世界の全て

ケーキ

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ストーリー②

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僕にはとても大好きなお姉ちゃんが居る。

いつも元気で、励まされている。

ところで、この世界には幸せの鍵というものがあるらしいんだ。

それを手に入れて、あったものに使うと、幸せが開けるって。

友達はみんな噂してる。

でも、僕には必要ない。だって、今がとっても幸せだから。
 
────────

でも、ある日のこと、お姉ちゃんは病気で寝込んでしまったんだ。

いつも優しくて、微笑みかけてくれる顔には、曇りがかかってる。

僕はどうして…?って思った。

もう一度、お姉ちゃんの笑顔がみたいって、すると、あの事が浮かんできたんだ。

幸せの鍵。

僕はそれがどうしても欲しくなった。

でも、どこにあるのか分からない。

だけど見つけたい。

僕はそう思って、病院を後にしたんだ…。

─────────

走っていると、前から来た人に何度もぶつかる。

それに怒ったりした人も、大丈夫と気にかけてくれる人も居た。

だけど、僕は必死だった。

その人達に目もくれず、走り続けたんだ。

すると、何か光っているものを見つけた。

誰もそれに気付いていないのか、通り過ぎていく。

僕はその方向に走って、ようやくのことで、その光っているものを拾い上げた。

すると、それは何かの鍵だった。

もしかしたら、幸せの鍵かもしれない。

僕はそう思って、それをポケットの中に入れると、また病院に向かって走り出した。

しかし、黒い影が僕の後ろに迫ってきていたんだ──────

病院近くなった時、僕の目の前に1台の車が止まった。

大人の男達が僕を囲んで、さっき拾った鍵をと言ってきた。

だけど、お姉ちゃんが元気になるって思ったから、それを振り払って、病院に向かおうとする。

けれども、すぐにつかまってしまったんだ。

僕はポケットにしまってあった鍵を取り出して、抜け出そうとすると、誤って鍵が川の中に落ちてしまった。

男達は、僕のことを気にせずに、その鍵が落ちた方へと向かっていったんだ。

僕はとても悲しくなった。

あんなにも欲していた鍵をなくしてしまったこと、そして、お姉ちゃんの笑顔がもう見れないかもしれないってことに。

その場で沢山泣いた。

涙が地面に落ちていって、湿っていく。

すると、心の中に綺麗な光が現れた。

その光は僕の心の中でこう言ったんだ。

「あなたはもう大切なものを手に入れています」

その声に泣き止んで、あたりを見回したけど、そばには誰も居なかった。

「誰なの…?」

そう言っても、誰も答えてくれない。

僕は病院に走っていった。

そして部屋に着くと、お姉ちゃんは寝室で、座っていた。

そして、僕に気付くと笑顔でそっと微笑んでくれたんだ。

僕はその時間がとても嬉しくて、幸せだと思ったよ。

「ありがとう」

僕の顔を見て、ただそう微笑んでいたんだ

───────
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