4 / 190
一年生
優しい人
しおりを挟む
残ったみちかさんという人。
僕の調べでは、近寄り難い女性らしい。
なんでも、彼女はいつも誰にでも優しい。
だからこそ、逆に悪いことをしてしまえば申し訳ないと、人は気を遣い関わりにくいのだ。
くもり気のないそれは、太陽のようにまぶしく輝いていると言っていた。
僕自身も、同じ出身校の人に彼女のことを聞くくらいしか、近付く方法がなかった。
それくらいに誰も彼女と関わろうとしないし、話にも出ない。
相手を知ること…それが普通になるために必要だった。
だが、彼女のことはほとんど未知数で、すすむくんくらいどうなるか分からない。
「すすむくん、みちかさんは辞めておく?」
僕は頭の中で考えを巡らせた結果、その答えに至った。
「行こう!」
そう言って、すすむくんは急ぎ足で、彼女のクラスへ向かった。
その後ろをおとねさんが歩いてついていく。
「すすむくん待ってよ!」そう言って、僕も後をおった。
──────
「みちかさん!」すすむくんはそう言って、図々しく、クラスに入り近付いていく。
みちかさんはおっとりと「はい。」と微笑む。
彼は「思想学部に入って欲しいんだ!」と率直に言った
そんな言い方じゃあ、絶対断られる…。
僕はそう思いながら、おとねさんとクラスの入口から見ていた。
「いいですよ!入れてください」彼女はそう言い微笑む。
すすむくんはやったとその場で喜んだ。
「え!?」僕は思わず声に出した。
──────
こうして部活のメンバーは4人に。
僕はさっき、つっかかっていた疑問を彼女に聞いた。
「どうして、思想学部に入ったの?」
「それがみんなと上手く馴染めなくて…。誘ってくれたのが嬉しかったからかな!」
と微笑む。
「え!?意外…。」
すると「ありがとう」と絶やさない。
僕はその笑顔にやられてしまった。
ところで、部員は4人まで集まった。残りは1人。
しかし、同学年にもう誘えるヒトは居ない。
どうしたものか…
すすむくんにその事を話すと、「きっと大丈夫!」と笑っている。
その自信はどこからくるんだか…
そう思っていると、2人の声が聞こえてきた。
おとねさんとみちかさんだ。
「あの…!これからよろしくね!」
おとねさんは精一杯の声で言う。
「こちらこそ、よろしくね!」
みちかさんはにこやかな表情を崩さない。
おとねさんはそれに安心して笑顔を作った。
なんだこれは…。僕は片手で顔を覆う。
とても癒されるかかわり合いだ…。
いやいや、普通であるためには、この気持ちはいけない…
すると2人は会話を続けた。
「そういえば、思想学部って何をするのかな?」
「分かんないよ…誘われたのが嬉しくて入ったから」
僕はそれにハッとした。
2人がこっちをじーっと見ている。
これはすすむくんに言わなくては…。
僕はすぐに向かって聞いた
「ところで、思想学部って何するの?」
すると、満面の笑みで答える
「分かんない」
「僕達なんで集められたの!」
「冗談だよ~」
彼のそれにイラッときたが、僕は心の中で普通、普通と言い聞かせ、感情を必死に抑えた。
「一人一人、自分の思想を言って、それに向かって、色々考えを集めたり頑張ったりするんだ。」
「曖昧だね…。つまり、心の中の目標みたいな感じ?」
「まぁ、そんな感じ。思想はその時によって変えていいから。」
「分かった」
僕がそういうと、「じゃあ、早速、1人ずつ思想を言ってこうか」と彼は切り出す。
「もう!?5人集まってないのに!」
「うん、まぁ、いいんじゃないかな~。早速言ってくよ!」
彼はそう言って語り出す。
「僕はすごい何かになりたい」
思わず抽象的!と僕は心の中で叫んだ。
「じゃあ、僕が次に言うよ。
僕は普通になりたい」
すると、困った表情で、おとねさんも入ってくる。
「とりあえず、したいことを言えばいいんだよね…!」
僕は「そうみたいだよ」と言った
「え…っと…。私は新しい目標を作りたい!」
最後に、みちかさんが「優しくなりたいな!」と。
それに僕は少し意外だったが、その時は気に止めていなかった─────
「結局みんな思想というか、目標みたいになってるね。」ぼくは、アハハと笑いながら言う。
「最初はきっと、そんな感じでいいんだよ」
彼はそう言って、天井にある照明器具を見つめていた。
その様子を1歩引いたところで、みちかさんは微笑みながら見ていた─────
僕の調べでは、近寄り難い女性らしい。
なんでも、彼女はいつも誰にでも優しい。
だからこそ、逆に悪いことをしてしまえば申し訳ないと、人は気を遣い関わりにくいのだ。
くもり気のないそれは、太陽のようにまぶしく輝いていると言っていた。
僕自身も、同じ出身校の人に彼女のことを聞くくらいしか、近付く方法がなかった。
それくらいに誰も彼女と関わろうとしないし、話にも出ない。
相手を知ること…それが普通になるために必要だった。
だが、彼女のことはほとんど未知数で、すすむくんくらいどうなるか分からない。
「すすむくん、みちかさんは辞めておく?」
僕は頭の中で考えを巡らせた結果、その答えに至った。
「行こう!」
そう言って、すすむくんは急ぎ足で、彼女のクラスへ向かった。
その後ろをおとねさんが歩いてついていく。
「すすむくん待ってよ!」そう言って、僕も後をおった。
──────
「みちかさん!」すすむくんはそう言って、図々しく、クラスに入り近付いていく。
みちかさんはおっとりと「はい。」と微笑む。
彼は「思想学部に入って欲しいんだ!」と率直に言った
そんな言い方じゃあ、絶対断られる…。
僕はそう思いながら、おとねさんとクラスの入口から見ていた。
「いいですよ!入れてください」彼女はそう言い微笑む。
すすむくんはやったとその場で喜んだ。
「え!?」僕は思わず声に出した。
──────
こうして部活のメンバーは4人に。
僕はさっき、つっかかっていた疑問を彼女に聞いた。
「どうして、思想学部に入ったの?」
「それがみんなと上手く馴染めなくて…。誘ってくれたのが嬉しかったからかな!」
と微笑む。
「え!?意外…。」
すると「ありがとう」と絶やさない。
僕はその笑顔にやられてしまった。
ところで、部員は4人まで集まった。残りは1人。
しかし、同学年にもう誘えるヒトは居ない。
どうしたものか…
すすむくんにその事を話すと、「きっと大丈夫!」と笑っている。
その自信はどこからくるんだか…
そう思っていると、2人の声が聞こえてきた。
おとねさんとみちかさんだ。
「あの…!これからよろしくね!」
おとねさんは精一杯の声で言う。
「こちらこそ、よろしくね!」
みちかさんはにこやかな表情を崩さない。
おとねさんはそれに安心して笑顔を作った。
なんだこれは…。僕は片手で顔を覆う。
とても癒されるかかわり合いだ…。
いやいや、普通であるためには、この気持ちはいけない…
すると2人は会話を続けた。
「そういえば、思想学部って何をするのかな?」
「分かんないよ…誘われたのが嬉しくて入ったから」
僕はそれにハッとした。
2人がこっちをじーっと見ている。
これはすすむくんに言わなくては…。
僕はすぐに向かって聞いた
「ところで、思想学部って何するの?」
すると、満面の笑みで答える
「分かんない」
「僕達なんで集められたの!」
「冗談だよ~」
彼のそれにイラッときたが、僕は心の中で普通、普通と言い聞かせ、感情を必死に抑えた。
「一人一人、自分の思想を言って、それに向かって、色々考えを集めたり頑張ったりするんだ。」
「曖昧だね…。つまり、心の中の目標みたいな感じ?」
「まぁ、そんな感じ。思想はその時によって変えていいから。」
「分かった」
僕がそういうと、「じゃあ、早速、1人ずつ思想を言ってこうか」と彼は切り出す。
「もう!?5人集まってないのに!」
「うん、まぁ、いいんじゃないかな~。早速言ってくよ!」
彼はそう言って語り出す。
「僕はすごい何かになりたい」
思わず抽象的!と僕は心の中で叫んだ。
「じゃあ、僕が次に言うよ。
僕は普通になりたい」
すると、困った表情で、おとねさんも入ってくる。
「とりあえず、したいことを言えばいいんだよね…!」
僕は「そうみたいだよ」と言った
「え…っと…。私は新しい目標を作りたい!」
最後に、みちかさんが「優しくなりたいな!」と。
それに僕は少し意外だったが、その時は気に止めていなかった─────
「結局みんな思想というか、目標みたいになってるね。」ぼくは、アハハと笑いながら言う。
「最初はきっと、そんな感じでいいんだよ」
彼はそう言って、天井にある照明器具を見つめていた。
その様子を1歩引いたところで、みちかさんは微笑みながら見ていた─────
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる