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1章
タコ
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「ようこそ、宇宙貿易開発ビルセンター地球支部に
お越しくださいました!!」
俺のめのまえには‥なんだこいつ?タコか?いや、でも足が20本はある。
やけに関節が曖昧で全身が赤い。そして自慢げに首にかかっている
「観光者」と書かれたプレートをその20本ある足の1本で
つかむと、俺の方を改めて向く。
「初めまして、私はここの観光者案内人、タバと申します。
一応私は日本語はマスターしていますが、ここでは主に英語が
使われるんですよ!」
「へえ~、であんた誰?」
「‥今言った‥案内人のタバですが‥」
「‥いや、そう言うことじゃなくて‥地球人じゃないことは分かった。
あんたはどこから来たんだ?そこの月か?」
「お!一発であてられました!カンがいいですね!!」
まさか、当たるとは思っていなかった。いや、どっちかと言えば、
そのタコの姿に驚いたのではなく、こんなに近い月にこんな変体
が生存しているとは知らずに、普通に毎日を送っている人間に対し
て驚いた。人間はもっと近いものに対して目を真剣に向けるべきだと思う。
いや、人間にとっては月も遠い存在なのか。
そう思うと人間がさらにむなしく思えてくる。
「‥で、ここはなんなんだ?なんで人間からは見えないようにしてあるのか?」
「まあ、それもいろんな理由がありますが‥1つ明確な理由とすれば‥
以前人間が宇宙人の技術を無理やり盗もうとしたことです」
「‥以前?」
「ええ、つい最近のことでした。クフ王の弟子とか言う人たちがいきなり
ここに乗りこんできて‥いろいろと盗みをしました。だから
私たちはもうこれは反抗せざるを得ない状況と判断し、
たくさんの人間を殺しました。何千人死んだかは覚えていませんが、
私の人生であんなにたくさんの血を見るのはもうないだろう、
というぐらいでした。そして私たちはもう血を見たくない、
弱いものを一方的に殺すのは間違っているのではないか、
と議論を重ね、ついに人間にはこの島を見えないような
強力な魔法をかけることを決意しました。主な理由としては、
そんな感じです」
「・・・・・」
「だから俺とカラには見えたのか‥。いや、もうひとつ質問。
ここを写真で取ることはできないのか?」
「もちろんそれにも魔法が適応されていますよ!ここの島のことを
人間に知られてしまいますから」
だからあのとき写真に写っていなかったのか。人間に知られたくない‥
つまり俺がいくらここの写真を撮ろうとしても‥撮ることは無理な話。
もうこれ以上質問してもどうせ無理、と答えられるだろう。
「で、ところであなたも地球人じゃないことは分かりました。
どこから来たのですか?」
「え‥カンダル」
「!!!!!!なんでそんな方がここにいられるのですか?
って言うかカンダルってここから銀河12億4007万5611個を飛び越えた
はるか彼方にあるんですよ!」
驚く顔にもほどがある。
「‥そんなに遠くなの?てか、記憶力すげえな」
「ありがとうございます。いやいやそんなことよりそんな方が一体
何の用でこんな田舎銀河に来られたのですか?」
「え?知らね。カンダルを出発したのはもう7年も前で特に何も
覚えてない。俺が6歳で城の庭で遊んでいたとき‥俺の父が急に地球に行くぞ!
って言い出して‥ここに来た。だから今も地球に来た意味が分からないまま
毎日をてきとうに過ごしているって感じ」
「‥今‥城って言いました?」
「ああ、良く覚えてないけど‥城らしきでかい建物だった」
そのことだけは鮮明に覚えている。でも‥父がどういう位を持ち、
なんの仕事をしているのかは全く知らなかった。
「もしかして‥カンダルの皇子とかじゃ‥ありませんよね?もし
あなたがそうであれば私はこんなことを話している場合じゃ
ありません。緊急に天の川銀河系連合のトップに連絡を
取らなければいけません」
「いま‥なんて?あまのがわぎんがれんごーのトップ?」
「いや、さらに上、第78宇宙銀河統合連合総督などに連絡を入れなくては
ならなくなると思います。」
「いや、ちょっと待って。俺がそんな人の訳ないじゃん。
いや、もう人かどうか分からないけど。とりあえず、落ち着いて
ここの観光の案内でもしてよ」
タバは大きく1回深呼吸をすると、今度は落ち着いた表情で
話しだす。
「まあ、とりあえず今は私の仕事をします。取り乱して
すみませんでした」
「いや、大丈夫です」
「ではでは‥その話は後ですることにして、まずこのビルについて
紹介していきます」
いや、後からも話さなくて結構です。
「ではまずこのビルの下をご覧ください。たくさんの浮いている乗り物が
見えると思います」
言われたとおりに頭をビルの端のフェンスの方に乗り出してみると、
今まで気づかなかったが確かにたくさんの乗り物が浮いて走っている。
「あれはここでレギュラーに使われる乗り物、フローター。たまに地面を
走る乗り物も見かけますが、それは趣味で乗っていると思って
頂いて大丈夫です」
いわゆる、人間で言うところのクラシックカー、という感じか。
「そしてこのビル、観光客がまず1番にこの大陸に触れた時に
転移されるビル、ムータワーと名付けられています。
もちろん、この大陸の存在に気づいている者だけに限りますが」
このあと長々とこのビルの特徴について説明されたが、要するに
このビルの高さは東京にあるスカイツリーより2倍ほど大きく、
9000年の歴史を持つ凄い建物らしい。これを見たクフ王の仲間たちは、
敗戦後、宇宙人をなにか神的な存在に感じ、絵として残していったらしい。
「最近ここに新たに来る者がいなくて‥もう退職しようかと思って
いたところですよ~。そしたら突然あなたのような‥」
「はい、次!次を案内してください」
また天の川‥なんとかとか出てきそうだったのでスキップした。
お越しくださいました!!」
俺のめのまえには‥なんだこいつ?タコか?いや、でも足が20本はある。
やけに関節が曖昧で全身が赤い。そして自慢げに首にかかっている
「観光者」と書かれたプレートをその20本ある足の1本で
つかむと、俺の方を改めて向く。
「初めまして、私はここの観光者案内人、タバと申します。
一応私は日本語はマスターしていますが、ここでは主に英語が
使われるんですよ!」
「へえ~、であんた誰?」
「‥今言った‥案内人のタバですが‥」
「‥いや、そう言うことじゃなくて‥地球人じゃないことは分かった。
あんたはどこから来たんだ?そこの月か?」
「お!一発であてられました!カンがいいですね!!」
まさか、当たるとは思っていなかった。いや、どっちかと言えば、
そのタコの姿に驚いたのではなく、こんなに近い月にこんな変体
が生存しているとは知らずに、普通に毎日を送っている人間に対し
て驚いた。人間はもっと近いものに対して目を真剣に向けるべきだと思う。
いや、人間にとっては月も遠い存在なのか。
そう思うと人間がさらにむなしく思えてくる。
「‥で、ここはなんなんだ?なんで人間からは見えないようにしてあるのか?」
「まあ、それもいろんな理由がありますが‥1つ明確な理由とすれば‥
以前人間が宇宙人の技術を無理やり盗もうとしたことです」
「‥以前?」
「ええ、つい最近のことでした。クフ王の弟子とか言う人たちがいきなり
ここに乗りこんできて‥いろいろと盗みをしました。だから
私たちはもうこれは反抗せざるを得ない状況と判断し、
たくさんの人間を殺しました。何千人死んだかは覚えていませんが、
私の人生であんなにたくさんの血を見るのはもうないだろう、
というぐらいでした。そして私たちはもう血を見たくない、
弱いものを一方的に殺すのは間違っているのではないか、
と議論を重ね、ついに人間にはこの島を見えないような
強力な魔法をかけることを決意しました。主な理由としては、
そんな感じです」
「・・・・・」
「だから俺とカラには見えたのか‥。いや、もうひとつ質問。
ここを写真で取ることはできないのか?」
「もちろんそれにも魔法が適応されていますよ!ここの島のことを
人間に知られてしまいますから」
だからあのとき写真に写っていなかったのか。人間に知られたくない‥
つまり俺がいくらここの写真を撮ろうとしても‥撮ることは無理な話。
もうこれ以上質問してもどうせ無理、と答えられるだろう。
「で、ところであなたも地球人じゃないことは分かりました。
どこから来たのですか?」
「え‥カンダル」
「!!!!!!なんでそんな方がここにいられるのですか?
って言うかカンダルってここから銀河12億4007万5611個を飛び越えた
はるか彼方にあるんですよ!」
驚く顔にもほどがある。
「‥そんなに遠くなの?てか、記憶力すげえな」
「ありがとうございます。いやいやそんなことよりそんな方が一体
何の用でこんな田舎銀河に来られたのですか?」
「え?知らね。カンダルを出発したのはもう7年も前で特に何も
覚えてない。俺が6歳で城の庭で遊んでいたとき‥俺の父が急に地球に行くぞ!
って言い出して‥ここに来た。だから今も地球に来た意味が分からないまま
毎日をてきとうに過ごしているって感じ」
「‥今‥城って言いました?」
「ああ、良く覚えてないけど‥城らしきでかい建物だった」
そのことだけは鮮明に覚えている。でも‥父がどういう位を持ち、
なんの仕事をしているのかは全く知らなかった。
「もしかして‥カンダルの皇子とかじゃ‥ありませんよね?もし
あなたがそうであれば私はこんなことを話している場合じゃ
ありません。緊急に天の川銀河系連合のトップに連絡を
取らなければいけません」
「いま‥なんて?あまのがわぎんがれんごーのトップ?」
「いや、さらに上、第78宇宙銀河統合連合総督などに連絡を入れなくては
ならなくなると思います。」
「いや、ちょっと待って。俺がそんな人の訳ないじゃん。
いや、もう人かどうか分からないけど。とりあえず、落ち着いて
ここの観光の案内でもしてよ」
タバは大きく1回深呼吸をすると、今度は落ち着いた表情で
話しだす。
「まあ、とりあえず今は私の仕事をします。取り乱して
すみませんでした」
「いや、大丈夫です」
「ではでは‥その話は後ですることにして、まずこのビルについて
紹介していきます」
いや、後からも話さなくて結構です。
「ではまずこのビルの下をご覧ください。たくさんの浮いている乗り物が
見えると思います」
言われたとおりに頭をビルの端のフェンスの方に乗り出してみると、
今まで気づかなかったが確かにたくさんの乗り物が浮いて走っている。
「あれはここでレギュラーに使われる乗り物、フローター。たまに地面を
走る乗り物も見かけますが、それは趣味で乗っていると思って
頂いて大丈夫です」
いわゆる、人間で言うところのクラシックカー、という感じか。
「そしてこのビル、観光客がまず1番にこの大陸に触れた時に
転移されるビル、ムータワーと名付けられています。
もちろん、この大陸の存在に気づいている者だけに限りますが」
このあと長々とこのビルの特徴について説明されたが、要するに
このビルの高さは東京にあるスカイツリーより2倍ほど大きく、
9000年の歴史を持つ凄い建物らしい。これを見たクフ王の仲間たちは、
敗戦後、宇宙人をなにか神的な存在に感じ、絵として残していったらしい。
「最近ここに新たに来る者がいなくて‥もう退職しようかと思って
いたところですよ~。そしたら突然あなたのような‥」
「はい、次!次を案内してください」
また天の川‥なんとかとか出てきそうだったのでスキップした。
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