15 / 31
15
しおりを挟む私は、浴室で悲しくて恥ずかしくて泣いてしまいました。
あんなにも怒らせてしまったのは、私のせいです。
どの位経ったか、慧一様が浴室に入って来ました。
「また泣いているのか?」
「・・・お義姉様は、どうしたのですか・・・?」
「部屋に帰した。だから、泣くな。」
慧一様は、私を抱き締めてくれます。
でも私は涙が溢れて止まりません。
そんな私に、慧一様は優しくキスをしてきました。
「いつかは知られる事だった。少し早いが、離婚しても良い。香織が泣く必要は無い。」
「でも、まだ妊娠中です。優しくしてあげて下さい。きっと私を恨んでおられます。だから、慧一様だけでも優しくして・・・。ンッン。」
慧一様は、私が話しているのにキスしてきました。
「私は、お前以外の女に優しくするつもりは無い。」
きっぱりと言い切る慧一様に、私は戸惑ってしまいます。
「慧一様、お義姉様の事がお嫌いなのですか・・・?」
「好きか嫌いかで言えば、嫌いだ。あんな誰にでも足を開く淫乱な女は見たくもない。だが、子供が欲しいから我慢している。」
「そんな・・・。では、お子様が欲しいのは私の為ですか・・・?」
「勿論。」
慧一様は、私の目を見て真実を言っている事が分かりました。
何という事でしょう・・・。
そんな大それた事を、私の為にするなんて・・・。
~慧一視点~。
「産まれたのは男の子?なんて喜ばしいのでしょう!これで跡継ぎは心配いらないわね。」
お婆様が喜んでいる。
これで良い。
血が繋がらなくても、子供は跡継ぎだ。
これで香織が孕まなくても、何も言われないだろう。
「良かったですね。」
「慧一?嬉しくないのかい?跡継ぎだったんだよ。」
お婆様は訝しげに聞いてくる。
「嬉しいですよ。」
ニコリと笑い、本心を言う。
「それならば良いけれど。」
「お婆様、病院には行かないのですか?」
両親と香織は病院に行っている。
「ええ、子供が帰ってきたら会えるのだし、行きませんよ。いつ美弥子さんと子供は帰ってくるの?」
「子供も順調に育っているので、一週間位らしいです。」
「そうなの。五体満足で生まれたのなら、何の文句もありませんよ。でも、まだ名前が決まって無いでしょう?慧一は何か考えているのかしら?」
「そうですね。顔を見ない事には決められませんが、孝介、弘行、一真、祥弌あたりですかね。」
「うん。どれも良い名前だわ。どんな顔をしているのかしら?楽しみですよ。」
お婆様と話していると、両親と香織が帰って来た。
「ただいま帰りました。いやぁ、なんとも美男子でしたよ。生まれたてだというのに、顔立ちが立派でした。」
「そうなの。なんとも頼もしいわね。美弥子さんはどうなっているのかしら?元気だとは聞いているけれど。」
「私達が行った時には、寝ていました。三十分程起きるのを待っていましたが、起きなかったので子供の顔を見て帰って来ました。」
「そうなの。」
「香織、顔色が悪いぞ。どうした?」
心配になり香織の顔を覗くと、香織は首を振る。
「何でもありません。」
「まあ!本当ね!香織、お部屋で横になっていなさい。後で様子を見に行きますから。」
「・・・はい、お母様。失礼致します。」
居間から出ていった香織が心配で、話しを打ち切り香織の部屋に行くと、香織は泣いていた。
「どうした、香織?気分でも悪いのか?」
「・・・いいえ。お義姉様、寝ていませんでした。病室から出る時、私と目が合って睨んでいました。やはり、私はお義姉様に憎まれているのですね・・・。」
香織が哀れで、私は香織を抱き締める。
「憎むなら、私を憎めばいいものを。」
離婚するまで、香織をあの女から守る。
それが今の私にできる一番の事だ。
「香織、早めに離婚する。だから心配するな。」
~美弥子視点~。
子供を産んでやったのに、私に顔を見せにも来ないなんて!
こうなったら、絶対に離婚なんてしてやらない!
あの男と女に後悔させてやる!
子供は私の物だ!
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
初めてのパーティプレイで魔導師様と修道士様に昼も夜も教え込まれる話
トリイチ
恋愛
新人魔法使いのエルフ娘、ミア。冒険者が集まる酒場で出会った魔導師ライデットと修道士ゼノスのパーティに誘われ加入することに。
ベテランのふたりに付いていくだけで精いっぱいのミアだったが、夜宿屋で高額の報酬を貰い喜びつつも戸惑う。
自分にはふたりに何のメリットなくも恩も返せてないと。
そんな時ゼノスから告げられる。
「…あるよ。ミアちゃんが俺たちに出来ること――」
pixiv、ムーンライトノベルズ、Fantia(続編有)にも投稿しております。
【https://fantia.jp/fanclubs/501495】
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件
百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。
そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。
いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。)
それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる!
いいんだけど触りすぎ。
お母様も呆れからの憎しみも・・・
溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。
デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。
アリサはの気持ちは・・・。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる