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第10話
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「じゃあ、ここで質問だ。
犯人は一体どんな手口を使って、家に侵入したのでしょーか?」
かなたはニヤニヤしながら訪ねてくる。
「どんなって、何かしら細工して鍵をあけたんじゃねーの?なんかタコ糸みたいなやつ使ってとか?」
俺は少し考えながら答える。
「タコ糸たって、外からどうやって家の中の鍵に結ぶんだよ?」
「そこなんだよなー。」
俺も確かに疑問が残る。
ドアの鍵などにタコ糸みたいなものをあらかじめ結んでおけば、後はそれを閉める際にこううまく引っ張って鍵を閉めて、隙間から糸を回収する、みたいなトリックはありそうだが、実際どうやるの?と聞かれると答えられない。
「考えても分かんねー。
もう勿体ぶらずに教えろよ。」
「簡単な話だよ。
犯人はドアから入って、ドアから出てったんだ。」
「まあ、鍵屋が犯人だって言うならピッキングとか造作もないだろうけど。」
俺が怪訝そうに言うと、かなたはまた鋭く付け加えてきた。
「だから、犯人は鍵屋ではない。
ただ、ピッキングは正解。」
「はぁ。」
まあ、普通と言えば普通だよな。
「ところで、犯人を見たって、どういうことだよ?」
「そのまんまだよ。
俺は今日犯人の犯行を見てきた。」
そう自慢気にかなたは言うが、俺には理解が出来ない。
「まあ、俺は空に浮けるからな?
高く飛べば、ある程度怪しい人なんて見つけやすいぜ。」
ドヤ顔でかなたはそう話してくる。
「ふーん。で、それは今日の何時の話だよ?」
「昼過ぎくらいかな?」
「それなら、普通今日の午後にはニュースになってるはずだろ。今18時現在で空き巣が出たとはニュースになってないぞ。それどころか、容疑者が見つかってるわけだし。」
ニュースになるまでタイムラグはあるかもしれないが、今この辺を賑わせている話題なら、すぐ様記者がこぞってやって来るはず。
それが夕方のニュースにもなっていないなら、今日は空き巣は入っていないのでは?
しかし、かなたはいいやと首を横に振る。
「ニュースにはならないだろうな。
なんせ、今日は家を出入りしただけで、何も盗ってはいないんだからさ。」
「はあ?何だよそれ?」
出入りしただけで、何も盗っていない?
「まあ、話が少し逸れたな。
まず、犯人の手口を教えるぞ。」
そう言って、俺の疑問を他所にかなたは続けた。
「まず犯人はピッキングして扉を開けた。
被害に遭った家は、どれも古いタイプの鍵で、ピッキングやサムターンされやすい奴だ。
因みに、お前の家の鍵は新しいタイプだから、大丈夫。」
俺はそこでえぇ~。と声をあげて残念がる。
俺の聞いた話に鍵が古いなんて情報はなかった。
三流小説でもそのくらいのヒントは出しておいてくれるぞ。
「後は、問題は閉め方だけど、これはお前の言っていた様にタコ糸を使えば簡単に閉められる。
まずセロハンテープでタコ糸を鍵を回すつまみにくっつけて、その糸を持ったまま外に出て、軽く斜め下辺りを引けば、ドアに簡単に鍵がかけられるっていう話だ。うまくいけば、セロハンテープも残さず剥がせる。」
「あのさ、色々突っ込みたいんだけど。
そんな幼稚なトリック、すぐ分かるんじゃないの?」
俺がそう聞くと、かなたはすぐ様ああ、と肯定した。
「そりゃあ、警察もそこまでは分かってるからな。
てか、今のも途中まで警察の調査盗み聞きしたやつだし。」
「あ!だからお前鍵が古いタイプとか、妙にそんな知識あったんだな?」
俺はちょっと怒りぎみに尋ねる。
全くもってフェアじゃない。
「まあね、で、これを踏まえて再度聞くけど、犯人の目的は一体なんでしょうか?」
ニヤニヤとまたしてもかなたは俺に問いかけてきた。
犯人は一体どんな手口を使って、家に侵入したのでしょーか?」
かなたはニヤニヤしながら訪ねてくる。
「どんなって、何かしら細工して鍵をあけたんじゃねーの?なんかタコ糸みたいなやつ使ってとか?」
俺は少し考えながら答える。
「タコ糸たって、外からどうやって家の中の鍵に結ぶんだよ?」
「そこなんだよなー。」
俺も確かに疑問が残る。
ドアの鍵などにタコ糸みたいなものをあらかじめ結んでおけば、後はそれを閉める際にこううまく引っ張って鍵を閉めて、隙間から糸を回収する、みたいなトリックはありそうだが、実際どうやるの?と聞かれると答えられない。
「考えても分かんねー。
もう勿体ぶらずに教えろよ。」
「簡単な話だよ。
犯人はドアから入って、ドアから出てったんだ。」
「まあ、鍵屋が犯人だって言うならピッキングとか造作もないだろうけど。」
俺が怪訝そうに言うと、かなたはまた鋭く付け加えてきた。
「だから、犯人は鍵屋ではない。
ただ、ピッキングは正解。」
「はぁ。」
まあ、普通と言えば普通だよな。
「ところで、犯人を見たって、どういうことだよ?」
「そのまんまだよ。
俺は今日犯人の犯行を見てきた。」
そう自慢気にかなたは言うが、俺には理解が出来ない。
「まあ、俺は空に浮けるからな?
高く飛べば、ある程度怪しい人なんて見つけやすいぜ。」
ドヤ顔でかなたはそう話してくる。
「ふーん。で、それは今日の何時の話だよ?」
「昼過ぎくらいかな?」
「それなら、普通今日の午後にはニュースになってるはずだろ。今18時現在で空き巣が出たとはニュースになってないぞ。それどころか、容疑者が見つかってるわけだし。」
ニュースになるまでタイムラグはあるかもしれないが、今この辺を賑わせている話題なら、すぐ様記者がこぞってやって来るはず。
それが夕方のニュースにもなっていないなら、今日は空き巣は入っていないのでは?
しかし、かなたはいいやと首を横に振る。
「ニュースにはならないだろうな。
なんせ、今日は家を出入りしただけで、何も盗ってはいないんだからさ。」
「はあ?何だよそれ?」
出入りしただけで、何も盗っていない?
「まあ、話が少し逸れたな。
まず、犯人の手口を教えるぞ。」
そう言って、俺の疑問を他所にかなたは続けた。
「まず犯人はピッキングして扉を開けた。
被害に遭った家は、どれも古いタイプの鍵で、ピッキングやサムターンされやすい奴だ。
因みに、お前の家の鍵は新しいタイプだから、大丈夫。」
俺はそこでえぇ~。と声をあげて残念がる。
俺の聞いた話に鍵が古いなんて情報はなかった。
三流小説でもそのくらいのヒントは出しておいてくれるぞ。
「後は、問題は閉め方だけど、これはお前の言っていた様にタコ糸を使えば簡単に閉められる。
まずセロハンテープでタコ糸を鍵を回すつまみにくっつけて、その糸を持ったまま外に出て、軽く斜め下辺りを引けば、ドアに簡単に鍵がかけられるっていう話だ。うまくいけば、セロハンテープも残さず剥がせる。」
「あのさ、色々突っ込みたいんだけど。
そんな幼稚なトリック、すぐ分かるんじゃないの?」
俺がそう聞くと、かなたはすぐ様ああ、と肯定した。
「そりゃあ、警察もそこまでは分かってるからな。
てか、今のも途中まで警察の調査盗み聞きしたやつだし。」
「あ!だからお前鍵が古いタイプとか、妙にそんな知識あったんだな?」
俺はちょっと怒りぎみに尋ねる。
全くもってフェアじゃない。
「まあね、で、これを踏まえて再度聞くけど、犯人の目的は一体なんでしょうか?」
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