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最終章 最終決戦だヒャッハーな件
俺、戦線復帰!
しおりを挟む目の前の壁が溶け出した時には「あ、もしかしてコレやばいやつ?」とか思って戦々恐々としたが、いざフタを開けてみればシータさんだった件。たぶん友瀬印のやばい薬品でも使ったんだろう。
そのシータさんだが、目を丸くしたまま動きがない。
「………………リュージ?」
「おう」
呼ばれたので、とりあえず返事。彼女はとても戸惑っているようだった。まるで決死の覚悟で飛び込んだ先に予想外のものがあったような感じ。まあ俺も驚いてるけど。
「えーっと……体、埋まってますけど大丈夫ですの?」
「動けないからストレス溜まるけど、ミイラにはならなさそーだから問題ない」
「そうですか。…………ではなくて! 何故リュージがここに居るのですか!?」
おおう。見事なノリツッコミ! ……何故かと問われれば、『成り行き』としか言いようが無いんだが。
「まあ、城にいた頃の馴染みを人質にとられちまったからなー……」
「そう、なのですか……」
「で、いまどーいう状況なん? 二足歩行の何かに乗せられてるっつーのはわかるんだが……」
なんかウィーンウィーンガションガションいってるのが聞こえるに、ロボ的な……いや、まさか。ここはファンタジー世界だぞ、ゴーレム的なやつだろ常考。
「それは――いえ、後にしましょう。今はリュージを解放するのが先です!」
そして呼び出されるコボルト君ちゃんさん。この石のように硬いコアを割るには、シータじゃ力不足だもんな。人質にされているヴァルさんたちの事は……あとで考えよう、うん。これは不可抗力なのだ。俺、悪くない。アルスター王をボコってから考えよう。
……あ、チョイ待ち。
「シータ。やる前に一つだけ確認いいか?」
「なんですの?」
この非常時になんだと多少イラついた様子で返してきたシータ。いや、こっちも重要事項だから!
「……このコア壊したら、俺も四散するとか無いよな?」
「はい? 意味がわかりませんが」
「いや、ほら。氷に閉じ込めた敵とかを、氷ごと砕く的なトドメの刺し方あるじゃん?」
氷でこそないが、今の俺は似たような状態なワケで……。
「氷と石ではまた違う気がしますが。体が石化していないのならば大丈夫ですわよ」
「そ、そうか……」
イマイチ不安だが、体に異常は感じられないからきっと大丈夫、だ。うん。いざとなったら新名辺りもどっかに居るだろうからなんとかなるさー。ナルヨネ……?
俺の心配をよそに、コボルト君ちゃんさんの棍棒の一撃はてきめんで、すぐに体が自由に動かせるようになった。ありがたい。あとよかった四散しなくて。
コアはというと、砕けて半分くらいの大きさになっている。が、まだ稼働しているようだ。完全に砕かないと意味がないのかもしれない。
「では、急いで脱出を――」
シータに促され、彼女が開けた穴から脱出しようとしたまさにその時。床が一際大きくグラついた。空中に放り出されそうになったシータの手を慌てて引き寄せる。
「きゃっ」
「うぉっ!?」
勢いが付きすぎて抱き込んでしまった挙句、俺の体が盛大に壁へ体当たりする事になったが、彼女には傷一つ無い。
「いってぇー」
「……あ、その。リュージ、ありがとうございます」
「シータにケガがなくて何より。それにしても何なんだよ、急に!」
『何を企んでいるかと思えば……逃さぬ! 逃さぬぞぉ、邪神!』
恨みがましいアルスター王の声が響いた。お前の声の方がよっぽど邪神っぽいわ! てか、どこにいやがる!?
「ここで追求しても無駄ですわ。とにかく脱出を!」
「りょうかいっ」
彼女を抱きかかえたまま、穴の外を見下ろす。…………結構な高さがあるんですけどぉ!? え、シータさんこの高さをクライミングしてきたの!?
ちなみに俺が乗せられていたのは、紛れも無い正真正銘のロボ。その背中についた拡張部分のような場所だった。
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