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三年生
アクション
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僕は変わるために決意した。
あの場所で学んだこと。それは、何もせずに黙っていることじゃない。
世界の理想のため、全ての人間の幸福のため。
勿論、これが本当にそれのためになるのかは分からない。
しかし、みんなの顔を見て思ったんだ…。
ただ、こうして、考えてるばかりで行動できなかった事実がある…。
「シソウ、おはよう。」
挨拶の主は友達だった。
「おはよう。」
折角だから何かを…
「最近、勉強難しいよな。」
僕は心の中で思った。
確かに、1年離れてて、こんな感じだったかわかんなかったけど、大分難易度が上がってる気がする。
「でも、前からこんな感じだったかな。」
少し問題に思っただけで、彼はそれ以上は何も言わなかった。
僕は直感的に、それ以上を考えるという創造性を奪われたのだと思った。
「最近、小説や、漫画の類は見てる?」
僕がそう言った時、友達は冷たい目で僕を見る。
「よく人目を気にせず言えるよな。」
「どうして?僕は何も悪いことは言ってない。」
「その2つは禁止されてる。歴史などの、学問系の小説も最近までは良かったけど、もう…。」
「どうして…?」
「想像が入るから。想像でものを言うのは良くないことだ。」
1年前までは、僕の考えもいいって言ってくれた友達が…。
昔みたいに、明るい様子もない。
何か大切なものを失ってしまったような…。
「良ければ、学校終わったら遊びに来ない?」
何かを変えるため…思い切って彼に提案する。
「勉強会か?それならいいよ。」
「それとはちょっと違うけどね…。」
「まぁ、いいや。行くよ。」
ところで、僕が初終島に行く前、先生に少し目をつけられていた。
帰ってきたすぐの日も、「ちゃんと辞めてるか?」と厳しい目で見られている。
授業中もそう。先生は落書き、物語、授業とは違う創作の入ったものをしてないか見て回る。
もし、みつかったら、少年院おくりにされるのだろう。
いくらなんでも、これはやりすぎだ。
そう思いつつも、結局、僕には何の力もなかった。
創作にあることわざで言えば、ごまめの歯ぎしりや蟷螂の斧と言ったところだろう。
僕が何をしようとも…。
いいや、可能性はある。
近くには、リアルくんがいる。
この世界になってるのは、リアルくんの父が原因の一端だ。
子供である彼が何かを言えば変わるかもしれない。
雀の千声だと言われても、彼であれば、鶴の一声と…。
この休み時間で、彼に直接…。
僕は勇気を振り絞り、自分の席から立ち上がる。
だが、彼とは一度も話したことがない。
関わり方を間違えれば、関係は修復できないかもしれない。
思えば僕は、彼のことを何もしらなかった。
昔友達から愚痴を聞かされたが、それも、想像上のことで、彼の性格にせまるものではない。
今の情報だけで行けば、これからに関わる…。
丁度その時、休み時間が終わった。
────────
その日は学校で何も出来なかった。
だが、まだ可能性はある。
友達と約束をしてるから。
そこで自分の仲間を増やし、現在の過剰な創作規制に対して待ったを…。
それから、友達が家に来た。
「ありがとう。」
「それで、何する?」
「言いたいことがあるんだ。」
「何だよ。」
「創作についてどう思う?」
「まだ言ってるのかよ。誰かに話聞かれてたら、通報されるぞ」
「創作の中には、悪いこともある。だけど、逆にいいこともあるよ。」
「だから、創作は悪いことじゃない。」
「みんなに聞けば分かる。口を揃えて、創作は悪だって言う。」
「どうして…?」
「それがこの国ルールだ。」
「じゃあ、どうして…」
君や、みんなは悲しい顔をしてるの…。
その後が言えなかった。
「友達だから、誰にも言わず黙っておく。だから、創作なんてやめろ。
みんなと同じように勉強だけしてればいいんだから。」
「じゃあな。」そう言って友達は帰っていく。
僕は1人で、自分の無力さを嘆いた。
もうダメなのだろうか…。
自分の出来ることはここまでだと思った。
しかし、まだある…。
一つだけ。
それはトモさんを頼ること。
もうあまり関わることはないだろうと思ったが、彼女なら、きっと大丈夫。
僕はすぐに彼女の家に行った。
トモさんは丁度居る。
誰も居ないところに連れて行って、僕は周りを気にしながら言った。
「創作禁止の反対運動を起こしたいんだ。こんな世界良くないよ。」
すると、トモさんは暗い顔をしていた。
「ごめんね…。」
そして、何も言わず、僕の前から遠ざかっていく。
僕は絶望した。
もう僕の近くに仲間は居ない。
完全に1人になってしまったのだと。
あの場所で学んだこと。それは、何もせずに黙っていることじゃない。
世界の理想のため、全ての人間の幸福のため。
勿論、これが本当にそれのためになるのかは分からない。
しかし、みんなの顔を見て思ったんだ…。
ただ、こうして、考えてるばかりで行動できなかった事実がある…。
「シソウ、おはよう。」
挨拶の主は友達だった。
「おはよう。」
折角だから何かを…
「最近、勉強難しいよな。」
僕は心の中で思った。
確かに、1年離れてて、こんな感じだったかわかんなかったけど、大分難易度が上がってる気がする。
「でも、前からこんな感じだったかな。」
少し問題に思っただけで、彼はそれ以上は何も言わなかった。
僕は直感的に、それ以上を考えるという創造性を奪われたのだと思った。
「最近、小説や、漫画の類は見てる?」
僕がそう言った時、友達は冷たい目で僕を見る。
「よく人目を気にせず言えるよな。」
「どうして?僕は何も悪いことは言ってない。」
「その2つは禁止されてる。歴史などの、学問系の小説も最近までは良かったけど、もう…。」
「どうして…?」
「想像が入るから。想像でものを言うのは良くないことだ。」
1年前までは、僕の考えもいいって言ってくれた友達が…。
昔みたいに、明るい様子もない。
何か大切なものを失ってしまったような…。
「良ければ、学校終わったら遊びに来ない?」
何かを変えるため…思い切って彼に提案する。
「勉強会か?それならいいよ。」
「それとはちょっと違うけどね…。」
「まぁ、いいや。行くよ。」
ところで、僕が初終島に行く前、先生に少し目をつけられていた。
帰ってきたすぐの日も、「ちゃんと辞めてるか?」と厳しい目で見られている。
授業中もそう。先生は落書き、物語、授業とは違う創作の入ったものをしてないか見て回る。
もし、みつかったら、少年院おくりにされるのだろう。
いくらなんでも、これはやりすぎだ。
そう思いつつも、結局、僕には何の力もなかった。
創作にあることわざで言えば、ごまめの歯ぎしりや蟷螂の斧と言ったところだろう。
僕が何をしようとも…。
いいや、可能性はある。
近くには、リアルくんがいる。
この世界になってるのは、リアルくんの父が原因の一端だ。
子供である彼が何かを言えば変わるかもしれない。
雀の千声だと言われても、彼であれば、鶴の一声と…。
この休み時間で、彼に直接…。
僕は勇気を振り絞り、自分の席から立ち上がる。
だが、彼とは一度も話したことがない。
関わり方を間違えれば、関係は修復できないかもしれない。
思えば僕は、彼のことを何もしらなかった。
昔友達から愚痴を聞かされたが、それも、想像上のことで、彼の性格にせまるものではない。
今の情報だけで行けば、これからに関わる…。
丁度その時、休み時間が終わった。
────────
その日は学校で何も出来なかった。
だが、まだ可能性はある。
友達と約束をしてるから。
そこで自分の仲間を増やし、現在の過剰な創作規制に対して待ったを…。
それから、友達が家に来た。
「ありがとう。」
「それで、何する?」
「言いたいことがあるんだ。」
「何だよ。」
「創作についてどう思う?」
「まだ言ってるのかよ。誰かに話聞かれてたら、通報されるぞ」
「創作の中には、悪いこともある。だけど、逆にいいこともあるよ。」
「だから、創作は悪いことじゃない。」
「みんなに聞けば分かる。口を揃えて、創作は悪だって言う。」
「どうして…?」
「それがこの国ルールだ。」
「じゃあ、どうして…」
君や、みんなは悲しい顔をしてるの…。
その後が言えなかった。
「友達だから、誰にも言わず黙っておく。だから、創作なんてやめろ。
みんなと同じように勉強だけしてればいいんだから。」
「じゃあな。」そう言って友達は帰っていく。
僕は1人で、自分の無力さを嘆いた。
もうダメなのだろうか…。
自分の出来ることはここまでだと思った。
しかし、まだある…。
一つだけ。
それはトモさんを頼ること。
もうあまり関わることはないだろうと思ったが、彼女なら、きっと大丈夫。
僕はすぐに彼女の家に行った。
トモさんは丁度居る。
誰も居ないところに連れて行って、僕は周りを気にしながら言った。
「創作禁止の反対運動を起こしたいんだ。こんな世界良くないよ。」
すると、トモさんは暗い顔をしていた。
「ごめんね…。」
そして、何も言わず、僕の前から遠ざかっていく。
僕は絶望した。
もう僕の近くに仲間は居ない。
完全に1人になってしまったのだと。
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