宇宙の果てから地球にやってきたら神として英雄になりました

たんぽぽ

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1章

いざゆかん

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次の日、俺は午前6時ちょうどに学校のグラウンドに派手な着陸をした後、
教室に向かった。まだ日本の空は暗く、月も煌々と輝いている。まだ誰も
学校にいないらしく、あたりは静まり返っている。まあ、6時に誰もいない
のは当たり前だとは思うが。物質透過魔法を一瞬使って学校の中に入る。
各教室に月の光が差し込み、幻想的な空間を築いている。
 3回まで階段を上がり、1‐3と書かれた教室のドアを魔法を使って通り
ぬける。そこには月の光に上半身を照らされる、一人の女性がいた。
まだ眠たそうな表情で俺を見て、おおきなあくびをする。
そう、彼女は昨日例のアトランティス大陸EXに一緒に行く約束を
したカラ。まあ、こんなに早く教室に集まったのは、早朝から
その大陸に行くわけじゃなく、予定を立てるためだ。いや、
予定というよりは話し合いなのかもしれない。

「ずいぶん眠たそうじゃないか、カラ」

「当たり前よ。カンダル人はそんな眠気はないの?」

「‥まあ、あるけど‥地球人ほどまでではないというか‥」
カンダル人は体力面での回復力も地球人をはるかに上回っている。
だから昨日の寝る時間が3時間とはいえ、かなりパトロールの
疲労は抜けた。

「うらやましいな。まあ、それはしょうがないとして‥
 昨日の大陸、どうする?今日行く?」

「俺は‥そのつもりだけど」

カラは大きく一呼吸して俺の方を改めて向く。

「私‥カンダル人より使える能力がないというか、だから‥
 自信がない。もしかしたらもう1回行ったら死ぬかもしれないとかいう
 不安があって‥」

「‥まあ、それはしょうがない。違う種族なんだし。別に俺は何かあったら
 マッハで逃げるから‥だから今回は俺に任せてもらってもいいぞ。
 カラがどうしても無理と言うなら」

「じゃあ、よろしく。でも、あくまでも無理じゃない。したくないだけ」

「分かった。しっかりと仕事はしてくる。‥でこれからなにやる?
 もう別にやることないだろ?早朝に集まった割には‥
 話はこれで終わりなのか?」

「ええ、終わり。
 いや‥もう1つ。この頃国連の地球防衛事務局によると‥
 未確認飛行物体が増えてきているって言うか‥だからそれと
 その大陸の関係性についても何か分かったら調べてきてほしい。
 いい?」

「ああ、もちろんだ。出発は今日の午後4時31分でいいか?」

「勝手にして」




後は特にすることがないので、俺は異次元魔法を使って残りの2時間を
6次元空間で仮眠をした。その日、てきとうに授業を受け、あっという間に
1日が過ぎて行った。今日は本物のゴキブリが授業中出てきて、
4時間目がめちゃめちゃなことになった。え?俺のせいじゃないかって?
いや、俺はゴキブリ用の餌を教室の隅に置いただけで、何も
していない。俺は嬉しそうに餌を食べるゴキブリを安らかな
笑顔で見守っていただけだ。本当に何もしていない。



放課後‥

「じゃあ、行ってくる」

そうカラに言い残して学校を4時32分に飛び立つ。
予定より1分遅いじゃないか!と突っ込まれるところだが、
突っ込まないでくれ。俺だって人間なんだ。いや、人間だっけ?

途中で熊本城をかすったが、別に瓦10枚くらい落ちるくらいなら
大丈夫だろう。今日もいい空気で、目に余り埃が入ってこない。
そう空気を感じているうちに、20分くらいで例の場所に着いた。

いや、待てよ?

青白い光は一切なく、普通に海に浮かぶ都市のように見える。
しかし青い光がないのは昼だからだろう。しかし、驚くべきところは
そんなことではない。その都市を1本の黄色い強力な光が貫いているという
ことだ。昨日はあんなものなかった。俺が見る限り、
あの黄色の光から大量のエネルギーを感じる。
しかしあの光もまた人間には見えていないものだろう。
何なんだ?


‥もう我慢が出来ない。乗りこんでやろうじゃないか。
物質透過魔法と飛行魔法を組み合わせたら都市に突っ込んで
乗りこめるかもしれない。失敗したらビルを壊すことに
なるが、成功すればそれが一番気づかれずに乗りこめる最良の
方法と言える。

「うりゃ!」
俺は叫びながら突入した。





‥2秒後、ビルの屋上になぜか着陸した。
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