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第23話
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それからの話は早かった。
みんなそれぞれのつてで話を進めて来てくれたお陰で、色々とスムーズに街の復興は進んでいった。
「なあ、あれが本当にレイラお嬢様なのか?」
「何でも今度は孤児院を作り出すとかって噂だぞ」
「あんな我が儘お嬢様が、街の為に動いてるって何があったんだ?」
「……」
「よく分からんが、俺達も暇だし手伝うか?」
「そうだな」
そうして、レイラお嬢様の信頼は徐々に回復していった。
「法律を決めましょう」
「は?」
レイラは急にそう言い出した。
聞いていたアンドリューは意味が分からず聞き返す。
「こうやって街を復興して分かったけど、結局は貴族が牛耳ってるってことはよく分かったわ。
根本的な解決としては、強すぎる貴族達の権力をどうにかしないと」
「いや、まあそれはそうだけど、それって大方の貴族は反対するんじゃね?」
今のままでは、例えば銀行なら、その銀行のトップである貴族が売り上げをほぼ総取りしている、みたいな状態である。
しかも、その割合というのは明確に決まっておらず、貴族達の匙加減だ。
自分が得したいと思えば、ほぼ全ての売り上げを奪うことも出来る。
勿論民衆もそれではやっていけないと暴動を起こしかねないので、流石に全ての売り上げを奪う馬鹿な貴族はいないが。
かと言って、やはり貴族の取り分が大きいのは事実だ。
しかし、そんな事を言い出せば、当然大半の貴族は反対するだろう。
「そこよね……一件一件回って頼み込むしかないか」
当然法律を作る時も貴族達の過半数の同意が必要になる。
私の味方をしてくれるのはどれくらいいるだろうか?
そもそも私はそんなに顔が広くない。
「まずはまたウィリアム男爵に頼むしかないかしらね」
「ああ、こないだの優男か」
「じゃあそうと決まったら行きましょうか」
私は早速歩き出した。
「あんたの行動力本当すげーな……」
アンドリューは小声でそう呟いた。
「はい」
私はそうアンドリューに手を差し出した。
「……もう繋ぐ必要ないだろ」
「えー、いいじゃない。私が繋ぎたいのよ」
「はあ、しょうがねーな」
そう言ってアンドリューは私の手を握って歩き出した。
こうしてまた私達はアンダーソン宅へとやって来た。
門番の方は私達を見てすんなりと通してくれた。
信頼されてるということで良いのだろうか?
私達二人が客室で待っていると、奥からウィリアムがやって来た。
「レイラお嬢様、また来てくれてありがとうございます」
「いえ、こちらこそまた連絡無しに勝手に押しかけてしまって御免なさい」
「それで、お話とは?」
そう聞かれ、私は小さく深呼吸した。
「実は、新しく法律を作りたいと考えています」
みんなそれぞれのつてで話を進めて来てくれたお陰で、色々とスムーズに街の復興は進んでいった。
「なあ、あれが本当にレイラお嬢様なのか?」
「何でも今度は孤児院を作り出すとかって噂だぞ」
「あんな我が儘お嬢様が、街の為に動いてるって何があったんだ?」
「……」
「よく分からんが、俺達も暇だし手伝うか?」
「そうだな」
そうして、レイラお嬢様の信頼は徐々に回復していった。
「法律を決めましょう」
「は?」
レイラは急にそう言い出した。
聞いていたアンドリューは意味が分からず聞き返す。
「こうやって街を復興して分かったけど、結局は貴族が牛耳ってるってことはよく分かったわ。
根本的な解決としては、強すぎる貴族達の権力をどうにかしないと」
「いや、まあそれはそうだけど、それって大方の貴族は反対するんじゃね?」
今のままでは、例えば銀行なら、その銀行のトップである貴族が売り上げをほぼ総取りしている、みたいな状態である。
しかも、その割合というのは明確に決まっておらず、貴族達の匙加減だ。
自分が得したいと思えば、ほぼ全ての売り上げを奪うことも出来る。
勿論民衆もそれではやっていけないと暴動を起こしかねないので、流石に全ての売り上げを奪う馬鹿な貴族はいないが。
かと言って、やはり貴族の取り分が大きいのは事実だ。
しかし、そんな事を言い出せば、当然大半の貴族は反対するだろう。
「そこよね……一件一件回って頼み込むしかないか」
当然法律を作る時も貴族達の過半数の同意が必要になる。
私の味方をしてくれるのはどれくらいいるだろうか?
そもそも私はそんなに顔が広くない。
「まずはまたウィリアム男爵に頼むしかないかしらね」
「ああ、こないだの優男か」
「じゃあそうと決まったら行きましょうか」
私は早速歩き出した。
「あんたの行動力本当すげーな……」
アンドリューは小声でそう呟いた。
「はい」
私はそうアンドリューに手を差し出した。
「……もう繋ぐ必要ないだろ」
「えー、いいじゃない。私が繋ぎたいのよ」
「はあ、しょうがねーな」
そう言ってアンドリューは私の手を握って歩き出した。
こうしてまた私達はアンダーソン宅へとやって来た。
門番の方は私達を見てすんなりと通してくれた。
信頼されてるということで良いのだろうか?
私達二人が客室で待っていると、奥からウィリアムがやって来た。
「レイラお嬢様、また来てくれてありがとうございます」
「いえ、こちらこそまた連絡無しに勝手に押しかけてしまって御免なさい」
「それで、お話とは?」
そう聞かれ、私は小さく深呼吸した。
「実は、新しく法律を作りたいと考えています」
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