手はないかしら?」
「オリヴィアちゃんがあの苦い薬草をまた飲みたいのなら、それでもいいけれど」
私はエマの言葉を聞いて一瞬で顔が青ざめる。
「あ、やっぱりオリヴィア姉様も飲まされたんですね、あの苦い薬」
私の表情を見てノアが察する。
どうやら他の兄弟もあの苦い薬はみんな飲まされたことがある様だ。
「それは遠慮するわ。
となると、やっぱり行くしかないのね」
「まあ、招待されちゃった以上無下に断れないしね」
エマは溜め息混じりでそう答える。
「じゃあ仕方ないわね」
そしてオリヴィアは腹を括った。
どうもこんにちは、オリヴィア・ハワードです。
私がお屋敷にきて5ヶ月ほど経ちました。
「はぁ……」
私はこのお屋敷で3兄弟に追われ、非常に疲れる生活をしていますが。
「……はぁ」
先ほどから溜め息を吐いている人物は私ではありません。
「「ルーカス兄様(さん)の様子がおかしい?」」
「おかしいって言うか、溜め息がうざったいというか」
どうもここ最近ルーカスは溜め息ばかり吐いている。
しかもそれは日を追うごとに多くなっているのだ。
なので私は実の妹と弟であるエマとノアに尋ねてみた。
「オリヴィアちゃんが、ルーカス兄様のこ事を気にかけるだなんて……」
と、エマはそう不機嫌気味にそう言った。
隣でノアも不機嫌そうにうんうんと頷く。
「いや、気にするなと言う方が難しいでしょ?
食事中も勉強中もああもずっと溜め息ばかり吐いてるのを見てたら流石に鬱陶しいわ」
するとエマもノアもカレンダーの方を見始めた。
「もうこんな季節だったわね」
「そうですね、またあの日がやってくると言う訳ですか」
「?
何よあの日って」
すると執事の1人が私たちの元へやってきた。
「エマ様にノア様にオリヴィア様、お手紙が届いております」
私達3人は執事からそれぞれ手紙を受け取る。
「来ちゃったわね」
「来ちゃいましたか」
「え? 何これ?」
オリヴィアは手に持った手紙を見ながら困惑する。
何せ今までルイス以外から手紙など貰った事がない為、一体何の手紙なのか皆目見当がつかない。
それから差出人を見て私は更にびっくりする。
「シーラ・ハンネル……?」
どうやら他の2人もシーラからの手紙の様だった。
「まあ、オリヴィアちゃんも当然招待されるわよね」
招待?
何事かと私は手紙を開いて読む。
そこには、来週シーラの誕生会を開くという内容が書かれていた。
つまり、手紙は誕生会への招待状だったのだ。
「シーラさんって、来週が誕生日だったのね」
そこで私はふと気が付いた。
「……もしかして、ルーカスが溜め息ばかり吐いてるのって」
すると目の前でエマとノアが静かに頷く。
「まあ、今は許嫁ではなくなりましたが、シーラお嬢様はルーカス兄さんをずっと狙ってますからね」
「ルーカス兄様も何をプレゼントするか、そしてシーラ様の愛をどう躱すか悩んでるんじゃないかしら」
成る程ね。
私はルーカスのここ最近の溜め息に納得する。
「んー、でもシーラさんも悪い人ではないと思うのだけれど、どうしてこうも避けられてるの?」
私がそう2人に尋ねると、2人は悩みながらも答えだした。
「悪い人ではないのは確かですけど、ルーカス兄さんはぐいぐいくる女性が特に苦手なので」
「そうよね、ルーカス兄様は追いかけられるより追いかけたい派だから」
そう聞くと、確かに相性は良くなさそうである。
「まあ、それは結局本人達の問題だし、私達が口出す事でもないけどね」
エマはあっけらかんとそう話す。
「あ、それとオリヴィア姉様。
誕生会では僕がエスコートしますので」
そうニコリとノアが宣言した。
「え? ズルい! 私もエスコートしたい!」
エマはそれを聞いて直ぐ様反論する。
「エマ姉さんは女なのにエスコートするのはおかしいでしょ?
それにシーラ様は僕とオリヴィア姉様が付き合ってると勘違いしたままでしょうし」
「ああ、そう言えばあったわね。
そんな設定」
すっかり忘れていた。
「それに、弟のルイスもいるでしょうしね……」
ノアは少し不機嫌そうな顔でそう話す。
「それは大変だわ!
なら尚更私がエスコートする!
私の方がノアより強いもん!」
エマはグッと腕に力を入れながらそう言った。
そのか細い腕のどこにあんな筋力があるのだろうか、にわかに想像がつかない。
私はエマの腕を見ながらそんな事を考えていた。
「いや、エマ姉さんなんで戦う前提で話してるんですか。
誕生会を物騒な乱闘にしちゃ駄目ですよ」
ノアは半ば呆れた様にエマを諭す。
まあ確かにエマは強いけれど、そもそもただの誕生会に行くだけなのだ。
というか、やはりこの2人からもルイスは嫌われているのだなと改めて思う。
「でも私、別にエスコートされなくても、たかが誕生会でしょ?」
「何を言ってるんですかオリヴィア姉様!」
「何を言ってるのよオリヴィアちゃん!」
何故か2人から同時に怒られた。
「あのハンネル家の誕生会ですよ!
普通の社交界と変わらない、寧ろもっと人が来ると思っていて下さい!」
「しかも、超VIPばかりが来るから、いつも以上に気を引き締めないといけないわ!」
私は2人から凄い剣幕でそう説明された。
成る程、それは確かに面倒臭そうである。
「なら仮病を使って誕生会に行かないという手はないかしら?」
「オリヴィアちゃんがあの苦い薬草をまた飲みたいのなら、それでもいいけれど」
私はエマの言葉を聞いて一瞬で顔が青ざめる。
「あ、やっぱりオリヴィア姉様も飲まされたんですね、あの苦い薬」
私の表情を見てノアが察する。
どうやら他の兄弟もあの苦い薬はみんな飲まされたことがある様だ。
「それは遠慮するわ。
となると、やっぱり行くしかないのね」
「まあ、招待されちゃった以上無下に断れないしね」
エマは溜め息混じりでそう答える。
「じゃあ仕方ないわね」
そしてオリヴィアは腹を括った。
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