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第2章

出会い

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まず、空には太陽が2つある。そして月の代わりに地球?のようなものがある。

別に太陽が2つあるからといって、眩しいわけではない。



どうやら、ここは2階らしい。

下のほうには、近くに地平線が見えるくらいの神秘的な海が広がっている。

手前には地球で例えるなら‥イタリアの美しい港町‥といったところだろうか。



「カイ~ここどこ?」

ユウカの声が後ろからする。どうやら、ユウカもたった今起きたようだ。

「わからない。でも、地球じゃないことはわかる。」

「え!」

「外の景色見れば、多分一瞬でわかる」

ユウカも起き上がり、窓のほうに来る。

「えええ!」

「だろ?」

「地球じゃないだろ?」

「うん‥」

「じゃあ、ここは‥」



「その前に、ケンを起こそう」

「うん」



「おい!ケン!」

「起きろ~」

「‥ここは?確かドラゴンにやられたような‥」

「うん、確かにドラゴンの犠牲になったけど‥」

「どうやら、地球じゃないみたい」



「・・・・・」

「は?」

「窓の外を見たら、すぐに分かる」



「し!」

なにか向こうのドアの向こうから足音が近づいてくる。

コツコツコツ‥ 足音が止まる。

ギイイー

ドアの開く、重たい音がする。



「おお、みなさん起きられましたか。とんだ災難にあわれましたね‥」

黒い大きなマントのようなものをは織り、茶色がかったズボン。

何とも、印象的なのはあごから伸びる短い黒いひげが

カッコよく決まっていることだ。年齢は、40~50代だろうか。



「おお、これはこれはあいさつが申し遅れました。

 魔法中界、第1エリアで魔法教師をやっております、

 ファンといいます。3人とも気を失っていましたので、

 私の家の2階に運ばせていただきました」



「・・・・」

「魔法中界?第1エリア?魔法教師?」

ユウカが一気に3つも質問する。



「ああ、そうでした。あなた方は下界におられましたので

 魔法のことは、あまり知らないことでしょう」



‥今まで住んでた地球が‥下界?



「まず、この世界は、魔法基本法によって分けられています。

 一番下の層が、地球も含め下界、そしてここが中界。

 一番上の層が上界といいます」

「はあ‥」

「そして、下界を除いてエリアは100つに分けられています。」



「つまり‥」



「そう、ここは中界の第1エリア、下界から来たものが

 最初にたどりつく、最初のエリアです。

 1年に、100人程度下界からのものがここにたどり着きます。」



「たった‥100人?」

ユウカが不思議そうに尋ねる。



「はい、下界から中界にあがるためには地球でいうところの

 上級魔術師、5級以上を持っている者しか入れません」



「そんなの、図書館のどの本にも載ってなかったけど‥」



「もちろん、そんなことを下界のものに知らせてはいけない仕組みになっています」



「‥じゃあ、なんで私たちここにいるの?」



「あなたたち、3級魔術師同士の戦いのときドラゴンの犠牲になったでしょ。」



「はい‥そうですが」



「そこで負った傷は、下界では治せないのです。中級のなら何とかなりますが‥。

補足ですが、下界から中界に、中界から上界に上がるにつれ、時が流れる速度が

それぞれ1万分の1になります。

ここでの1日が下界の0.0001日(下界の一日中の8.64秒)、上界では、10000日となります」



「なんか‥数か大きすぎて、想像が‥出来ない」



「まあ、それも無理はないでしょう。突然下界からいらしたのですし。

 とりあえず、おなか減ったでしょう。ご飯でもいかかですか?

 ご飯といっても、下界とさほど違いはないですよ」



「ああ、良ければお願いします!」

ケンが、もう待てない!という表情で答える。



「では、さっそく食堂に向かいましょう」



「食堂?」



「ええ、私先ほども申し上げましたように、教師なんです。

 だから、1階部分が、学校になっているんですよ」



『へえ~』

3人思わず声がそろう。

階段を下り、1階へと向かう。途中に、いかにも

魔法の学校というような魔法瓶が、いくつもあった。

案内をされ、食堂に入る。



「わ~」「お~」「食堂だ~」

3人それぞれ感嘆の声を漏らす。



「どうぞご自由にお食べください」

「え!なんか‥お金とか支払わなくて、いいんですか?」



「ああ、大丈夫ですよ。ついでに、中界では、お金の単位は「ルート」

 となっています。まあ、地球でいうところの、「エン」とほぼ同じ価値のようですが」



「ほえ~」

‥なんだこのユウカの独特な反応は‥

心の片隅に置いておく。



「メニューが多いですね」



「はい、学生の要望にできるだけ添えるように、いろいろな

 メニューが用意してあります」



「じゃあ、私は‥フィッシュライス!」

「海鮮丼で!」

迷う。メニューが多すぎる。

「じゃあ‥海鮮カレーで」

これを実際に地球で頼むと、相当高くつくことは言われなくとも、分かる。



「では、作るまでに10分程度かかりますので‥」

と言うと、メニュー票を持って、向こうのほうへ。

「そういえば、これからあなた達はどうされますか?」

振り向きながら尋ねられる。



「どうする?」

「ここの時間って、地球の1万分の1なんでしょ」

「うん」

「私の、もう答えは1つにまとまったけど」

「というと?」

「もちろん、ここで修行して魔法の道を究めたい。歳もとらないようだし、

どうせならこのチャンスを生かしたい」

「ケンは?」

「おれも、多少は地球のことも考えたけど、時間が1万分の1なら、

 このチャンスを生かして、どうせなら、上界までいってやりたくなった」

「おれも‥今決めた」



「誓いの言葉、みんな忘れてないよな?」

「ええ、もちろん」

「誰が忘れるか!どうせなら‥」



「覚悟決めて、修行しようぜ!」





「ということになりました。どうか、僕たちに、魔法を教えてください!」



「‥もちろん、少し遅いスタートになりますが、その意気があれば

 修行をのり越えられると思います。

 今日は、日曜日。授業は明日からです。

 明日は、この食堂もたくさんの人でいっぱいになると思いますよ」



「ところで、僕たちはどのクラスに入ることになるのでしょうか」



「この学校は、6年制ですが、あなた方は基礎も十分身に付いているようですし、

 5学年から入っていただきましょう。内容は、半分が魔法の授業

 もう半分は、実技です」



「あ、ありがとうございます!」



「先生方は、私以外にもあと20名います。

 分からないことがあれば、お構いなく、質問されてください」



「はい!」



そいって、メニュー票を持って行った。



そして、海が近くにあり、とれたての新鮮な魚というだけあって、

とってもとってもおいしかった。

「昼から、どうする?」

「もう、あの先生いなくなっちゃったしね‥」



「とりあえず、町を一回り、見てみよう」

「賛成!」



道は茶と赤のタイルで舗装され、よく本に載ってるようなイタリアの

街中を思い出させる。店の看板もしゃれたものではなく、

少し上品な感じがする。とても、おしゃれな街だ。



3人でしばらく歩いていると、向こうからたくさんの人の声がする。

「行ってみる?」

「うん‥行ってみよう」

角を曲がると、ひときわ大きな大通りに出た。

「いらっしゃ~い」

「とれたての魚だよ~!」

「この杖買ってくかい~?」

とても賑わっている。どうやら、ここは商業ゾーンのようだ。

「楽しそうだからいろいろ、見て回る?」

「もちろん」



どうやら、右の大きめのテントの中では、セリを行っている模様。

中央に立って大声を出している人が見える。しかし、

ひとが多すぎて、いまいち声が聞き取れない。

そこを通り過ぎ、20mくらいしたところだろうか。



「あ!これ杖じゃん」

杖がたくさん置いてある店の前に来ると、ユウカが興味深々に声を上げる。

「へえ~中界ではこんなものも売ってるんだ‥」

「でも、杖ってどんな種類があるのかな?」

「学校で習うんじゃね?」

すると、奥のほうから店主の声が聞こえてくる。

「いらっしゃ~い。何買ってくかい~」

いかにも店主らしい男性の低い声。だいぶ年を重ねているようだ。



「えっと‥この杖はどうやって使うんですか?」

ユウカが目の前にあった杖を持ち上げて尋ねる。

「お主‥そんなことも知らんのか。

 そういえば、お前さんたちここらで見らん顔だな‥」

「ああ、僕たち下界からやってきました」

「はああ?げげげ、下界いい~」

めちゃくちゃ驚いている。

「な、何かいけないことでも言いました?そんな驚くようなことなんですか?」

「何って、下界からとか、滅多に来ないんやぞ」

「・・・・・」

「お前ら‥いつ来たんや‥。相当ここについて知らんと見えるがな」

「今日です。今日、気づいたら、ここの魔法学校の2階のベッドに

 横たわっていました」

「なるほどな、やっとお主たちについて理解できたわい~。

 いや、待てよ。その前にお主ら上級魔術師、5級以上なのか?」



「いいえ」

「じゃあ、なんでここにいるんじゃ」

「偶然というかなんというか‥上手くは説明できませんが、ここでしか治療できないような傷を下界で負ってしまいまして‥」

「下界で、何があっとったんや?」

「バトルです。上級魔術師同士の。そこで、たまたま攻撃の犠牲になったわけです」

「なるほどな‥」

「まあ、ええわ。ちょっと孫を呼んでくるわ、ちょっとまっとれ」



「お~いヒロ!ヒロ~」

おそらく、2階にいるのであろうヒロという人を呼ぶ声が聞こえる。



「下界って、そんなに珍しいのかな?」

「何せ、1年に100人くらいだから、中界の人にとっては珍しいんじゃない?」



「ごめん、待たせた?」

いかにも魔術師の子供といったような雰囲気が伝わってくる、少し丸い黒いめがね。

しかし、髪はあまりケンと変わらない男子。年は同じか、1つ2つ上だろうか。



「いや、そんなに‥」

「初めまして。俺は、第1エリアの魔法学校、5年生のヒロ。」



「初めまして。僕たち今日、下界から来ました。

 明日からそこの魔法学校の5年生に入ることになります」



「!ということは明日から一緒のクラスじゃん

 いや~一足先に転校生知ちゃったね‥。

 ということで、よろしく!」



「こちらこそ!」

ケンが言う。



「せっかく僕のおじいちゃんの店に来てくれたことだし、まずは下界にはない

 これらの杖について説明するよ」



「ぜひ、お願い!」

‥ユウカって、こんなに好奇心旺盛だったっけ?



「まずこのどこにでもあるような細長い黒の杖について説明するよ。

 これは中界でいうところのもっとも基本の杖。誰でも最初はこれを買う。

 そこで、魔術の基礎を習得して、いろんな個性ある杖を買っていくんだ

 でも、もちろん杖を使わなくても魔法は使えるけど、使うと術を出しやすかったり、

 より強力になったりするんだ」



「へえ~」

「それ、ついでにいくら?」



「10万ルート。でも、杖の中ではこれが一番安いんだ。中古品を除いては」



「なんか‥めっちゃ高いような気がする‥いや、高いけど」



「うん、杖は言うまでもなく、ただの棒じゃないから‥

 丈夫な棒に、特殊な魔法をかけると杖になるってだれか言ってたけど

 詳しいことは知らない、でもその魔法は、相当高レベルらしいけど」



「ふ~ん」

なるほど‥。 初めて中界に来て新鮮さを感じた。

下界にはないものと考えるだけで、得体のしれない優越感がわいてくる。

‥『衆議院の優越』‥考えるのはここで止めておこう。



「そしてこの隣の、形に個性がある杖は水タイプの人に比較的合ったやつ。

 作る時点の素材や形、魔術によって個性、つまり属性が決まる。

 この杖の場合は水らしい」



「じゃあ、こっちのかくかくしたのは?」



「それは属性、雷。まだまだ奥にもいろんな種類の杖があるよ。見てみる?」



「ぜひ、見させてください!」

ユウカ、即答。

そうして、店の奥の少しくらい部屋の中に移動する。

ヒロが明りをつける。

すると、いままで暗くて見えなかった、たくさんの杖の入った棚が奥まで続いているのが分かる。予想以上に広い部屋だった。



「まあ、こんな感じでたくさんのストックがあるんだけど‥。ちょっとついてきて」

そう言われ、部屋の奥へと案内される。

「こんなことはお客さんには滅多に言わないんだけど、うちの店には昔、上界を統率していた、つまりとても偉い人が使っていたとされる杖があるんだ。20万年前くらいからあるってって言われてる。 どうぞ、この部屋に」

もっと奥に案内される。

「この店‥広いね‥」

思わず、この店の第一印象を言ってしまう。まあ、悪口とかではないので別に

いいのだが。 部屋は、さっきの部屋の10分の1ぐらいだろうか。

4畳半ぐらいと例えると分かりやすいかもしれない。飾りはなにもない。

その代わりに真ん中の台の上に1つの少し大きめの箱が置いてある。



「見ての通り、これがその伝説の杖」

「開けてみるよ」



部屋が急に青色で染められる。杖の上の部分に何やら、青色に輝く小さな

石のようなものがはまっている。はっきりいって美しい。



「この輝く石は‥」



「ああ、これはマジックストーンって中界の人は呼んでる。世界にそれぞれの

 属性に1つのストーンがあるらしい。つまり、全部で10個あるって

 伝説書に書いてあった。この場合は、杖にはまっているけど。

 でも‥上界の90エリア以上までいける力がないと多分、使えない」



「・・・・・」



「そんな代物がなぜここに‥」



「何せ、20万年前のことだから、一言で表すと‥何も分からない」



「まあ、無理もないね~」

「確かに」



「じゃあ、杖の説明についてはこれくらいにしておいて、次はこの島を案内するよ」



「え!ホントにいいの?」



「もちろん」



「僕もここを案内したくて、うずうずしてたし」



「じゃあ、お言葉に甘えて」

ケンが紳士口調で言う。

店を出ると、相変わらず外はいろんな声が飛び交っている。



「じゃあ、まずはすぐそこにある船着き場を案内するよ」



港に行くまで、さらに人口密度が増えたような気がする。町の人の4分の1程度は

あの魔法教師のように黒い大きなマントのようなものを肩に身につけている。

おそらく、上のエリアに上がるために修行、もしくは学校に通っているのだろう。



海の匂いがする。久しぶりだ。前に海に行ったのはいつだっただろうか。



「さあ、着いたよ」

ここも、たくさんの人で賑わっている。

「きれいな港だな‥向こうにはビーチが見えるけど‥」



「ああ、港の横には、この島唯一のビーチがあるんだ」



船の乗り降り場では漁師が忙しそうに荷物を運ぶ姿が見られる。出ていく船、港に

入る船、とても忙しそうだが活気ある港だ。もちろん港の反対側にはイタリア感

満載のおしゃれな店が並んでいる。

船は、大きいもので15~20mぐらいだろうか。だいたい15隻ぐらい並んでいる。

「ここの海は、とてもきれいで、プランクトンなんかも豊富にいるから、

 魚がたくさん捕れるんだ。そしてちょうどいまが漁師にとって、

 夏の一番忙しい時期だと思うよ」



「なんか‥ガイドさんみたい」

ユウカが何気なく言う。確かに、魚の旬の時期を知っているなど、

ここのガイドになってもいいかもしれない。



「ん?なんか遠くのほうにうっすら山のようなものが見えるけど‥

 あれ何か知ってる?ヒロ」



「ああ、あれは第2エリアの大陸、アルベルク。2,3,4,5,6エリアの大陸は1つになっているって聞いたことがあるけど‥今見えてるのは多分第2エリアじゃないかな‥

 ここの魔法学校であと1年と半年過ごせば船に乗って第2エリアに行く許可が下りる。

1週間にだいたい5往復くらいあそこまでの船の便がで出るらしいけど‥」



「ついでに、その辺にいる漁師さんたちは第2エリアにいけるの?」



「ああ、いけると思うよ。僕たちと同じ年の頃ここの魔法学校を卒業してるから。

 この中界にいる人たちは全員最初はここの魔法学校を出ることになってるんだ。

 まあ、その代わり第1エリアだけ子供の割合が大きいけど」



「納得納得‥」

まあ、教育に関しては下界とそんなに変わらないが、学校に入る年齢制限がないのがいい。



「この第1エリアのあとはどうなるの?」

ユウカが聞く。



「んっと‥確か第1エリア以降はこういう学校はないと聞いてる。

 その代わりにエリアを通り過ぎる時に魔法の試験があるけど」



「魔法の試験?」



「うん、上の層に行くにつれ強いモンスターがいて‥

 それに十分対応していけるようにエリアごとに上界から監査委員会が配置されてる。

 そこで魔術を披露するんだ。そこで、そのエリアの合格基準に達せば通れる」



「じゃあ、そこのアルベルクにはモンスターとかいるの?」



「いや、アルベルクにはいない。でも第7エリアから少しずつモンスターがいるって」



「じゃあ、とりあえず第6エリアを抜けるまでま安全だね」



「うん。じゃあ、港の観光も終わったことだし、次は僕のお勧めスポットに

 連れて行くよ。ちょっと遠いけど我慢してね」



「ちょっとってどのくらい?」



「え~と、ここから山の上だから‥歩いて約30分くらい」



「・・・・自転車とかないの?」



「あるけど‥僕の分1台しかない」





道路を外れて歩くこと20分。

「はあ、はあ」

「きっつ!」

どこまで続くんだというような長い坂があらわれては後ろに消え、またあらわれる。

いくら陸上部でも、こんな急な坂を毎日上り下りしているわけではない。

だんだん足の回転が遅くなる。そして、たまに大きな石が山道をふさいでいる。

そのたびに石を乗り越え、さらに足の回転が遅くなる。



「がんばれ!もう少しで着くよ」



30mくらいだろうか。向こうから太陽の眩しい光が差し込んでいる。

あとちょっと! 自分に言い聞かせながら、最後の1段を踏む。



「着いた~!」

「疲れた‥」

ようやく山頂に出る。ヒロはあまり疲れを見せていない。

おそらくいつも来ているからだろう。



「ここから、島全体が見えるよ」



「うわ~きれい!」

「山登るの久しぶりだけど‥やっぱいいな~」

きつい山を登った後の颯快感。これを感じるのはいつ以来だろうか。

体全体を包むような清々しい風。空を見上げると2つの太陽。

2つの太陽が僕を上界へ呼んでいるような気がした。

下のほうには、きらきらきらめく海。そしてイタリア風の街並み。

これからここで1年半過ごしていくことを想像するととてもわくわくする。

目線を戻すと海の向こうにアルベルクが見える。まずは、あそこを目指して頑張ろう!

そう自分に言い聞かせる。



「あ!魔法学校だ!ほらあそこ」

ユウカがアルベルクの方角の右下を指す。

「ホントだ!ってあんなに大きかったけ?」



「そういえば‥カイ達まだ学校の見学してなかった?」



「うん、食堂と2階のベットがある部屋にしか行ってない‥」



「じゃあ、明日、学校の中も案内するよ。僕でよければ」



「ぜひよろしく!」

こうして、カイ達は明日もヒロにお世話になることに。

「本当に今日はありがとう。今から学校で入学手続きとかをすることになってるから

 今日はこの辺で」



「こちらこそ、観光をさせてもらってうれしいよ」



気づくと島全体がオレンジ色に。太陽が赤く染まり始めている。

「ねえユウカ‥オンラインゲームって知ってる?」

「うん。GKOとか‥CRPとかいろいろあったような気がしたけど‥」

「‥それらのゲームよりも絶対今見てる景色、感じる風のほうが
 きっと、ずっと繊細で美しいんだろうな‥」

「そりゃね‥」



島が2つの太陽に照らされ、一段と赤くなる。
本当に美しいとしか言いようのない景色。多分、僕はこの景色を一生忘れないだろう。
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