世界の全て

ケーキ

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話し合い①

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私はその紙をまたポケットにしまった。

これからどうするか。最早、そんなことを考えてる余裕もない。

私は思い切って言った。

「加木さんの考えに偏りがあるのなら、絶対的な何かを作るということには偏りがあるのではないか。」

同一はそれに答える

「絶対的な何かがあるということは、絶対的な何かがないと言うことだ。

そう、この上下関係も対義語的な2つのものが存在しなければいけない原則にあっている。」

弟の方はただその会話を聞いていた。

「私は…彼の考えは何よりも素晴らしいと思う…。

間違いがない世界が理想なら、正解の世界も必要ない」

私は心の中で「そうだ…!」と続ける

「私は彼の考えを信じる。私はそれに救われたから、誰がなんと言おうとも信じるんだ!」

すると、2人の兄弟は黙っていた。

どうしたのか…?私がその様子を見ていると、沈黙はすぐに破られる。

信者の1人が声をあげた「皆無主義こそが理想である。それ以外の思想は異端だ!」

男はそう言って、私の方へと近付いてくる。

「救われた?私は心と体の病におかされていた。

とても苦しい生活を強いられていたんだ。くだらない事で、救われたと言うのでない。」

彼の話に私の心は冷静だった。

「君の思想も、全ては認められる。間違った思想なんて存在しないんだよ。」

男は「どういうことだ…?」と私の顔を見る。

「絶対的なものが存在すれば、誰かの考えは否定されなければいけない。

だから、絶対的なものではなく、正解も間違いも存在しないそれが理想なんだ…。」

男は苛立ち「そんなはずがない」と続ける。

「もし、正解や、間違いが存在しなければ、戦争や犯罪はどうなる。これは明らかに間違ったのものだ。

正解や、間違いを作らなければそれらは存在していいことになるのだ。」

「だからこそ…皆無主義や、色々な思想が必要になるんだ…。

心の底から苦しみを求めてる人なんて居ないんだよ…」

私がそう言うと彼は「うるさい」と言ったあと、大勢の中へ入っていき、誰かを私の前へと連れてきた。

そこに居たのは女性で、見たことが何度もあった。

「真子さん…?」

私は少し驚く。この宗教には居たと知っていたが、まさかここに一緒にいたとは…。

すると彼女は、「こんにちは、井知くん。」

そう言ってにっこりと微笑んでいた。

私はその表情に安心して、顔に喜びがあふれる。

「彼女を何故ここに…?」

私がそう言うと彼は答えた。

「彼女が告白した過去のこと、そして、あなたについた嘘のこと。

それを伝えるためです。」

私はそれにとても驚いた。真子さんの方を向くと、同時に不安そうな顔を浮かべている。

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