5 / 12
1章
放課後
しおりを挟む
‥退屈だ‥
中学の内容はもう完璧と言っていいほど学習済み。
数学の先生が平方根の問題について丁寧に解説している。
まわりのみんなは黒板に書かれたことを一生懸命ノートに写しているが、
俺にとってはただの子守歌にしか聞こえない。スーパーマン、
スーと右の耳から先生の声が入ってきては、左耳からパーとその内容が
抜けていく。
「はあ‥」
ため息がついつい出てしまう。暇すぎてすることないから
ちょっとこの消しゴムを物質変換魔法で‥温度計に変えてやろう。
いや、ちょっとしょぼいか。いっそのこと‥ゴキブリに‥。
人間はゴキブリが嫌いらしいからな。
「ふん!」
小声で叫び、消しゴムをゴキブリに。その消しゴムゴキブリを床に放つ。
ゴキブリは元気に前の方に進んでいく。まだ誰も気づいていない。
「キャア!!!」
1人の女子がその場で跳ね上がった。それにつられてその周りの
男子や女子も面白い反応を見せる。そして一気に教室全体で大きな
騒ぎになる。あるものは教室からそのゴキブリを外に出そうと
どこからか大きな袋を持ってくる。そしてあるものは
隣の教室が授業があってるのにもかかわらず廊下を走り回る。
「やり過ぎじゃないの??」
どこからともなくカラの声。おそらく俺の心に直接話しかけている
のだろう。っていうかそんな魔法カラって使えたっけ?
「え?そんなにか?」
‥確かに周りに落ち着いて座っているのは俺だけのようだ。
先生も先生でどうにかしてゴキブリを外に出そうとしている。
いや、人間がこんなにゴキブリが嫌いだってこと知らなかったし。
そして5分後、ゴキブリは隣の教室に冒険しに行った。
‥体育の時間‥
いや、なかなか面白うござる。なんて人間はこんなにスローモーションで
しか動けないのか。俺がウサギだとすると亀を通りこして
蟻を見ているようだ。今日はもうすぐ持久走があるということで
ランニングをしている。まあ、確かに時速600kmでも遅いと
感じる俺にとってはこの時速12kmそこらではもはや歩いてる、と思うのも
しかたないか。そう頭の隅で思いながら、今は先頭集団のトップで
しれっと走っている。
「はあ、はあ、はあ、コ、コパーレ君速くない?」
隣を走っているリュウジとかいう人が話しかけてくる。
「はあ、はあ、まあ前の学校でもこのくらいでいつも陸上部で走ってたし」
はい、ウソ。
「え?でも大会とか‥出場してなかったよね?コパーレなんて
今まで聞いたことないけど」
「ああ、ああ‥前の学校にもっと速い人がいて‥大会に
出させてもらえなかった‥」
そんなこんなで結局最後まで先頭集団を引っ張っていくとこに。
そして転校2日目にして体育の先生に目をつけられた。
さらに、ちらちらといろんなところからの目線が気になった。
「カラ、次のパトロールはいつなんだ?」
カラは「一般相対性理論」の古書をテーブルに置くと、こっちを見る。
「‥明日よ。別にこれと言って用意するものはないけど、パトロール
時にはまあ、偵察機の逆反射パネルのボタンを押すのを忘れない
ようにしておくくらいかな?」
「って偵察機で行くの?」
「ええ、そうよ」
カラは当たり前、という顔つきでこっちを見てくる。
「いや、俺飛べるんですけど」
カラはハッとした顔をする。
「じゃあ、あなたには逆反射パネル機能付き飛行服を着てもらわ
なくちゃね。博士に明日までにここに届けてもらうように
頼んでおくから」
博士?俺が顔に「博士って何?」と書いてある表情をしていると、
【どういう表情だよ】
「ああ、キノ博士? 結構アメリカで有名な研究者よ」
「へえ~」
その博士よりも俺の父の方が技術的には上だろうが、
カラからそれを着れ、と言われたら着るしかない。
図書館の放課後は昼間よりもずっと静かで、日もそこまで中に入ってこず、
本を読むのにいい環境だ。
2人を挟むテーブルの上に置いてある「特殊相対性理論」を見る。
昨日家に持ち帰ってちょっくら読んでみたところ、
内容的には‥俺が5歳のころには誰でも知っている内容だった。
地球人に例えたら足し算のようなもの。
「カラはその本の内容分かるか?」
「さあ、さっぱり」
カラって人間なのか?宇宙人なのか?俺が大隊長になってやってもいいのだが。
その日、俺は宇宙ゴミにぶつかりそうになりながら地球のはるか上空を
飛んで帰った。
中学の内容はもう完璧と言っていいほど学習済み。
数学の先生が平方根の問題について丁寧に解説している。
まわりのみんなは黒板に書かれたことを一生懸命ノートに写しているが、
俺にとってはただの子守歌にしか聞こえない。スーパーマン、
スーと右の耳から先生の声が入ってきては、左耳からパーとその内容が
抜けていく。
「はあ‥」
ため息がついつい出てしまう。暇すぎてすることないから
ちょっとこの消しゴムを物質変換魔法で‥温度計に変えてやろう。
いや、ちょっとしょぼいか。いっそのこと‥ゴキブリに‥。
人間はゴキブリが嫌いらしいからな。
「ふん!」
小声で叫び、消しゴムをゴキブリに。その消しゴムゴキブリを床に放つ。
ゴキブリは元気に前の方に進んでいく。まだ誰も気づいていない。
「キャア!!!」
1人の女子がその場で跳ね上がった。それにつられてその周りの
男子や女子も面白い反応を見せる。そして一気に教室全体で大きな
騒ぎになる。あるものは教室からそのゴキブリを外に出そうと
どこからか大きな袋を持ってくる。そしてあるものは
隣の教室が授業があってるのにもかかわらず廊下を走り回る。
「やり過ぎじゃないの??」
どこからともなくカラの声。おそらく俺の心に直接話しかけている
のだろう。っていうかそんな魔法カラって使えたっけ?
「え?そんなにか?」
‥確かに周りに落ち着いて座っているのは俺だけのようだ。
先生も先生でどうにかしてゴキブリを外に出そうとしている。
いや、人間がこんなにゴキブリが嫌いだってこと知らなかったし。
そして5分後、ゴキブリは隣の教室に冒険しに行った。
‥体育の時間‥
いや、なかなか面白うござる。なんて人間はこんなにスローモーションで
しか動けないのか。俺がウサギだとすると亀を通りこして
蟻を見ているようだ。今日はもうすぐ持久走があるということで
ランニングをしている。まあ、確かに時速600kmでも遅いと
感じる俺にとってはこの時速12kmそこらではもはや歩いてる、と思うのも
しかたないか。そう頭の隅で思いながら、今は先頭集団のトップで
しれっと走っている。
「はあ、はあ、はあ、コ、コパーレ君速くない?」
隣を走っているリュウジとかいう人が話しかけてくる。
「はあ、はあ、まあ前の学校でもこのくらいでいつも陸上部で走ってたし」
はい、ウソ。
「え?でも大会とか‥出場してなかったよね?コパーレなんて
今まで聞いたことないけど」
「ああ、ああ‥前の学校にもっと速い人がいて‥大会に
出させてもらえなかった‥」
そんなこんなで結局最後まで先頭集団を引っ張っていくとこに。
そして転校2日目にして体育の先生に目をつけられた。
さらに、ちらちらといろんなところからの目線が気になった。
「カラ、次のパトロールはいつなんだ?」
カラは「一般相対性理論」の古書をテーブルに置くと、こっちを見る。
「‥明日よ。別にこれと言って用意するものはないけど、パトロール
時にはまあ、偵察機の逆反射パネルのボタンを押すのを忘れない
ようにしておくくらいかな?」
「って偵察機で行くの?」
「ええ、そうよ」
カラは当たり前、という顔つきでこっちを見てくる。
「いや、俺飛べるんですけど」
カラはハッとした顔をする。
「じゃあ、あなたには逆反射パネル機能付き飛行服を着てもらわ
なくちゃね。博士に明日までにここに届けてもらうように
頼んでおくから」
博士?俺が顔に「博士って何?」と書いてある表情をしていると、
【どういう表情だよ】
「ああ、キノ博士? 結構アメリカで有名な研究者よ」
「へえ~」
その博士よりも俺の父の方が技術的には上だろうが、
カラからそれを着れ、と言われたら着るしかない。
図書館の放課後は昼間よりもずっと静かで、日もそこまで中に入ってこず、
本を読むのにいい環境だ。
2人を挟むテーブルの上に置いてある「特殊相対性理論」を見る。
昨日家に持ち帰ってちょっくら読んでみたところ、
内容的には‥俺が5歳のころには誰でも知っている内容だった。
地球人に例えたら足し算のようなもの。
「カラはその本の内容分かるか?」
「さあ、さっぱり」
カラって人間なのか?宇宙人なのか?俺が大隊長になってやってもいいのだが。
その日、俺は宇宙ゴミにぶつかりそうになりながら地球のはるか上空を
飛んで帰った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

3024年宇宙のスズキ
神谷モロ
SF
俺の名はイチロー・スズキ。
もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。
21世紀に生きていた普通の日本人。
ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。
今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。
※この作品はカクヨムでも掲載しています。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる