曖昧なパフューム

宝月なごみ

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未熟な関係

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 貴人の中には、忠犬以上の気持ちが滲みだしていた。しかしそんなことを知る由もない朱夏は、長い髪をかき上げ、気分を変えるように言う。

『傘ならあるわ。買い物、一緒に行こうか? 今、服を着るから――』
『……行かない』
『え?』
『放っておけないよ。本当は今でも泣いてる朱夏さんの心と……満たされない体を』

 貴人は切なげにつぶやくと、ベッドに歩み寄って、膝からその上に乗った。ぎしりとベッドを軋ませながら、四つん這いで彼女に接近する。

 どきりとした朱夏は胸もとを隠すブランケットをますますギュッと握りしめたが、貴人の端整な顔がすぐ目の前まで迫っていた。

『た、貴人くん?』
『さっき、ちゃんと気持ちよくなれなかったでしょう? 手伝います、俺』
『手伝うって……なに、言って』

 戸惑いに瞳を揺らす朱夏の頬に、貴人はスッと手を添える

『朱夏さんは、ただ俺に身を委ねて、感じて。どんなに泣いても、どんなに乱れてもいいですから』
『そんなこと言われたって困――』

 拒もうとした朱夏の唇を、貴人はキスでふさいだ。唇同士を優しく触れ合わせ、一旦離したかと思うと、顔の角度を変えて、食むようなキスを何度も繰り返す。

『は、ん……やめ、て……』
『そんな濡れた声で言われたって、説得力ないです。……もっとしよ、キス』

 貴人はゆっくり朱夏をベッドに押し倒しながら、無理やりこじ開けた唇の隙間から舌を差し入れ、朱夏の口内をまさぐった。

 熱くてねっとりとした粘膜は淫らな味がして、貴人はわざと音を立てて、滴る唾液を啜った。

 薄っすら瞳を開けると、朱夏は苦しげに眉根を寄せ、必死で貴人のキス受け止めている。

 かわいい。年上の女性に失礼かもしれないが、かわいいものはかわいい。貴人は胸の内で悶える。

 彼女の甘い舌を吸いながら、ブランケットに手を掛けて、剥ぐ。現れたふたつの双丘は丸くぷるんと張りがあって、その先端は硬く立ち上がっていた。

 貴人は手のひらでゆっくり全体を揉み解しながら、指先で軽く先端をぐに、と押す。朱夏の体に、びりびりと甘い電流が走って、体が浮いた。

『んっ、やっ』
『さっき、自分で弄ったから? それともキスしただけでこうなったの?』

 耳もとでささやくように質問しながら、両手で円を描くようにふたつの乳首を転がす貴人。朱夏の体が小刻みに震え、か細い声がこぼれる。

『知らな……あっ、や、ダメ』

 首をフルフル振って快感に耐える朱夏がいじらしい。ますますぴんと勃った尖りを、ぎゅう、と摘まみ、その片方に唇を寄せて吸いついた。

『あんっ』
『また硬くなった。……朱夏さん、気持ちい?』
『や、聞かない、で……』
『まぁ聞かなくてもわかるけど。……いっぱいびくびくして、かわいい』

 喋る貴人の吐息がかかるだけで、朱夏は目眩に襲われた。自然と太股を擦り合わせる仕草をした彼女に、胸もとでチロチロと乳首を舐めていた貴人が、上目遣いで尋ねる。

『触ってほしいですか? こっちも』

 熱い手のひらを下へ下へと、もったいつけるようにゆっくりと移動させる。朱夏は唇をきゅっと噛みなにも答えないが、その腰は悩ましくくねって、欲しいと訴えていた。

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