異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件【改訂版】

ぽて

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4章 魔術大国に行ってみる件

新メンバーはぷるっぷるです。

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 ふとステータスを見たらスキル『剣術』がいつの間にか解禁されてた件。

「どうやらさっきのは剣術スキルの受け流しっていう技らしい」

 重心を逸らして敵の攻撃威力を削ぐだけじゃなくて、隙を生み出すというお得技だそうだ。
 あとね俺の剣術スキル、刀専用なんだと。…………職業補正ナシの件といい、異世界文字の件といい、ほんとハードモードやめろや。俺が刀選ばなかったらどうしてたんだよ!!

「他にもなんか技があるみたいだな」
「大器晩成してきたということでしょうか?」
「相変わらず職業補正はねーけど、その辺りは龍の宝玉が補ってくれてるみてーだし、そうかもな」
「良かったではありませんか」
「うーん……」

 まぁ、これで戦いの時に足手まといになる事はなくなったんだが、なーんかちょっと不安だな。独学だからか? 俺、今まで武術的なの習ったことねーし。体育の選択で剣道選んだくらいしかねーわ。竹刀の持ち方と振り方くらいしかシラネ。右手は添えるだけ、的な。

「誰かに師事すべきなんかねー……」

 これは……俺の旅・修行編が始まってしまう流れか?

「あら、現状でも割と様になっていると思いますわよ?」

 シータさんってば嬉しいことを言ってくれる。むぅ、単に俺の心の問題なのかもしれない。ま、今はダンジョン攻略に集中しますか!





 一際立派な装飾を施された扉を前に、俺たちは最後の確認をしていた。

「このダンジョンのボスは中級のリッチだそうですわ」

 リッチ? 金持ちがどうしてこんな場所にいるんだ? とかボケたりしないぞ。こんだけアンデットがひしめいてるダンジョンでリッチといえばアレだアレ。なんか魔法使う幽霊の親玉みたいなヤツ。あれ? 魔法使うゾンビだったっけか?

 まぁ、どっちにしろ俺の刀の錆にしてやるさ! 実体があろうがなかろうが、うちの相棒は気にしないからな!!

「取り巻きなんかもいそうだよなー。魔法使い系はどんだけ敵を遠ざけられるかが勝負みたいなところあるし」
「とりわけここは中級ダンジョンですので、数も多いと思われますわ。ですので――」

 そこで一拍おいてフフン! と胸を張るシータさん。ただでさえでっかい胸がさらに強調されている……ごくり。

「今回は使役モンスターを増やしますわ!」

 おー、ここに来ての戦力増強か。今度はどんなかわいいアニマルズが加わるんだろうな。


 ――と、思ってたら。
 人の身長ほどもある丸い水まんじゅうのようなぷるるんボディに、つぶらな二つの瞳。その姿はまごう事なく。

「スライムかよ!」
「私的モンスターランキング第三位。スライムのスラリ――」
「――ダメだシータ。それ以上はいけない」
「……何故ですの」 

 決め台詞を邪魔されてご不満のシータ。だがそれ以上はいけないのだ。某有名RPGと被ってしまうからな。

「ちなみにどの辺りが第三位?」

 いや、かわいいし癒しなんだが、ゲームとかだと雑魚扱いじゃん? スライムって。

「まず生半可な物理攻撃はものともしません!」

 そーなのかー。なんか鋭いものを刺したら破れて中身が溢れて来そうな見た目だが、違うんだな。

「次に敵がどんなに硬くとも一旦飲み込んでしまえば容赦無く溶かします!」

 え、エグい……。

「――あ。溶かすかどうかはこの子の意思で決められるので、誤飲しても安心ですことよ」

 それ、敵認定されたらアウトって事ですよねー。そして誤飲する可能性があるんかい! ……ますますシータさんには逆らえん。いや、まあ今までそんな状況になった事ねーけどさ。

「今まで幾多の兵士や騎士たちに挑まれましたが、この子は立派に露払いを務めてくれました……――おかげで最初は手のひらサイズだったこの子も、いつの間にかこんなにビッグなサイズに!」

 とろんとした目つきで語るシータさん。いやいやいや――

「――いつの間にか成長してたってレベルの縮尺じゃないよな、これ!?」


 今日の教訓。スライムやばい。



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