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2章 冒険者ギルドに入ってみる件
衣装ちぇーんじ!
しおりを挟む朝イチ。
俺たちは服屋に来ていた。俺の学ランにしても、シータのドレスにしても悪目立ちするからなぁ。早く変えるに越したことはない。だが――
「新しく仕立てるなら銀貨一枚からになるよ」
「……むう、意外と高いですわね」
昨日の報酬が最低限必要なのか……。服って実はお高い買い物なんだな。昨日は晩飯外で済ませちまったから微妙に足りないぞ。
「予算的に厳しいなら古着をお勧めするがね」
日本にいる時は古着なんて全く縁が無かったんだが、郷に入っては郷に従えってやつか。この世界では新しく服を仕立てるのは、金持ちか何かしらの記念日が控えてるヤツくらいなんだと。
「今は目立つ服装を何とかするのが先だし、仕方ないか」
「ですわね。先立つ物が無いのだから仕方ありませんわ」
最終的に俺は一般的な旅人の服一式――赤いチュニックに白いシャツと茶色のズボン、それにブーツ、マントのオーソドックスなスタイルになった。これで物珍しげな視線ともオサラバだ。シータも華美さは無いものの似たような感じだ。紫色のマントに白のシャツとスカートに絶対領域ニーソと紫のブーツ。ワンポイントに胸元には水色のネクタイというスタイル。意外だったのはお嬢様育ちであろう彼女が服の素材にあまり文句を言わなかった事。彼女も郷に入って郷に従ったんだろうか?
ちなみに森羅万象に鑑定機能があるのを活用して、徹底的に値切らせていただいた。すまんね、服屋のオヤジよ。
だって無い袖は振れないんだよなー。
服を売れ? 却下だ。
俺は日本に帰る気満々なので学ランを売るわけにはいかんのだ。あれ、オーダーメイドだから意外と高いらしい。お袋がぼやいてたのを聞いた覚えがある。三年間着ることを考えたら安いんだろうけどなぁ。
あと、シータのドレスは高価すぎて店に買い取り拒否された。支払いするだけで店が傾きかねない服って何なん? しかし俺は知っている。あのドレスと似たり寄ったりなのが、彼女のプライベートルームに少なくとも十着以上はあることを……。ダンマスってそんなに儲かるのか?
*
「今日のお仕事一覧は何があるんだろうなー」
「買い物代行があったらリベンジしてやりますわ!」
意気揚々とギルドへ向かった俺たちを待っていたのは――
「おや、今日はずいぶんとらしい(・・・)格好になったじゃないかい」
もちろん受付のおばちゃんである。やっぱ昨日の出で立ちはアレだったんすね……。つーても俺は着の身着のままだったし、シータのドレスもあれが一番質素だったんすよ、おばちゃん。
「今日あんたたちが受けられるのはコレになるよ」
おばちゃんから渡された依頼の束。昨日より増えていて、着実にステップアップしているのを感じる。……これが充実感というやつか!
「単に今日の依頼が多いだけなのでは?」
「現実的なツッコミ禁止ィ!」
悲しくなるだろ!!
まあそれはともかく今日のお仕事だ。なになに……。
「街はずれのネルドさんちの草刈りに、雑貨屋の荷下ろし、エール農場の草刈りに、住宅区のラルドさんの買い物代行、中央公園の草刈り……」
草刈りの割合多っ!
そして今日も買い物代行依頼があったので、シータはガッツポーズをしていた。リベンジマッチがそんなに嬉しいか。
「草刈りに関しては、昨日の兄ちゃんの仕事振りが評判になっててね。たぶんこれから増えてくるんじゃないかねえ」
おおう、俺の日本人気質バリバリの仕事振りが早速評価されているだと!
……しっかし、そんなに雑草に困ってる家が多いのかよこの街。…………もういっそのこと熱湯か塩でも振りまいて不毛の地にでもしてやった方が良いのでは? と思ったが、草抜きじゃなくて草刈りなんだよなぁ。全滅させては元も子もない。ある程度残さないと見栄えが悪いもんなぁ……。
「農場みたいな広い所はまだ不安があるし、街はずれのネルドさんちにしとくか……」
さあ、今日も借金返済のためにお仕事頑張りますか!
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