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第5話
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「なぁ、もう振り向いてもいいか?」
「ああ、いいぞ」
俺は母の持ってきた寝巻きに着替えていた。
「ったく、俺は男だからお前の裸なんて見てもなんとも思わないってーのによ。」
ぶつぶつ文句を垂れ流しながら男の娘は俺のところに振り向く。
俺はただでさえ男同士て裸の付き合いとか苦手なタイプなのに、180度どこからどう見ても女子に見える男子の目の前で着替えるのにはとても抵抗がある。
「ところでさ、早く読ませろよ、カノン」
「…は?」
男の娘は唐突にカノンを読みたがった。
いや、というか最初から読ませろと言っていたっけ?
「読ませろってせめて俺が先に読んでからにしろよ。」
俺が買ってきたカノンなんだ、もちろん俺が1番に読む権利があるはずだ。(母親から渡された金だけど。)
ところがこの男の娘は何言ってるんだ?と言うような顔をしている。
「俺、幽霊だから自分では漫画を持つことも開くことも出来ないんだけど。」
ふてぶてしく男の娘は俺に訴えかける、
「だから、お前が俺に読ませてくれって言ってんの!」
「え?」
それってつまり?
俺は勉強机の上にカノンをいつも以上に広げる。
そして俺が読んでいるすぐ横で男の娘も食い入る様にページを見つめていた。
読ませろって、そういうことか。
この光景って、教科書忘れた時に隣のやつと一緒に見るっていう、アレだよな。
1つの教科書を2人で見るやつ。
しかもあれっていつも以上に距離が近いから、相手が女子だった場合、なんか無意識にドキドキしたよな。
そんなことを頭の片隅に思い浮かべ、チラリと横から漫画を覗く男の娘を見遣る。
何というか、近いせいで長めのまつげとぱっちり二重、きめ細やかな肌に小さな唇と、何処をどうとっても美少女な横顔に、一気に俺は赤面してしまった。
やばい、今顔赤いのバレるのは嫌だ!
漫画に集中しよう!
俺はとっさに下を向いて漫画を見つめる
一方、見惚れられていた男の娘の方は、漫画に夢中で見られていたことも、それに対して赤面されていたことも何も気づかないのであった。
「ああ、いいぞ」
俺は母の持ってきた寝巻きに着替えていた。
「ったく、俺は男だからお前の裸なんて見てもなんとも思わないってーのによ。」
ぶつぶつ文句を垂れ流しながら男の娘は俺のところに振り向く。
俺はただでさえ男同士て裸の付き合いとか苦手なタイプなのに、180度どこからどう見ても女子に見える男子の目の前で着替えるのにはとても抵抗がある。
「ところでさ、早く読ませろよ、カノン」
「…は?」
男の娘は唐突にカノンを読みたがった。
いや、というか最初から読ませろと言っていたっけ?
「読ませろってせめて俺が先に読んでからにしろよ。」
俺が買ってきたカノンなんだ、もちろん俺が1番に読む権利があるはずだ。(母親から渡された金だけど。)
ところがこの男の娘は何言ってるんだ?と言うような顔をしている。
「俺、幽霊だから自分では漫画を持つことも開くことも出来ないんだけど。」
ふてぶてしく男の娘は俺に訴えかける、
「だから、お前が俺に読ませてくれって言ってんの!」
「え?」
それってつまり?
俺は勉強机の上にカノンをいつも以上に広げる。
そして俺が読んでいるすぐ横で男の娘も食い入る様にページを見つめていた。
読ませろって、そういうことか。
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しかもあれっていつも以上に距離が近いから、相手が女子だった場合、なんか無意識にドキドキしたよな。
そんなことを頭の片隅に思い浮かべ、チラリと横から漫画を覗く男の娘を見遣る。
何というか、近いせいで長めのまつげとぱっちり二重、きめ細やかな肌に小さな唇と、何処をどうとっても美少女な横顔に、一気に俺は赤面してしまった。
やばい、今顔赤いのバレるのは嫌だ!
漫画に集中しよう!
俺はとっさに下を向いて漫画を見つめる
一方、見惚れられていた男の娘の方は、漫画に夢中で見られていたことも、それに対して赤面されていたことも何も気づかないのであった。
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