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三年生
それぞれの道
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練習試合が終わって、少し経った。
「色々な人が居ましたね!」
ゆめさんが笑顔でそう言った。
「ね!私は、相手の人とお話してて、考えもしっかりして凄いなって思った。」
「実際に相手の方と…。見え方が違いそう。」
「多分、違ったよ!とてもドキドキしたけど、相手の方の後押ししてあげたいと思った。」
「だけど…。」
少し暗くなる。
「ふらお姉さんは頑張ってましたよ!その姿が見てて励まされました!」
「ありがとう…」
「でも…。」
「でも?」
ふらさんは首を傾げる。
「他の試合を見たりしてました。ずっとふら先輩の対戦は見てなかったです。
ごめんなさい。」
「ううん。いいんだよ!ゆめちゃんの言葉に私も励まされたから!」
「やっぱり、ふらお姉ちゃん!ですね!」
「私、どっちかって言うと頼りないって言われるけど…」
「他の人にとってはそうかもしれないですけど、私にとっては頼りになるお姉ちゃんです!」
「ありがとう!ゆめちゃんは明るいね!」
2人は笑顔で見つめあった。
僕は2人が、それ程仲がいいんだなと心の中で思う。
ところで、ふらさんと言えば、同級生のみおさん。
今、することは頑張りながら、計画をたてたり少しずつ実行しているらしい。
最近、3年生の教室に来て、アンケートを取っていた。
そして、もう少しで生徒会選挙がある。
彼女が生徒会長になるのか、他の人がなるのか…。
なるべく、いい人がなって欲しいところである。
「ぶんたくん。」
僕はその声の方を見る。
「すすむくん、どうしたの?」
「ちょっと話さない?」
「いいよ。」
そして、人気がないところにつくと言った。
「すすむくん、話って何かな?」
「そろそろ、試合が始まるね。」
「だね。」
「それが終わったら部活卒業。思想学部はどうするんだろう?」
「分からない。だけど、みんななら大丈夫なんじゃないかな?」
「確かにね。」
すすむくんはそれ以上、そのことについて話さなかった。
「ところで、シソウくんどうしてるんだろう。」
「昔居た、留学生の人?そういえば母国で大変なことが起こってるって言ってたね。」
「うん。でも、きっと大丈夫だと思うんだ。彼らにいい事がおこってるって。」
「そうだったらいいね。」
「うん。もし、起こらなくても、未来にきっと‥。」
─────────
「トモさん、思ったことがあるんだけど。」
「少し前に言ってた、食べ物のみたいな話?」
「なんだっけ、それ?」
「忘れたんだ。好きなもの沢山食べたいって。」
「意外と普通のこと言ってたね。」
「でも、その理由が普通じゃないかも。」
トモさんは続けて言う。
「沢山食べたら、少し嫌いになれるからって。好きな食べ物を減らせるって。」
「なるほど。」
「変わってるよね。好きな食べ物を嫌いになりたいって。」
「そうかもしれないけど。僕がしようと思ってるのはその話じゃないよ。」
「何かな?」
その時、シソウの頭の中に、言葉が浮かんできた。
何度も間違いを繰り返してもいい。ただ、君の進みたい方向に進めているのなら…。
そうであるのなら、その間違いは間違いじゃない。
それは、きっかけをくれた人の言葉。
大事な大事な1つの言葉。
「またいつか、行ってみたいんだ。」
「留学先?」
「うん。僕はまだ、学ぶことが沢山あると思うから。」
「そう…。私もまた行ってみたいな。」
「うん。一緒に行こう。」
シソウは彼女の方に手を差し出す。
「そうしよう。」
そして思った。
これから何かが変わると思う。僕の中の歯車が少しずついい方へ進んでいる。
きっと…きっと大丈夫。
───────
「みおさん。」
にわのは彼女にそっと近付いた。
「何でしょう?」
「頑張ってるね。噂で聞いたけど、みおさん明るくて見ると元気になれるって。」
「ありがとうございます!」
「あの!」
「どうしたの?」
「最近、考えてることがあって!」
「何かな?」
「ぬいぐるみテロを起こそうと思って!」
「!?」
「冗談ですけど!」
みおさんは笑顔でそう言った。
「ちなみにどんなものなの?」
「可愛いものを可愛いものって思おう!みたいな!
自分の気持ちに正直に!」
「ふ~ん…。私はいいと思うよ!」
「ありがとうございます!おじいちゃんにこれを言ったら、ほっほっほって!」
「そうなんだ!仲良さそう!」
「はい!仲良いですよ!」
「そう、それは良かった。」
それから、にわのは「これから期待してるね!」と言う。
「はい!」
──────
「色々な人が居ましたね!」
ゆめさんが笑顔でそう言った。
「ね!私は、相手の人とお話してて、考えもしっかりして凄いなって思った。」
「実際に相手の方と…。見え方が違いそう。」
「多分、違ったよ!とてもドキドキしたけど、相手の方の後押ししてあげたいと思った。」
「だけど…。」
少し暗くなる。
「ふらお姉さんは頑張ってましたよ!その姿が見てて励まされました!」
「ありがとう…」
「でも…。」
「でも?」
ふらさんは首を傾げる。
「他の試合を見たりしてました。ずっとふら先輩の対戦は見てなかったです。
ごめんなさい。」
「ううん。いいんだよ!ゆめちゃんの言葉に私も励まされたから!」
「やっぱり、ふらお姉ちゃん!ですね!」
「私、どっちかって言うと頼りないって言われるけど…」
「他の人にとってはそうかもしれないですけど、私にとっては頼りになるお姉ちゃんです!」
「ありがとう!ゆめちゃんは明るいね!」
2人は笑顔で見つめあった。
僕は2人が、それ程仲がいいんだなと心の中で思う。
ところで、ふらさんと言えば、同級生のみおさん。
今、することは頑張りながら、計画をたてたり少しずつ実行しているらしい。
最近、3年生の教室に来て、アンケートを取っていた。
そして、もう少しで生徒会選挙がある。
彼女が生徒会長になるのか、他の人がなるのか…。
なるべく、いい人がなって欲しいところである。
「ぶんたくん。」
僕はその声の方を見る。
「すすむくん、どうしたの?」
「ちょっと話さない?」
「いいよ。」
そして、人気がないところにつくと言った。
「すすむくん、話って何かな?」
「そろそろ、試合が始まるね。」
「だね。」
「それが終わったら部活卒業。思想学部はどうするんだろう?」
「分からない。だけど、みんななら大丈夫なんじゃないかな?」
「確かにね。」
すすむくんはそれ以上、そのことについて話さなかった。
「ところで、シソウくんどうしてるんだろう。」
「昔居た、留学生の人?そういえば母国で大変なことが起こってるって言ってたね。」
「うん。でも、きっと大丈夫だと思うんだ。彼らにいい事がおこってるって。」
「そうだったらいいね。」
「うん。もし、起こらなくても、未来にきっと‥。」
─────────
「トモさん、思ったことがあるんだけど。」
「少し前に言ってた、食べ物のみたいな話?」
「なんだっけ、それ?」
「忘れたんだ。好きなもの沢山食べたいって。」
「意外と普通のこと言ってたね。」
「でも、その理由が普通じゃないかも。」
トモさんは続けて言う。
「沢山食べたら、少し嫌いになれるからって。好きな食べ物を減らせるって。」
「なるほど。」
「変わってるよね。好きな食べ物を嫌いになりたいって。」
「そうかもしれないけど。僕がしようと思ってるのはその話じゃないよ。」
「何かな?」
その時、シソウの頭の中に、言葉が浮かんできた。
何度も間違いを繰り返してもいい。ただ、君の進みたい方向に進めているのなら…。
そうであるのなら、その間違いは間違いじゃない。
それは、きっかけをくれた人の言葉。
大事な大事な1つの言葉。
「またいつか、行ってみたいんだ。」
「留学先?」
「うん。僕はまだ、学ぶことが沢山あると思うから。」
「そう…。私もまた行ってみたいな。」
「うん。一緒に行こう。」
シソウは彼女の方に手を差し出す。
「そうしよう。」
そして思った。
これから何かが変わると思う。僕の中の歯車が少しずついい方へ進んでいる。
きっと…きっと大丈夫。
───────
「みおさん。」
にわのは彼女にそっと近付いた。
「何でしょう?」
「頑張ってるね。噂で聞いたけど、みおさん明るくて見ると元気になれるって。」
「ありがとうございます!」
「あの!」
「どうしたの?」
「最近、考えてることがあって!」
「何かな?」
「ぬいぐるみテロを起こそうと思って!」
「!?」
「冗談ですけど!」
みおさんは笑顔でそう言った。
「ちなみにどんなものなの?」
「可愛いものを可愛いものって思おう!みたいな!
自分の気持ちに正直に!」
「ふ~ん…。私はいいと思うよ!」
「ありがとうございます!おじいちゃんにこれを言ったら、ほっほっほって!」
「そうなんだ!仲良さそう!」
「はい!仲良いですよ!」
「そう、それは良かった。」
それから、にわのは「これから期待してるね!」と言う。
「はい!」
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