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第四章 借金の肩代わりに母親を奪われるとは、情けない!
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その日の夜、僕は地下通路の入り口付近にて野宿をしていた。明日になれば地下通路を通る。そこにはまだ見ぬ世界が待っていて…新たな冒険が始まることだろう。
それなのに、この胸騒ぎは一体何なのだろう…まるで、このまま冒険を続けてはいけないような不吉な予感だ。
「母さん…」
僕は何気なしにそう呟いていた。そうだ、母さんは果たして大丈夫なのだろうか。ハロルド様は、本当に母さんを守ってくれるのだろうか。
いや、それでも僕は旅を続ける義務があるのだ。それが勇者としての使命なのだから…
ガサガサッ!
「っ!?」
不意に背後の茂みから草木をかき分けるような音が聞こえた。僕はすかさず剣に手をかける。
そこにはいたのは…1匹のスライムだった。
「ははは。スライムか」
肩透かしを食らったように、力が抜ける。もう僕にとってスライムなんかは敵じゃない。それでも初日は随分と苦戦をしたものだけど…
僕はひょいひょいとスライムの単調な攻撃を避ける。そして剣を抜き、スライムを仕留めようとした。
まさに、その時だった。すぅーっとした清涼感が僕の身体を走った。そして続けざまに、身体の芯がじんじんと火照っていく。
「っ!?ぁぅ…何が…?」
突然の身体の反応に腰が抜け、剣を落としそうになる。それでも僕は何とか剣を握り、スライムを斬りつけた。
ザシュっ
ヘロヘロの斬撃だったけど、スライムは倒れてくれた。
「はぁっ、はぁっ、今のは…?」
僕は荒い呼吸のままぽつりと呟く。思い当たるのはただ一つ。この感覚…あの母娘に塗られた媚薬だ。
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