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ニ年生
修学旅行①
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今日は隣町に修学旅行へ。
毎年、そこで、1日目は動物園、2日目は水族館に行くことになっている。
となりまちなのでいつでも行けるが、この学校では、これが恒例となってる。
そして…。
部活のメンバーが6人もいる。残念ながら、きせきさんだけ違うクラスだが…。
バスの中、すすむくんの隣でそんなことを考えていると、近くの席から、話し声が聞こえてきた。
しずくさんだ。
「昨日ね、動物さんのこと、沢山調べてきたんだ!とっても楽しみだったの!」
みちかさんは笑顔で話を聞いている。
シソウくんはどうしてるだろう?
見てみると、1人でとても楽しそうにしていた。
そんなに楽しみだったのかな
心の中で良かったねと呟いた
ところで、修学旅行は、午後に集合だった。
はやく起きるのが辛い人にも大丈夫な時間。
はやく行き過ぎても、楽しめないからかもしれない。
そして、バスが、動物園に到着した。
この動物園は意外なことに、1箇所に、動物が集まっていることで知られる。
肉食動物が、草食動物をおそうことはない。
色々な動物が共存している。
僕は回りながら、「なるほど…」と呟いた。
今日の動物園も、明日の水族館も、自由行動がメインになっている。
しかし、いつの間にか、僕の周りには思想学部のメンバーが揃っていた。
キセキさんも、他のクラスだが、一緒にみたいとやってきた。
しずくさんが「寂しくなかった?」と聞くと、笑顔で答える。
「おとねちゃんや、吹奏楽部の人達が居たから、バスの中も楽しかったよ!」
ところで、シソウくんがずっと何か言いたそうにうずうずしている。
そこへトモさんが「どうしたの?」と話しかけた。
「動物を見たら、思わずに居られないことがある!」
「それは…?」
「ほら!あれを見て!」
向こうには、ゴリラが居て歩いていた。
「あれがどうしたの?」
「ナックルウォークだ!」
「何それ…?」
直後、その近くに居た、ゴリラが自分の胸を叩いた。
「あれはドラミングだ!」
続いて、近くに居た、猿を見て「今度はブラキエーションだ!凄い!」と言う。
「もしかして、用語言いたいだけ…?しかも、猿のことしか言わない…」
「そんなことはないよ!クジラを見て、バブルネットフィーディングだ!って言おうと思ってる!」
「とても限定的…。そもそも、クジラ自体見えるか分からないでしょ?」
「確かに…!それを考えていなかった!」
その一言で、シソウは落ち着く。
ところで、おとねさん達が、近くに居なかった。
どこだろうと探してみると、コアラの近くに居た。
「あのね、昨日調べたんだけど!」
「なになに?」
キセキさんは楽しそうに聞く。
「コアラさんはね…!ユーカリ食べるんだ!」
「わー!そうなんだ!しずくちゃん博識だね!」
みちかさんはにっこりしながら、2人を見ていた。
「忘れちゃいそう…!
昨日、読んだ日記に書いてあったの…。」
「テストの時、用語とか書いた紙を沢山貼ってギリギリ赤点を免れたって…。」
すると、何か思い出したように、「そうだ!」と言った。
ポケットに手を入れて、何かを取り出す。
そこにあったのは、メモ帳だった。
「忘れない為に、いつもメモ帳をポケットに入れてるの!」
「キセキちゃん凄い!」
しかし、メモ帳を開いてみると、びっしりと書かれて、スペースが無かった。
「かいかえないとだ…!しずくちゃん、ごめんね。」
「大丈夫!またキセキちゃんに教えるね!」
「ありがとう!」
2人が仲良さそうなのは、良かったこと。
ところで、すすむくんは今日は落ち着いているようだ。
あたりを見回してみると、そこには、彼の姿が無かった。
「どこに行ったんだろう…?」
時間は過ぎ、夕方になっている。
そろそろ、この時間も終わる。
もしかしたら、1人で何かを見てるのかもしれない。
僕はそっと納得して、限りある時間を楽しむことにした
────────
それから、何事もなくすすむくんとバスで合流し、泊まる場所へ向かった。
バスの中で、彼に、どこに行ってたのか聞いても、口を閉じたまま。
何かを考えているようだ。
僕はそっとしておいた。
泊まる場所について一段落すると、自由時間がおとずれる。
これからどうしようか。
そう思っていると、すすむくんがどこかへ出かけていった。
どうしたんだろう?
───────
「来たか」
男はすすむの様子を見て呟いた。
「答えは出たのか?」
「うん。ちなみに君の名前は?」
「俺は留(りゅう)。」
「そうなんだ、僕はすすむ。」
「では、早速はじめようか。すすむに今一度問おう。」
「この世界は、なんと思い通りにならない事か。王でさえ、自らの力で、全てを操ることはできない。」
「もし、行動を意のままに出来たとしても、その思考や、心までは思い通りにすることはかなわない。」
「お前はこの世界をど思い、どう生きるか?」
すすむは言う。
「今を思い、その時、出来ることをしたい。」
「そうか。」
留の頭の中に、過去のことが浮かぶ。
前に1度、この質問を、他の男にたずねたことがある。
その時、男は言った。
思い通りにならないからこそいいんだ。
たまにおとずれるそれが、とても特別なものになるから。
その言葉は私に響くことはなかった。今回もそう。
だが…。2人には共通したことがあった。
それが俺の心に。
どれだけ何かが優れていても…偉大なことを成し遂げようと…。
頭の中に近親者の顔が浮かんだ。
俺は待つことを忘れていたのかもな…
───────
毎年、そこで、1日目は動物園、2日目は水族館に行くことになっている。
となりまちなのでいつでも行けるが、この学校では、これが恒例となってる。
そして…。
部活のメンバーが6人もいる。残念ながら、きせきさんだけ違うクラスだが…。
バスの中、すすむくんの隣でそんなことを考えていると、近くの席から、話し声が聞こえてきた。
しずくさんだ。
「昨日ね、動物さんのこと、沢山調べてきたんだ!とっても楽しみだったの!」
みちかさんは笑顔で話を聞いている。
シソウくんはどうしてるだろう?
見てみると、1人でとても楽しそうにしていた。
そんなに楽しみだったのかな
心の中で良かったねと呟いた
ところで、修学旅行は、午後に集合だった。
はやく起きるのが辛い人にも大丈夫な時間。
はやく行き過ぎても、楽しめないからかもしれない。
そして、バスが、動物園に到着した。
この動物園は意外なことに、1箇所に、動物が集まっていることで知られる。
肉食動物が、草食動物をおそうことはない。
色々な動物が共存している。
僕は回りながら、「なるほど…」と呟いた。
今日の動物園も、明日の水族館も、自由行動がメインになっている。
しかし、いつの間にか、僕の周りには思想学部のメンバーが揃っていた。
キセキさんも、他のクラスだが、一緒にみたいとやってきた。
しずくさんが「寂しくなかった?」と聞くと、笑顔で答える。
「おとねちゃんや、吹奏楽部の人達が居たから、バスの中も楽しかったよ!」
ところで、シソウくんがずっと何か言いたそうにうずうずしている。
そこへトモさんが「どうしたの?」と話しかけた。
「動物を見たら、思わずに居られないことがある!」
「それは…?」
「ほら!あれを見て!」
向こうには、ゴリラが居て歩いていた。
「あれがどうしたの?」
「ナックルウォークだ!」
「何それ…?」
直後、その近くに居た、ゴリラが自分の胸を叩いた。
「あれはドラミングだ!」
続いて、近くに居た、猿を見て「今度はブラキエーションだ!凄い!」と言う。
「もしかして、用語言いたいだけ…?しかも、猿のことしか言わない…」
「そんなことはないよ!クジラを見て、バブルネットフィーディングだ!って言おうと思ってる!」
「とても限定的…。そもそも、クジラ自体見えるか分からないでしょ?」
「確かに…!それを考えていなかった!」
その一言で、シソウは落ち着く。
ところで、おとねさん達が、近くに居なかった。
どこだろうと探してみると、コアラの近くに居た。
「あのね、昨日調べたんだけど!」
「なになに?」
キセキさんは楽しそうに聞く。
「コアラさんはね…!ユーカリ食べるんだ!」
「わー!そうなんだ!しずくちゃん博識だね!」
みちかさんはにっこりしながら、2人を見ていた。
「忘れちゃいそう…!
昨日、読んだ日記に書いてあったの…。」
「テストの時、用語とか書いた紙を沢山貼ってギリギリ赤点を免れたって…。」
すると、何か思い出したように、「そうだ!」と言った。
ポケットに手を入れて、何かを取り出す。
そこにあったのは、メモ帳だった。
「忘れない為に、いつもメモ帳をポケットに入れてるの!」
「キセキちゃん凄い!」
しかし、メモ帳を開いてみると、びっしりと書かれて、スペースが無かった。
「かいかえないとだ…!しずくちゃん、ごめんね。」
「大丈夫!またキセキちゃんに教えるね!」
「ありがとう!」
2人が仲良さそうなのは、良かったこと。
ところで、すすむくんは今日は落ち着いているようだ。
あたりを見回してみると、そこには、彼の姿が無かった。
「どこに行ったんだろう…?」
時間は過ぎ、夕方になっている。
そろそろ、この時間も終わる。
もしかしたら、1人で何かを見てるのかもしれない。
僕はそっと納得して、限りある時間を楽しむことにした
────────
それから、何事もなくすすむくんとバスで合流し、泊まる場所へ向かった。
バスの中で、彼に、どこに行ってたのか聞いても、口を閉じたまま。
何かを考えているようだ。
僕はそっとしておいた。
泊まる場所について一段落すると、自由時間がおとずれる。
これからどうしようか。
そう思っていると、すすむくんがどこかへ出かけていった。
どうしたんだろう?
───────
「来たか」
男はすすむの様子を見て呟いた。
「答えは出たのか?」
「うん。ちなみに君の名前は?」
「俺は留(りゅう)。」
「そうなんだ、僕はすすむ。」
「では、早速はじめようか。すすむに今一度問おう。」
「この世界は、なんと思い通りにならない事か。王でさえ、自らの力で、全てを操ることはできない。」
「もし、行動を意のままに出来たとしても、その思考や、心までは思い通りにすることはかなわない。」
「お前はこの世界をど思い、どう生きるか?」
すすむは言う。
「今を思い、その時、出来ることをしたい。」
「そうか。」
留の頭の中に、過去のことが浮かぶ。
前に1度、この質問を、他の男にたずねたことがある。
その時、男は言った。
思い通りにならないからこそいいんだ。
たまにおとずれるそれが、とても特別なものになるから。
その言葉は私に響くことはなかった。今回もそう。
だが…。2人には共通したことがあった。
それが俺の心に。
どれだけ何かが優れていても…偉大なことを成し遂げようと…。
頭の中に近親者の顔が浮かんだ。
俺は待つことを忘れていたのかもな…
───────
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