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姉様に戦線布告です!
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私は朝からはぁと溜め息を漏らす。
何だか最近エマやルーカスの様子が大分おかしくなっている、様な気がする。
ルーカスは前回のあれ以来私を様付けで呼ぶ様になったし、エマは私を見るたびに何故か顔を赤らめている。
何がどうしてそうなったのか、私にはちょっとよく分からない。
それはそうと、今日は気温が高いので私は一人テラスへと涼みにやってきていた。
「はあ、風が気持ちいいわね」
と独り言を呟く。
「そうですね」
すると突然背後から声が聞こえてきて、私はバッと後ろを振り返った。
そこには、ニコニコと笑顔のノアが立っていた。
「あんた、また性懲りも無く、何の用かしら?」
私はふん、と悪態吐いてみせる。
「おやおや、大分警戒されてますねぇ」
しかしノアはそれを何とも思わないかの様に暢気に話しかけてくる。
はっきり言って、このノアという少年が1番掴み所がなくて何を考えているかよく分からない。
「オリヴィア姉様、最近エマ姉さんやルーカス兄さんと何かありましたか?」
にこやかにそうノアが尋ねてきた。
ああ、そうか。
この3人は本物の兄弟なのだから、勿論自分の兄や姉がおかしくなったら心配くらいするだろう。
つまり、最近急にあの2人の様子がおかしくなったから、私に訊きにきたという訳か。
「何かあったかと言えば、エマは私を部屋に連行してドレスを着替えさせようとしてきたり、ルーカスは何故か私を主人にしたいと言ってきたり、気付いたらおかしくなっていたわ」
私がそう言うと、ノアはそうだったんですね。と笑ってみせた。
その笑顔が何故だか一瞬怖かったのは多分私の気のせいだろう。
「それで?
あんたは自分の兄さん姉さんが私のせいでおかしくなったって怒りにでも来た訳?」
私は腕を組んでノアを睨みつける。
ノアはニコニコと笑いながら答えた。
「いやあ、確かにあの2人がおかしくなったのはオリヴィア姉様のせいでしょうけれど、僕は別に怒りに来たわけではないですよ?」
「じゃあ何しに来たのよ?」
するとノアはスッと顔を近づける。
「オリヴィア姉様、僕達兄弟にこそなりましたが、血の繋がりはないんですよ?」
にこやかにそう喋るノアは、しかし目は全く笑っていなかった。
「要するに、兄弟の中に入って来るなってこと?
上等よ。最初からあんた達と兄弟ごっこなんてするつもりはないし」
私がそう言うとノアはいきなり私に抱きついてきた。
「ちょっ、何よ急に!?」
私が慌てて引き剥がそうとするも、ノアはべーっと舌を出す。
「兄弟じゃないなら、恋人にもなれますよね?」
普段かっこいいと言うよりも可愛らしい顔立ちのノアが先程までの笑顔とうってかわっていきなり真剣な顔をしてそう言ってきた。
思わずそんな顔も出来るんだ、と感心してしまう。
「というか、何を言ってるのよ!
私は誰かと仲良くするなんて御免だと言ってるでしょ!?」
私がそう言うと、ノアはパッと私の腰から手を離し、数歩ほど後ろへ下がる。
そしてまたもや屈託ない可愛らしい笑顔を見せた。
「じゃあ僕と仲良くなりたいと思わせますね。
これは宣戦布告ですので~」
ノアはそう言い残し、バイバーイと手を振って去っていった。
私は訳が分からず放心状態になる。
「戦線布告ってことは、何かで戦うってことかしら?」
分からない事は、あまり深く考えないでおこう。
私は特に気にもせずおやつでも食べに行くことにした。
一方ノアはというと。
「ねえ、兄さん姉さん抜け駆けしてたみたいですね?」
「「ノ、ノア?」」
「言っとくけど僕も負けませんからね?」
しっかりと自分の兄弟にも戦線布告をしていた。
何だか最近エマやルーカスの様子が大分おかしくなっている、様な気がする。
ルーカスは前回のあれ以来私を様付けで呼ぶ様になったし、エマは私を見るたびに何故か顔を赤らめている。
何がどうしてそうなったのか、私にはちょっとよく分からない。
それはそうと、今日は気温が高いので私は一人テラスへと涼みにやってきていた。
「はあ、風が気持ちいいわね」
と独り言を呟く。
「そうですね」
すると突然背後から声が聞こえてきて、私はバッと後ろを振り返った。
そこには、ニコニコと笑顔のノアが立っていた。
「あんた、また性懲りも無く、何の用かしら?」
私はふん、と悪態吐いてみせる。
「おやおや、大分警戒されてますねぇ」
しかしノアはそれを何とも思わないかの様に暢気に話しかけてくる。
はっきり言って、このノアという少年が1番掴み所がなくて何を考えているかよく分からない。
「オリヴィア姉様、最近エマ姉さんやルーカス兄さんと何かありましたか?」
にこやかにそうノアが尋ねてきた。
ああ、そうか。
この3人は本物の兄弟なのだから、勿論自分の兄や姉がおかしくなったら心配くらいするだろう。
つまり、最近急にあの2人の様子がおかしくなったから、私に訊きにきたという訳か。
「何かあったかと言えば、エマは私を部屋に連行してドレスを着替えさせようとしてきたり、ルーカスは何故か私を主人にしたいと言ってきたり、気付いたらおかしくなっていたわ」
私がそう言うと、ノアはそうだったんですね。と笑ってみせた。
その笑顔が何故だか一瞬怖かったのは多分私の気のせいだろう。
「それで?
あんたは自分の兄さん姉さんが私のせいでおかしくなったって怒りにでも来た訳?」
私は腕を組んでノアを睨みつける。
ノアはニコニコと笑いながら答えた。
「いやあ、確かにあの2人がおかしくなったのはオリヴィア姉様のせいでしょうけれど、僕は別に怒りに来たわけではないですよ?」
「じゃあ何しに来たのよ?」
するとノアはスッと顔を近づける。
「オリヴィア姉様、僕達兄弟にこそなりましたが、血の繋がりはないんですよ?」
にこやかにそう喋るノアは、しかし目は全く笑っていなかった。
「要するに、兄弟の中に入って来るなってこと?
上等よ。最初からあんた達と兄弟ごっこなんてするつもりはないし」
私がそう言うとノアはいきなり私に抱きついてきた。
「ちょっ、何よ急に!?」
私が慌てて引き剥がそうとするも、ノアはべーっと舌を出す。
「兄弟じゃないなら、恋人にもなれますよね?」
普段かっこいいと言うよりも可愛らしい顔立ちのノアが先程までの笑顔とうってかわっていきなり真剣な顔をしてそう言ってきた。
思わずそんな顔も出来るんだ、と感心してしまう。
「というか、何を言ってるのよ!
私は誰かと仲良くするなんて御免だと言ってるでしょ!?」
私がそう言うと、ノアはパッと私の腰から手を離し、数歩ほど後ろへ下がる。
そしてまたもや屈託ない可愛らしい笑顔を見せた。
「じゃあ僕と仲良くなりたいと思わせますね。
これは宣戦布告ですので~」
ノアはそう言い残し、バイバーイと手を振って去っていった。
私は訳が分からず放心状態になる。
「戦線布告ってことは、何かで戦うってことかしら?」
分からない事は、あまり深く考えないでおこう。
私は特に気にもせずおやつでも食べに行くことにした。
一方ノアはというと。
「ねえ、兄さん姉さん抜け駆けしてたみたいですね?」
「「ノ、ノア?」」
「言っとくけど僕も負けませんからね?」
しっかりと自分の兄弟にも戦線布告をしていた。
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