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第四章 借金の肩代わりに母親を奪われるとは、情けない!

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「何よ、これ!?」
「ふふふ。貴方のお子さんは昨夜、賭場で大敗しましてね」

 軽薄男から投げ渡された書状を見て、私は絶句してしまった。1枚の書状には、エルドが国王から金銭を「貸与」してもらうことが書いてある。もう1枚の書状は、エルドの借金の額が記されている。その額は…計399万9900Gと書いてある。こんな額、庶民には一生かけても返済ができない。
 そして…どちらの書類にもエルドのサインが記されている。間違いない、あの子の字だ。
 
「馬鹿な子どもだ…メダルの価値を確認せずにギャンブルに臨むとは」
「っ!あの子を騙したのね…!?」
「ははは。騙すとは人聞きの悪い。ご子息が勝手にメダル一枚1Gと勘違いしただけです。本当はメダル一枚1万Gだったわけですが」

 借金の証書には内訳が書かれている。ハロルド王からの貸与が300万G。ギャンブルでの敗北によって100万Gの損失。計400万Gの借金を作っている。
 そして…どうやらエルドは100Gのみ返済したようだ。ああ、あの子はきっと、自分が借金を返済したと勘違いしているのだろう。

「こんなギャンブル、無効よ!」
「私はこの国の王ですよ?無効になるはずがありません」
「そんな…!!」
「この契約を無効にする方法は一つだけです。アンナ殿が私の妾になり、王宮に住み込めばよいのです」

 この男…権力を盾に、なんて卑劣なことをするのよ。本当に最低だ。軽薄で卑劣で最低な男…

「もちろん、アンナ殿が私の命を絶っても、ご自身の命を絶っても、この契約は履行します」
「くっ!!」
「ご子息は一生返せぬ借金地獄…奴隷になるか性奴隷の男娼になるか…いずれにしろ悲惨な人生を送ることになるでしょう」

 ああ、どうしてこんなことに。でも、あの子だけでも幸せな人生を送ってもらわないと…
 
「わ、分かったわ…」
「ん?聞こえませんなぁ?」

 卑劣漢がわざとらしく耳を立てる。私の中でこの男に対する憎悪が湧き上がる。でも、私にはもう逆らう術はない。私は握っていた刃物を捨てた。

「わ、私は…ハロルド王の…妾になります」

 屈辱だ。こんなことを言わされるなんて本当に屈辱だ。貴方、エルド、ごめんなさい。でも、エルドを守るにはこうするしか…

「それでは誓いの口付けを」

 卑劣漢が勝ちを確信して、ゆっくりと私に歩み寄る。私の肩を抱き寄せじっと見つめる。私の方からキスをしろということなのだろう。

「あなた…絶対に許さない…!!」

 私は卑劣漢を睨みつけ、精一杯の捨て台詞を吐いた。その後…卑劣漢の唇に私の唇を重ねた…
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