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再会と急接近
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料理はどれもやはり懐かしい味だった。それがふたりの間に横たわる三年間の溝を少しずつ埋めてくれ、アルコールの効果も手伝って会話が弾んだ。
「ところで、進んでますか? ナチュール・デコレ独自の〝日本の四季〟を表現する新たなフレグランスの開発」
貴人がグラスにミードを追加しながら、朱夏に問いかける。
「ええ、順調に進んでる。でも、他社が出しているものとハッキリ差別化できているかというと、実は自信がない。どこか妥協してしまっているかも……」
「妥協? 朱夏さんらしくもない」
そう言ってグラスに口を付ける貴人はどこか不満そうで、朱夏は苦笑した。
「今、チームの皆とちょっとうまく噛み合ってなくて……。私がダメ出しする度に、さらにみんなとの距離が広がっていく感覚なのよね。会社は仲良しごっこをする場所じゃないんだから、そんなこと気にせず、リーダーとして完璧な香りを追求しなきゃってわかってるんだけど」
チームの社員たちから煙たがられているのは、朱夏自身気がついていた。
仕事なのだから、別に嫌われたって構わない。そんな強い気持ちでいられたのは最初だけで、自分に対して嫌な感情を持っている人間が多いというのは、思った以上に息苦しいものだった。
「今のチームメンバーって、どういう観点で集められたんですか?」
「誰が決めたのかは私も知らないんだけど……。正直、色々な部署からの寄せ集め的な感じはあるかな。もちろん、やる気も実力もある社員もいるけれど、不本意な異動だった人もいると思う」
眉を曇らせながら語る朱夏に、貴人の表情も険しくなる。
「ずいぶん適当ですね……。ナチュール・デコレのフレグランスは日本製で高品質、そして、今回の〝四季〟のような抽象的なテーマにの香りを売りに、この短い間で着実にファンを増やしている期待の商品です。人事について、俺からも少し担当者に話しておきます」
「ありがとう。なんだか専務さんに告げ口したみたいになっちゃったわね」
朱夏はホッとしつつも罪悪感を滲ませ、貴人にそう言った。
「いえ。たとえ会社員でも、希望の部署でやりたいことをやるって、モチベーションになりますしとても大事です。もちろん、耐えなきゃいけない場合も多いですけど……今の朱夏さんのチームに関しては、一度人を入れ替えて風通しを良くした方がよさそうだ」
風通し――。それはずっと息苦しかった朱夏が、一番求めていたものだった。
今の研究室は、チームの社員たちが自分に向けてくるマイナスの感情が不純物となって空気に混じり、呼吸するたびに肺を蝕まれる気分だったから。
「ところで、進んでますか? ナチュール・デコレ独自の〝日本の四季〟を表現する新たなフレグランスの開発」
貴人がグラスにミードを追加しながら、朱夏に問いかける。
「ええ、順調に進んでる。でも、他社が出しているものとハッキリ差別化できているかというと、実は自信がない。どこか妥協してしまっているかも……」
「妥協? 朱夏さんらしくもない」
そう言ってグラスに口を付ける貴人はどこか不満そうで、朱夏は苦笑した。
「今、チームの皆とちょっとうまく噛み合ってなくて……。私がダメ出しする度に、さらにみんなとの距離が広がっていく感覚なのよね。会社は仲良しごっこをする場所じゃないんだから、そんなこと気にせず、リーダーとして完璧な香りを追求しなきゃってわかってるんだけど」
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「今のチームメンバーって、どういう観点で集められたんですか?」
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「ずいぶん適当ですね……。ナチュール・デコレのフレグランスは日本製で高品質、そして、今回の〝四季〟のような抽象的なテーマにの香りを売りに、この短い間で着実にファンを増やしている期待の商品です。人事について、俺からも少し担当者に話しておきます」
「ありがとう。なんだか専務さんに告げ口したみたいになっちゃったわね」
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「いえ。たとえ会社員でも、希望の部署でやりたいことをやるって、モチベーションになりますしとても大事です。もちろん、耐えなきゃいけない場合も多いですけど……今の朱夏さんのチームに関しては、一度人を入れ替えて風通しを良くした方がよさそうだ」
風通し――。それはずっと息苦しかった朱夏が、一番求めていたものだった。
今の研究室は、チームの社員たちが自分に向けてくるマイナスの感情が不純物となって空気に混じり、呼吸するたびに肺を蝕まれる気分だったから。
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