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第2章

占いの時間

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「ふむ‥」



今目の前ではランチェルという名の副校長先生、占い師が自分の手相を見ながら

難しそうな顔をしている。教室よりも結構せまい部屋。薄暗くていかにも

「魔法」というような部屋。不気味さ以外には何も感じられない。



1時間目の先生に案内されてきたものはいいのだが、そのまま先生はどこかに消えてしまった。そして今この部屋にはこのランチェル先生と僕だけ。特に話すことなく、時間だけが流れていく。



「あの~今手相を見て何をされているのですか?」



「ああ、次は頭見せて。そこそこ」

一瞬にして無視された‥というより聞こえてないのかもしれない。

おでこを触ったり、肩をちょっとくすぐったいくらいに触ってくる。



「あの!すみません」



「ん?なんだい?」



「今何をされているのですか?」



「ああ、占いに使う資料を集めてるところだが‥なかなか見つからなくて‥」



「あと‥どれくらいかかりそうですか?」



「君次第だ」



もうわけが分からん。俺はただつっ立っている。俺は何もしていない。

そんな俺のどこが「君次第」なんだ‥。ここが魔法学校ということを認識していない

一般の地球人がこんなことをされたらまず、警察に通報するところだろう。



そして10分が過ぎた。



「みつけた!」



いきなり自分の耳元で大声で叫ばれた。それと同時に髪の毛が一本ぬかれた。

俺の許可一切取ってないだろ。そして痛い。耳もとで叫ぶな。うるさい‥。

さっさと退室したい‥。そんな瞬時に現れた数々の思いが届くはずもなく、

ランチェル先生は自分の席に座り、俺をその近くにある椅子に座らせた。



「予定より30分遅くなってしまいましたが、今からこの髪の毛とあなたを使って

 占いを始めます」



まず、俺を使っていいとは一言も言っていない。そして‥予定より30分遅いのかよ!



ランチェル先生はまず、棚の奥から分厚い辞書のようなものを取り出した。ぺらぺらとページがめくられていく。そしてその動きも止まった。ページの右側に丸い絵が書いてある。



「ウアンダテンシャポーラ、ウオンマーヤコーラミーラ!」

その赤い丸の絵が赤く光り、どんどん回転していく。まるで幻想を見ているようだ。



「カーパンシャルート!!!」

その言葉と同時にさっきの髪の毛1本を入れる。



!!!赤から青に変化した。そして青い火花を出しながらさらに高速に回転していく。

だんだん回転の音が大きくなってきた。



ウウィイイイン‥

部屋中に響く。



「手をここに入れてください。これは火花ではないので、熱いことはありません。

 さあ、右手を広げて」



言われるままにする。そして手をその中に入れる。

確かに熱くない。



ギイインギイインギギギギギギ‥



歯車の軋むような音が響く。



「!!!今すぐ手を抜いてください!早く!」



反射的に手が動く。その次の瞬間、それは音もなく消えてしまった。



「あと、0.2秒遅ければその手は半分無くなっていましたよ」

冷や汗が出る。そして怒りが増す。

‥お前何危険なこと俺にやらせてんだよ。「半分無くなっていましたよ」?は?

こっちは手がもう少しでなくなるとこだったのに‥上から目線で言いやがって!‥



怒りのパラメーター‥ただいまMAX。そんなことお構いなしにランチェル先生は

その辺に散らばった道具を何かブツブツいいながら片づけていく。



ふとランチェル先生が俺のほうを見る。



「あなた、もしかして‥」



「??」



「いや、そんなはずはない‥」



「どうされましたか?」



「あなたは‥本来上界を治めているはずの者です」



「え?は?ひ?ふ?」



怒りが一瞬で消える。どういう意味なのだ。



「あなたの生まれはどこですか?」



「え?地球ですが‥」



「それは‥間違いだと思います。今の占いによれば」



言っていること全てが分からない。俺が上界を治める?生まれが地球(下界)でないと?



「あなたは、上界で生まれました。それが何らかの理由で下界に送られてしまったのです」



「じゃあ、今のお父さん、お母さんは誰なんですか?」



「恐らく上界の守護者だと思います。その人たちがあなたをずっと守り続けていたのです」



「何から‥守られていたのでしょうか‥」



「それは、私も上界に行かないと分かりません、しかし、そこまでする理由があるということです」



「上界を治められる力がないと、この魔術にエラーを起こさせることはできません」



「エラー?」



「そう、力が強すぎて魔術が通じないのです。その結果、魔術を試してもその魔術は

 壊れてしまうのです」



「そんなことがあるのですか‥」



と冷静っぽく言いながらも、心の中では今すぐに叫びたいような気分だ。
俺がそんな力を持っている?じゃあ、練習すればすぐに魔法を自由に使いこなす
ことができるかもしれない。

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