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番外編 もし夢でオリヴィアがデレたら

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 ~エマ・ハワードの場合~

 私はエマ! 最近、可愛い妹が出来て毎日が楽しくて仕方ないわ!

 オリヴィアちゃんにはいつも冷たくあしらわれるけれど、でもオリヴィアちゃんが根はいい子なのはちゃーんと分かってるから!

 なので多少の事は姉として目を瞑ってあげてるの!

 さて、今日は何をしようかなーと思っていた矢先に、オリヴィアちゃんを発見!
 早速遊びに誘おうと思ったのだけれど。

 私に気付いて、いつもはそそくさと逃げようとするオリヴィアちゃんが、今日は逆に私の元へと寄ってきてくれたわ!?

「え? どうしたのオリヴィアちゃん?」

 私は驚きと嬉しさを何とか隠して私の元へやって来たオリヴィアちゃんに尋ねる。

 しかし、何だかいつもと様子が違う。
 オリヴィアちゃんは顔を俯かせて、少し震えていたのだ。

 私はガバッとオリヴィアちゃんを抱きしめた。

「どうしたの? 怖い事でもあった?
エマお姉ちゃんに聞かせて?」

 私がそう訊くと、オリヴィアちゃんはなんと、私の腰に腕を回してギュッて抱きしめ返してくれたの!

 私は嬉しさに思わず赤面して変な笑い声が出そうになるのを必死で我慢する。

「オ、オリヴィアちゃん?」
「エマ、お姉ちゃん」

 え、今お姉ちゃんって言った?
 あのオリヴィアちゃんがエマお姉ちゃんって!!

 私は心臓が飛び出しそうになるのを必死に堪える。

「あのね、私、最近変なの……。
エマお姉ちゃんの事を考えると、何だか身体が熱くなっちゃって……。
変な感じがするの……」

 オリヴィアちゃんはハァハァと息を荒げながら更に先の言葉を続ける。

「私、エマお姉ちゃんのこと……」



「ひゃあああああっはああああ!!!!!!!」

 気がつくと、私はベッドの上で上半身を起き上がらせた状態でガッツポーズをしていた。

 それから少し遅れて、今までの一連のものが夢であったと理解すると、私の目から自然と涙が溢れた。

「……神は……無慈悲だ……」

 そしてエマは暫く立ち上がる事が出来なかったそうな。




 ~ルーカス・ハワードの場合~


 俺はルーカス。
 ハワード家の長男であり、自分で言うのも何だが顔も中々かっこいい方である。
 お陰で今まで数多の女性から告白をされたが、いまいちこうピンと来ない。

 何というか、まさしくこの人! と電撃が走る様な感じはないものかと思っていた矢先、義理の妹となるオリヴィアちゃん、いや、オリヴィア様はまさしく俺の求めていた女性像だったのだ!

 女性でありながら美しく逞しい彼女に、俺のハートは全て奪われてしまった。

 しかし、オリヴィア様にはどう愛を囁いても通用しない。
 因みに恋愛の知識はドラマや小説を参考にしている。

 どうすればと考えていると、オリヴィア様が俺の元へ颯爽と現れた。

「どうしたんだい? オリヴィア様から来てくれるなんて」

 俺は嬉しさを必死に表に出さない様に冷静に質問する。

「実は、私、ルーカスの主人になりたくて!」

 すると急にオリヴィア様は俺の前でドレスを脱ぎ始めた!

「ちょっ、どうしたんだい? まだ俺達はそんな……!」

 いいのか!?
 そこまでの仲になったのか!?

 目を反射的に背けたが、俺はまたチラリとオリヴィア様の事を薄目で見やる。
 するとそこには、黒く艶めかしい衣装を身に纏い、鞭を携えているオリヴィア様の姿があった。

「なっ! 何!?」

 俺はびっくりして腰を抜かすと、オリヴィア様はグイッと俺の胸倉を掴んだ。

「さあ、お坊ちゃん。欲しいのはアメかしら? ムチかしら?」

 その可愛らしい顔に似合わず高圧的な態度に俺は思わず顔を赤らめて叫ぶ。


「ムチで、お願いしまあああっす!!」


 その大声と共に俺は上半身をベッドから起き上がらせた。

 一瞬頭が真っ白になるも、数秒後に夢であることを理解する。

「ああああああああ!!!
ああああぁぁぁぁ!!」

 暫く俺は赤面しながらゴロゴロとベッドでのたうち回っていた。



 ~ノア・ハワードの場合~

 僕はノア。最近新しく可愛いお姉様が出来たんだ。

 オリヴィア姉様は皆から好かれているのだけれど、オリヴィア姉様自身はその好意に鈍感なのか気付いていないフリをしているだけなのか、全然仲良くなってくれようとしないんだよね。

 まあ、僕が1番最初にオリヴィア姉様の心を開ければ、嫌でも僕のことを意識してくれるだろうから頑張るけどね!

 と、ちょうど考えているとオリヴィア姉様が僕の元へとやってきた。

「あれ? オリヴィア姉様の方から来るなんて珍しいですね?」

 僕はニコニコと笑顔を絶やさずにそう尋ねる。

「えぇ、何だか他の兄弟達がうるさくて」

 オリヴィア姉様はそう言いながら僕の座っているソファのすぐ隣へと腰掛けた。

 ん? ちょっと近いのでは?

 僕がチラリとオリヴィア姉様を横目で見やると、オリヴィア姉様もこちらを見つめてきた。

「どうしたんですか? いつもみたいに逃げないんですか?」

 そう僕が訊くと、オリヴィア姉様は急に僕を抱き締めてきた。

 流石にこれには驚かざるを得ない。
 僕は赤面して、どうしたんですか? と尋ねる。

「何だかノアって可愛くて、つい」

 とオリヴィア姉様は少し意地悪っぽい顔をする。

 僕の心臓がドキンっと跳ねた。

 そんな顔をされると、僕が僕でいられなくなる。

「ねぇ、は男だよ?」

 そう言って僕はオリヴィア姉様をドンっとソファに押し倒す。

 そしてそのまま唇を近づけて……。


 そこでパチリと目が覚めた。

 僕は暫くベッドの中でボーッとする。

 今のは夢だったのか。

 もうちょっとだったのに!

 悔しくて、続きが見たいから僕はもう一度眠ることにした。

「ノア様! もう朝なので起きて下さい!」

 メイドがそう言って無理矢理ノアを起こそうとするも、ノアは意地でも布団から出ないのであった。



 更に番外編

 ~もし3人の見た夢をそのままオリヴィアが見たら~


 うーん、と項垂れた後、オリヴィアはガバッと上半身を起き上がらせた。

「昨日の過去の夢だけでも嫌なのに、2日連続で悪夢を見るなんて……」

 お祓いしてもらおうかと本気で悩むオリヴィアであった。
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