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思惑は交錯して
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連れて行かれたのは、簡素なマンションの一室。インテリアはベッドと一脚の椅子、大きな全身鏡、ベッドに向けて設置された、スマホ用の三脚スタンドだけ。
景観はそっけないのに、ここで幾人もの男女が交わったのであろう、濃密で不快な性の匂いが立ちこめている。
これから自分の身になにが起きるのかは車内で予告されていたが、朱夏は改めてぞくりとした恐怖を覚えた。
「じゃ、さっさと準備して」
「はい」
涼音は高みの見物だという風に一脚しかない椅子に脚を組んで座り、ふたりの男に指示を出す。
従順に返事をした彼らのうち、柄シャツの男は三脚にスマホを設置して撮影の準備を始める。もうひとり、色白でモノトーンの服に身を包んだ細身の男は朱夏の手首を強い力で引いて、ベッドに転がした。
ギシッと音を立ててベッドに乗ってきた男が、朱夏に顔を近づける。どれほど凶暴で下卑た目をしているのだろうと思うと怖くて、朱夏がその目を見られずに小さく体を震わせていたその時。
「もう少しだけ、辛抱してください」
耳元に響いたのは、意外にも冷静な声だった。彼はそれだけ言うとベッドから退き、涼音の脇に控える。
彼は何者なのだろう。涼音の仲間ではないのだろうか。
わけがわからず朱夏が呆然としていると、スマホの前にいた男が「OKです」と涼音に報告する。
不気味なほどにっこりと満面の笑みを浮かべた涼音は、部屋の入り口で腕組みをしながら傍観していた岡崎に目配せをした。
涼やかだった岡崎の目に濁った光が宿り、ゆったりベッドに近づいてくる。途中でスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイも外した。そしてワイシャツのボタンに手を掛けながら、ベッドに上がる。
朱夏はシーツの上をずりずりと後退したが、すぐに岡崎の手に捕まり、乱暴に組み敷かれた。シャツの前をはだけさせた岡崎はすでに、肩が上下するほどに息を荒くしている。
「朱夏……」
愛おしそうに名前を呼ばれたが、愛情というより狂気を感じた。彼は舐めまわすような目で朱夏の体を眺め、服の上からゆっくりその輪郭をなぞる。
服の内側で肌を粟立たせた朱夏は、なにも感じないようわざと自分の下唇を思い切り噛んだ。鉄の味が、口の中に流れ込む。
「そんなに反抗的な目をするなよ。すぐによくしてやる」
吐息をたっぷり含ませた声で告げた岡崎が、朱夏のブラウスの内側に硬い手のひらを差し込んだ。
景観はそっけないのに、ここで幾人もの男女が交わったのであろう、濃密で不快な性の匂いが立ちこめている。
これから自分の身になにが起きるのかは車内で予告されていたが、朱夏は改めてぞくりとした恐怖を覚えた。
「じゃ、さっさと準備して」
「はい」
涼音は高みの見物だという風に一脚しかない椅子に脚を組んで座り、ふたりの男に指示を出す。
従順に返事をした彼らのうち、柄シャツの男は三脚にスマホを設置して撮影の準備を始める。もうひとり、色白でモノトーンの服に身を包んだ細身の男は朱夏の手首を強い力で引いて、ベッドに転がした。
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「朱夏……」
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「そんなに反抗的な目をするなよ。すぐによくしてやる」
吐息をたっぷり含ませた声で告げた岡崎が、朱夏のブラウスの内側に硬い手のひらを差し込んだ。
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