思想学部

ケーキ

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ニ年生

名誉挽回

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俺の名はがいぶつ。

ここら辺じゃ有名なリベラルシンク高校。

その兄弟校、考自(こうじ)高校に通う2年生だ。

思想学部に所属し、部長をしている。

1年生の時は、とても慕われて、最高の時間を過ごしていた。

だが、冬休みのこと、練習試合でやってきた1人の男に部員全員が見てる前で恥をかかされた。

名前は…すすむ。

しかも、防&剣の会に居た女子にその様子を見られてしまった。

それから今まで、辛酸をなめさせられてきた。

あの時、自分に向けられていた賞賛は消え、部長であるはずの俺に、冷たい目を向けられる。

あの時、練習試合してなかったら、1年生の時のまま、いい日々がおくれていたに違いない…。

そして、最近。

大会があった。練習試合後からまとまっていなかった俺たちの学校は、2回戦目で負けることになる。

相手は、絡繰(からくり)高校。

最初は互角だったが、最後に、俺の番が回ってきて負けてしまった。

また向けられるあの冷たい目に、俺は孤独を感じた。

だが、相手は最後に言う。

3回戦目は快勝だ。練習試合した、あの弱いリベシン高校と。

この学校は兄弟校らしいが、あそこより少し手強かった。

どういうことか…?

俺は心の中で思った。


そして、今日、リベシン高校と交流会があった。

この時しかない。

俺はそう思った。

部員を集めて、更に、リベシンの思想学部も集める。

俺はニヤリと笑った後言った。

「これから、試合をしましょう。」

「もちろん、リベシンの部長さんはしますよね。まさか、逃げはしないと思いますが。」

俺の学校の部員達は心配そうに見る。

だが、もう俺には後戻りできない。

このまま終わるくらいなら…。

それに、俺がここでリベシンに勝てば、また盛り返せる。

元に戻すんだよ。

可能性はある。からくり高校のやつが、試合で言ってたあの言葉を信じるなら。

リベシンの部長は「分かった」と一言。

 考えていた通りの展開。

ここで俺は…。

「どんな風にするんですか?」

仮面を片手に持った女の子がたずねる。

「試合形式だ。5vs5の。」

味方の部員達はとても驚いていた。

「本当に大丈夫なんですか…?」

自信なさそうな声。

「当然だろう。」

すると、リベシンの1人が言った。

「だけど、俺の後輩が来てない。人数揃ってないぞ。」

前に練習試合に来てた女子も話す。

「前回の試合以降、部活にも来てないね。」

チラリとリベシンの部長と、後輩と言っていた男子を見る。

今度は仮面を持ってる女子も、自分の部活の全員ぐるりと見た。

「試合はできる。勝ち抜きだ。」

「俺が最初に行く。」

「元気なさそうだけど、本当にあなたで大丈夫?」

少し皮肉ったように聞こえた。

「お前らこそ、足引っ張るなよ。」

そして、はじまる。

これに勝てば、俺は元の地位に戻れる。

慕われたあの頃に…。

だが、目の前にあったのは、とても大きな壁だった。

男の口から出てくる言葉、それは全てのみこんでしまうような底なし沼。

言われているのが自分だったら…と思うと、逃げ出してしまいたくなる。

ただ、否定の度を越した、いじめのようにも見えた。

部員は、戻ると俺に謝る。

壁はあついのか…。

1人すらもう手に負えない。

そうか…

俺は心の中でガッカリした。

3人負けを言って、こっちはもうあと2人。

もうダメか…。

俺は心の中で諦めた。

もうあの時は戻ってこない。

太陽がとても暑かった。

すると、俺の気持ちをよそに、部活から、わーっと声があがった。

がせが勝ったのだ。

部員達は労いの言葉をかける。

すると、がせがこっちを向いて歩いてきた。

「すみません。俺はここまでです。あとは任せます…。」

「分かった。あとは任せろ。」

相手から出てきたのは、仮面を持った女子。

しかし、俺を前にして、「私、思想特に無いので負けます」と笑って言った。

そして、じーっとリベシンの部長を見つめる。

「分かった。」

「次は私がいきます。」

リベシンの女子がそう言うと、部長は「俺が行く。久しぶりにしたいんだ。」と。

「分かりました。ご武運を…」

それから、目の前にやってくる。

俺は思った。

今、リベシンの部長を前にしているのだ。

部員たちは、彼を尊敬している。

ここで俺が…。

振り返ってみると、俺を応援する姿があった。

この時間を永遠のものとする。

そして、試合がはじまった。

口を開いたのは、相手から。

「俺の思想は分かっていると思うが否定。君も否定だろう?」

「そうだ!」

そう思いつつも、心の中では動揺していた。何故、関わったこともない俺の思想を知ってるのか…。

「それでは決着しないだろう。だから、今からやるのは、お互いの否定への考えを。」

「分かった。」

「じゃあ、俺から話そう。」

「どんなことにも有益に使えるもの。それが否定だ。」

この人は否定という考えを広く考えている…。

「まぁ、こんなところでいいだろう。君の考えを聞かせてくれ。」

否定について…。そんなこと考えもしなかった。

俺は、ただ、これを道具のようにしか思っていなかった。

黙っていると相手の部長は言う。

「やっぱり、ないのか?」

その言葉が見透かされているような。

俺は思えば、凄いと言われたいから、利用していただけだった。

このまま終わってしまうのか…。

すると、頭の中に、部員たちの姿があった。

応援する姿や、頑張っていたメンバー。

「俺は否定について、人を結ぶものだと思っている」

俺は心の中で思った。

最後まで頑張るか…

──────

結局、勝てなかった。

俺は1人ぼっちか…。

すると、部員たちが、「頑張りましたね」と言った。

「どうして…?」

「一応、部長ですし。」

「見直しました。まぁ、最初のは許しませんけど。」

「また次回、試合優勝目指して頑張りましょう」

なんだろうな…。

求めていたものは得られなかった。だが、心の中で、とても嬉しかった。

「ありがとう。」

その一言が口からもれる


リベシンでは、副部長と部長が話していた。

「試合中の部長、素敵でした。」

「ありがとう。少し時間をくった。」

「結構ねばってましたね。」

「あぁ。あいつを見て思ったんだ。」

「何でしょう…?」

「俺も行かないといけないところがあるだろう。」

彼の何かを決意した目を、副部長は感じていた────
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