魔法学院の最底辺

かる

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テロ2

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「やっぱりあの女嘘ついていやがったな……。」

あの日テロの主犯格である女は、俺に今回の魔法祭ではテロを起こさないと伝えてきた。しかし、現状を見ても明らかにあの女の仕業としか言えない。
俺達は敵に気づかれないよう、壁に身を隠しつつ様子を見て、攻め時をうかがっていた。

「どうする?このままだとさらに多くの敵が乗り込んできたとき不利に立たされるのは私たちだよ?」

「あぁ、わかってる。」

ただでさえ10人近くいるのを一度に相手にするのは大変だ。更に応援などを呼ばれたら戦うには狭すぎる、生徒の人数が多い、そして別の階段から上に登られる可能性などもあるといった最悪の事態に陥る可能性がある。
俺は急いで携帯を取り出し、委員長に対し電話を一度かけた後すぐに切った。これで大方察知してくれるであろう。
魔法用チョッキを着ているとはいえ、必ずしも魔法によるダメージが通らないとは限らない。しかし、今の状況において一発でも耐えられたらそれこそ命取りとなるであろう。それにあのチョッキについてはまだ不明な点が多い研究段階の代物だ。なぜ今回のテロリストたちがあんなものを持っているのだろうか……?

「なら……接近をして物理的攻撃を叩き込むほかないか……。姉さんと桃はここから援護を頼んだ。俺が接近戦でとどめを刺してくるから。」

「「了解!」」

俺はフォールンエンジェルで、剣だけを取り出すと構えた。この間はいつもの時間よりも圧倒的に長く感じられたことであろう。そして呼吸を整えたのち、目の前に飛び出した。
勝負は一瞬で決着をつけなければならない。敵がこちらに振り向く前に接近をして、銃を構えている敵二人の手首を切り落とした。その男達が叫び声をあげたため、周りのやつらもこちらの存在に気づいてしまった。
俺は男二人のの襟をつかむと、前に思いっきり投げつけ次のやつの視界を奪い、盾にした奴もろともたたき切った。

「あと6……!」

俺が次のやつへ攻撃しようとしたとき、すでに敵は俺のほうへ照準を合わせていた。

「ファントム!」

姉さんの掛け声とともに亡霊が敵の後ろに現れてトリガーにかかっていた指を握り、食い止めた。

「ありがとう姉さん!」

ファントムならば実体がないため武器でそのまま切っても問題ない。俺はさらに二人の腹部を切りつけた。

「フラッシュ!」

今度は桃が閃光を俺が背中を向けているほうから発光させた。そのおかげで俺は閃光の影響を受けることなく突っ込めた。敵は直に閃光を見てしまったためだいぶ長く視界を奪われた。その影響もあって一気に仕留めることが出来た。
俺は残りの一人になったときそいつは切りつけず、首元に剣を当て、質問をした。

「お前、誰の命令でこれを行った?」

「お前こそ何者だ。重火器相手に突っ込んでくる精神力とその体術、並大抵のものではないな。」

「はぁ……仕方ない、俺も答えてやるからお前も答えろよ?」

「わかった、これは約束だ。」

「あぁ、っとその前に……。姉さんと桃、少しこれ壊しといてくれないか?他のやつらの物も。」

「わかったー。」

俺は男についていた通信機を取り上げると踏みつけて壊した。

「あぁ!それは……。」

「どうせ俺が名乗ったらこの通信機で自動で他のやつに伝わるようになっているんだろ?」

「俺はもうお前らに教えることは何一つとしてない。」

「通信機壊した途端にこれかよ。約束を守らないってことはわかってるよな?」

「言ったら言ったで俺は殺されるだろう。だったら俺は祖国のためにこの場で死を選ぶ。」

「へぇ……随分と忠誠を誓ってるんだな。」

西洋人のような顔つきをしたような男は目をつぶり死を覚悟していた。
しかしこの場で殺しておく利点がない、あと委員長や警察あたりに突き出して尋問でもしてもらうか。

「じゃあ質問を変えよう、お前たちはどうしてこのチョッキを持っている?」

「お前らに教えることはないと言っただろ。」

「はぁ、どうせ拷問したところでたかが知れてるし、俺拷問苦手だからいいや。」

俺はポケットから取り出し委員長に電話をかける。姉さんと桃は周りの警戒をしてくれていた。

「もしもし委員長ですか?少し今回の襲撃事件で相談が……。」

そういうと委員長はすぐさま電話を切ってしまった。

「なるほど。了解!」

俺は捕まえていた男に催眠呪文をかけて寝かしておいたのち、一度上に上がり会場のほうへと向かった。
委員長が周りの誘導をしたのち俺たちのほうへとやってきた。

「今の戦局は?」

「この会場自体がすでに包囲されてるため周りを一度鎮静化し、集めたのちにお前たちのほうへと向かおうとしていた。明らかに俺たちを襲うにしては人数が少ない、外にはあと20人ほどしかいない。」

「そうですね……今回は俺たちの実力の様子見ですかね?」

「ってところだろうな。それにしても言いたいことがよく伝わったな。」

「ふつう唐突に切らないでしょ?どこからか漏れてるってことしか考えられませんよ。」

「フッ。」

鼻で笑った委員長だがその顔は少し笑みがこぼれていた。

「委員長はこれからどうするんですか?」

「とりあえず外のやつらをまとめて潰しておきたいがな……どうにもここは動けない。」

「そうですね……とは言っても俺今から20人も相手にするとなるとかなり苦しいところなんですがね。」

「そうやってすぐ自分の能力をはぐらかすのも大概にしておけ。そうだな……だれか連れていけばいいんじゃないか?」

「大体俺なんかに協力してくれる奴なんていませんよ。それにおれにせなかをあずけられるかときいたらほとんどのやつがNOと答えると思いますよ?」

「どうかな……一人……心当たりあるんではないか?」

「一人?んー…………え!?マジで『奴』ですか!?」

「当然だ。お前のことを知ってる唯一のやつといってもいいだろう。」

「はぁ、わかりました。確かに今回の遠距離戦闘においてはうってつけですけど……。それで?『奴』はどこにいるんですか?」

「Bの3列目の座席だ。」

俺は正直一抹の不安を覚えながらもその『奴』のいる観覧席へと向かった。
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