世界の全て

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魔法

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この世界には魔法が存在する。

そんなことは馬鹿らしいことだと言われるかもしれない。

だが、僕は、確実にその存在を身をもって体感したのである。

あれは去年の誕生日の頃だった。

周りの人達は、私の誕生日を盛大に祝い、私の心もとても踊り、喜びが体の中を巡った。

しかし、次の日には、それらがパッと消えてしまったのだ。

あれ程までに、優しかった皆が手のひらを返したかのように、冷たい態度をとったのだ。

僕はそれに打ちひしがれ、どうしようもないもどかしさが心の中を巡ったのである。

あの世界は幻想だったのか?

あたりを見回しても、今までを打ち消すような現実があるだけで、悲しさが心を包み込んだ。

そうか、これが20歳、いいや年齢の魔力というやつか。

そう納得した。

ある日のこと、僕の元へ、少年がやってくる。

僕は彼と遊んだりして、とても可愛がった。

子供が好きだという訳では無い。

しかし、彼は、私に何かをくれた。

それは出会った時のこと、彼はどこかに向かって木の棒を投げたり、石を投げたりしていた。

さっきまでの悩みを忘れ、何をしているのかと聞いてみる。

「僕は大人という、居るか分からない敵と戦ってるんだ!」

その言葉に、魔法が消えてなくなった。

何が自分を縛り付けていたのか、そもそも「大人」とはなんだったのだろうか?

ただ、そのひとつの言葉で僕から魔法が消えてしまったのは確かである。

この世には多くの魔法がある。

自然と人は魔法によって、惑わされてしまう。

それから、僕のまわりでは不思議なことがあった。

猫が寝てるのを見て、それを笑ってる人、悲しんでる人、怒ってる人、ありがとうと呟く人様々居た。

人によって、感情が変わってしまっている。

まるで、魔法にかかったように。

人は知らず知らずのうちに、このような魔法と言うものにかかってしまうのだろうか。

ただまるく書かれた円を見て、それを地球だと言ったり、球技のボールだと言うものがいる。

ただの円に過ぎないのに。

知識というものにおいても、それによって世界が変わってしまう。

占いばっかりやっていた人は、スピリチュアルといったもの、単なる偶然を運命と考える。

短歌など文学は、世界に広がるありふれた光景を見て、美しいものだと例えなど交えて表現する。

数学や、規則などを好む人は、世にある事象を、数や法則と考えるのだろう。

そうか、魔法と言うものは、ただ1人のものではなく、全て一般に起こっているありふれたことなのである。

全てに共通するその魔法というもの、それを深く考えてみた。

すると、段々とそれが姿をあらわしてくる。

知識を得たり、自分の考えというもの、それらが深まっていくと出てくるものこそが魔法であると。

人は自分の内面によって、見える全てのものを、マイナスのものと捉えたり、プラスものと捉えたりする。

世界は、内面にあるそれによって、いくらでも悪いものに、いくらでもいいものへと変わってしまうのだ。

僕はその魔法というものに惑わされた、ただ1人の人間であることが分かった。

そして、薄っぺらい紙に、知識は魔法と書いた。

すると、風に流され、どこか遠くへと飛んでいく。

僕はそれをただ見守っていた

──────
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