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第2章
占いの時間 2
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コンコン!
「失礼します」
「どうぞ」
「先ほどの5年のカイですが、今度は友達の占いをしてほしくて来ました。
よろしいですか?」
「ああ、もちろんいいとも」
「よろしくお願いします」
1時間前に1度来た部屋。中に入ると外から隔離されたような‥そこまではないとしても、
外とだいぶ雰囲気が違う。さっきと比べて日が落ちたせいか、だいぶカーテンから差し込む光も弱い。そして相変わらずの整理されてない机。
「今度は‥できるだけ危なくない方法でよろしくお願いします」
一応これは言っておく。鋭い眼が自分に一瞬向けられる。
「‥もちろん」
言葉が出てくるまで少しあいたが、理解してくれたようだ。
「名前は?」
「田中健二です。5年生です」
「よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
「はい、では手をここに置いて下さい。ここもう少し広げて」
「では、今から呪文を唱えるので、一言もしゃべらないでください」
「はい」「はい」
今度はどんな呪文なのかという期待。そして死ぬ危険性のない呪文にしてくれ‥ただそれだけである。
「メンタライズ・フィジクス・ケメストリー・スペース!!」
少し長かった。しかし一つもかまずにすらすらと読みあげると、ケンの手のひらの下が
赤く光り出した。特に丸い形などもなく、ただLEDライトが手の下にあるかのように光りだす。
「これは、あと1分もすると色が変わり出します。青に近いほど魔力が小さく、
逆に赤に近いほど強力となります。少しかかりますが、さっきよりは安全ですよ」
「はい」
そして一言もない1分間。1秒が2.56分に感じられるほど長い1分間。
2時間30分ぐらいに感じられた1分は過ぎ去り、手の下の色がだんだんと変化していく。
青から緑に。緑からオレンジに。オレンジから山吹色に。山吹色から琥珀色に。
琥珀色から朱色に。朱色から紅色に。紅色から‥朱鷺色に。それから‥白に。
「あの‥先生、これはどういうことですか?」
「・・・・・」
「白なんですけど‥」
「・・・・・」
「あの‥先生。赤を通り過ぎちゃいましたよ」
「・・・・・」
「君たち3人‥何者なんだ‥」
「え‥下界からやって来た普通の人間ですが」
顔が相当驚いている。白はエラーということだろうか。
「エラー‥ですよね?」
「ああ」
「どうやら上界でとんでもないことが起きているらしい。君たち、今すぐこんな学校卒業して次のエリアに行ったらどうだ。私はそっちのほうをお勧めするぞ」
「いや、とにかく今はこの学校の全ての教科書を完璧にして十分に理解をした後
ヒロ君たちと第6エリアに行きます」
「まあ、ゆっくりと考えるといい。応援しているぞ」
「ありがとうございます」
「第8エリアには魔術高等学校がある。そこで功績をあげて中界中央政府に努めるといい。
そこで高等学校でいい結果を出すと下手すれば中央政府の魔術隊隊長に入れるぞ」
「この先には魔術高等学校があるのですか‥。僕達はここでしっかりとした基礎を身につ
けて進学します。中界中央政府については調べてよく考えておきます。今日は、
ありがとうございまいた」
「こちらこそ、ありがとう。そうだ、君たちに私からのプレゼントがある。
ほら、この本を上げよう。これはこの学校のこの部屋に昔からある魔術書だ。
教科書をマスターし終えたときにさらに強くなるために読んでみるといい
きっと将来につながると思うぞ」
「「あ、ありがとうございます!」」
明るい声が部屋に響く。
ギイイイイ‥ガチャ!
部屋の閉まる重い音をあとに寮に向かう。足取りは‥軽かった。俺もケンも同じレベル
と言うことに対して一緒に上界まで上がっていくんだ、と考えるとわくわくしてくる。
寮に向かう途中、海にゆっくりとゆっくりと赤い太陽が沈み、それを追いかけるようにして
青い太陽も沈んでいった。
「俺は‥青い太陽になりたいな‥」
「ん?なんか言った?」
「・・・・・いや、何もない」
「失礼します」
「どうぞ」
「先ほどの5年のカイですが、今度は友達の占いをしてほしくて来ました。
よろしいですか?」
「ああ、もちろんいいとも」
「よろしくお願いします」
1時間前に1度来た部屋。中に入ると外から隔離されたような‥そこまではないとしても、
外とだいぶ雰囲気が違う。さっきと比べて日が落ちたせいか、だいぶカーテンから差し込む光も弱い。そして相変わらずの整理されてない机。
「今度は‥できるだけ危なくない方法でよろしくお願いします」
一応これは言っておく。鋭い眼が自分に一瞬向けられる。
「‥もちろん」
言葉が出てくるまで少しあいたが、理解してくれたようだ。
「名前は?」
「田中健二です。5年生です」
「よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
「はい、では手をここに置いて下さい。ここもう少し広げて」
「では、今から呪文を唱えるので、一言もしゃべらないでください」
「はい」「はい」
今度はどんな呪文なのかという期待。そして死ぬ危険性のない呪文にしてくれ‥ただそれだけである。
「メンタライズ・フィジクス・ケメストリー・スペース!!」
少し長かった。しかし一つもかまずにすらすらと読みあげると、ケンの手のひらの下が
赤く光り出した。特に丸い形などもなく、ただLEDライトが手の下にあるかのように光りだす。
「これは、あと1分もすると色が変わり出します。青に近いほど魔力が小さく、
逆に赤に近いほど強力となります。少しかかりますが、さっきよりは安全ですよ」
「はい」
そして一言もない1分間。1秒が2.56分に感じられるほど長い1分間。
2時間30分ぐらいに感じられた1分は過ぎ去り、手の下の色がだんだんと変化していく。
青から緑に。緑からオレンジに。オレンジから山吹色に。山吹色から琥珀色に。
琥珀色から朱色に。朱色から紅色に。紅色から‥朱鷺色に。それから‥白に。
「あの‥先生、これはどういうことですか?」
「・・・・・」
「白なんですけど‥」
「・・・・・」
「あの‥先生。赤を通り過ぎちゃいましたよ」
「・・・・・」
「君たち3人‥何者なんだ‥」
「え‥下界からやって来た普通の人間ですが」
顔が相当驚いている。白はエラーということだろうか。
「エラー‥ですよね?」
「ああ」
「どうやら上界でとんでもないことが起きているらしい。君たち、今すぐこんな学校卒業して次のエリアに行ったらどうだ。私はそっちのほうをお勧めするぞ」
「いや、とにかく今はこの学校の全ての教科書を完璧にして十分に理解をした後
ヒロ君たちと第6エリアに行きます」
「まあ、ゆっくりと考えるといい。応援しているぞ」
「ありがとうございます」
「第8エリアには魔術高等学校がある。そこで功績をあげて中界中央政府に努めるといい。
そこで高等学校でいい結果を出すと下手すれば中央政府の魔術隊隊長に入れるぞ」
「この先には魔術高等学校があるのですか‥。僕達はここでしっかりとした基礎を身につ
けて進学します。中界中央政府については調べてよく考えておきます。今日は、
ありがとうございまいた」
「こちらこそ、ありがとう。そうだ、君たちに私からのプレゼントがある。
ほら、この本を上げよう。これはこの学校のこの部屋に昔からある魔術書だ。
教科書をマスターし終えたときにさらに強くなるために読んでみるといい
きっと将来につながると思うぞ」
「「あ、ありがとうございます!」」
明るい声が部屋に響く。
ギイイイイ‥ガチャ!
部屋の閉まる重い音をあとに寮に向かう。足取りは‥軽かった。俺もケンも同じレベル
と言うことに対して一緒に上界まで上がっていくんだ、と考えるとわくわくしてくる。
寮に向かう途中、海にゆっくりとゆっくりと赤い太陽が沈み、それを追いかけるようにして
青い太陽も沈んでいった。
「俺は‥青い太陽になりたいな‥」
「ん?なんか言った?」
「・・・・・いや、何もない」
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